ポピュラー音楽研究を専攻できる大学院・大学リスト(暫定版)

増田聡さんが、おそらく必要な人にとってはとても便利と思われる一覧を作成していらっしゃいます。

思うところあって「ポピュラー音楽研究を専攻できる大学院・大学リスト(暫定版)」というのを作りました

http://homepage3.nifty.com/MASUDA/PMSfaculty.html

進学指導などにお使いくださいますと幸い。あと不備のご指摘をよろしくお願いいたします。

2007-12-16 - ロック中年リハビリ日記・別館

ざっと見て気がついたのは、京大・関学・阪大が入っていないこと。かなり早くから「美学and/or音楽学」を学ぶことができた(そして研究者を数多く出した)機関が、現状ではポピュラー音楽研究に対応できていない(と増田さんがおそらくそれなりの根拠を持って判断せざるをえない)現状であるようです。ざっくり言ってしまうと、京大美学系の音楽研究機関はポピュラー音楽に冷たい、ということのようですね。

増田さんご自身が社会科学シンパでアンチ人文科学という立場で、古くさい人文科学に染まらない「男気」で今日を築いた方ですし、それはおそらく、この一覧のベースになっているらしいポピュラー音楽学会の基調でもあるのでしょうね。

そのスタンスは、「文化人類学/フィールドワーク的な知」一筋だった彼の恩師(現名誉教授のほう)を彷彿とさせますし、同先生が学科内的に、どこか孤立無援な感じを漂わせていたのを思い起こすと、なるほどあそこでポピュラー音楽研究は難しいのかな、と思わないではありません。^^;;

でも、それは逆に言うと、ポピュラー音楽研究が食い込むべき未開拓の視角があるということでもあるような気がします。ポピュラー音楽研究と歴史学や文学・哲学との接合可能性を見つけ出して(もちろん流行歌の歌詞に民衆の心性を読む等の古くさい話ではなくて、村上春樹とはっぴいえんどとファッション・モードを内田樹や鷲田清一の数百倍面白く語る、とかそういう感じ)、サントリー学芸賞でも取れば、人文科学系ポピュラー音楽論者として一人勝ちも夢ではない(かもしれません)。

先輩というのは、その後ろ姿を追いかけるだけではなくて、スリップストリームから鮮やかに抜き去られるべき存在でもあるだろうと思うので、ポスドク並びに予備軍でその種の技芸と素養をお持ちの方におかれましては、チャレンジしてみられるのも良いのではないでしょうか。(完全に野次馬的に他人事として書いていますが……。)