4/20の大栗裕没後30年記念演奏会の批評が表記紙に早速出ている、と教えていただきました。
「没後二十年時の沈黙とは裏腹に、昨今の日本近現代音楽復興の気運も幸いしたのだろう」
とか、
「オペラ創作者としての面だけは今回控えられたものの」
とか、
長木誠司さんのご指摘はいちいちお説ごもっともで、「昨今の日本近現代音楽復興」方面からのご用命・ご関心への対応がそれなりにできているとご判断いただけたとしたら、なによりでした。
2つ前のエントリーの交声曲のお話は、
http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20120429/p1
実は、演奏会終演後のロビーで、長木さんから開口一番、「北浜北浜……がツボにはまりました」と声をかけていただいたので、そのフォローというつもりで書いた文章でございます。
「大証100年」が、長木誠司氏をして「とにかく泣けるほどに楽しめた」と言わしめたのはどういうことなのか、こちらもご一読いただければ。
(とはいえ、「昨今の日本近現代音楽復興」というのは、時の流行のような感じもあって、長木さんはこれを流行らせた仕掛け人のお一人のような方ですから、こちらとしても、喜んでいただけるものをお出ししつつ、あんまり、時の流れに流されすぎるとあとが大変になるからホドホドに、と考えておくくらいが穏当なのだろう、とは思っております。
昨年来、「沈み行く日本」という表象が広まっているようで、表象としてそのように言い募ることに何かの効用があるからそういうことになっているのでしょうけれども、終末論を掲げる警世、というのは何時の世にもあることで、リアルにすべてが無に帰してしまっては大変です。(そのようなヴィジョンを過剰に喧伝することは、災害で大変な方々を助けるというより、そうした方々に便乗していることにもなりかねないですから。)
ヴェネツィアのように「滅び」のイメージで人を惹きつける街というのもあり、大阪を「東洋のヴェニス」と呼ぶ語法もかつてはあったようですが(「東洋のバルトーク」という標語には、そういう観光の言説を踏まえたところもありそうですね)、
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堺屋太一が三田誠広に語ったとされるところによると、既に60年代には大阪の地盤沈下が歴然としており、起死回生のカンフル剤として万博誘致を打ち上げたそうですし、遡って大正末の「大大阪」構想というのも、伝説的な大阪の黄金時代ではありますが、実際はどうだったのか……。大阪という街は、ある時期に決定的なピークを迎えて、今現在はそこからの修復不能な下降線をたどっている、というよりも、いつでも、浮いたり沈んだりしている場所であるような気がします。そして都度都度の舞い上がりや墜落の所作を派手に演出して、周囲の皆さまにお楽しみいただいているのではないかと。
ともあれ、今回はお祭りですし、交声曲のように、あからさまに「お祝い」だとわかる曲種があって、こうして遠来のお客様に楽しんでいただけたのは、よかったのではないかと思います。)
ところで、最近、橋下徹の大阪についてもあれこれ発言していらっしゃる與那覇潤氏ですが、ご本人のクールな口調は、どこかしら往年の梅田望夫氏に似てきたなあ、という感じをわたくしは抱いております。
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「「中国化」する日本」論は、「本当の進化はこれからはじまる」と警世する日本史2.0で、経営コンサルタントがカタカナ言葉を連発するのと、日本史・東洋史の人が「江湖」とか漢語を連発するのは構造的に同一で、同じ枠組みのなかで流通・流行・消費されているのかもしれないなあ、と最近思います。
そしてかつてモッチーが、ウェブ業界にはこんな凄い人がいる、とプロデューサー的に売り出したように、当人としては普通に研究して、普通に興味深い成果を出している歴史研究者が、與那覇氏とセットで露出しつつあるみたいですね。選書日本中世史 2 自由にしてケシカラン人々の世紀 (講談社選書メチエ)
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いつか来た道だニャア。
(本の中身は、「つながり」本も「ケシカラン世紀」本も勉強になりました。「おおやけ/こやけ」の話とか……。網野史観が堅実に引き継がれている感じの派閥が今の日本史学にあると考えて良いのでしょうか。)
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