本棚の整理

本棚を購入して、床に山積みの本を少しずつ整理している。

演劇関係の本を、上から順に「能・狂言」「文楽・歌舞伎」「近代演劇」と並べて、その下に「映画」と「テレビ」を置くと、ここに続くジャンルとしてはメディア論、現代文化論、社会学など社会科学の本がしっくり来る。もはや劇場は、旧来の美学・芸術学ではカヴァーできないんだな、としみじみする。(ドゥルーズの映画論を美学会で毎回誰かが発表しているけれど、それではもう追いつかない感じがする。)

で、社会科学のうちわけなのですが……、

消費社会論と括れそうな一派があって、都会の一等地の高級品やブランド品はここで取り扱っており、都市論も、ひとまずここの横に並べておくと、おしゃれ系で棚のまとまりがイイ感じ。(都市論関係の本は、設計系の出版社から出ていたり、デザイン系の含みもあって、概して造本が立派なのだと、今回改めて知った。)

一方、いわゆるカルスタ、現代文化研究は、これとの対比で、なんと申しましょうか、量販店のお客様を相手にしているように思えますね。いちおうこれが、ポピュラー・カルチャー論の本丸ということになるのでしょうか。(昭和の左翼系読書会が似合う感じに質素な本(しばしば中身は文字がびっしりの二段組みで紙が薄いのかずっしり重い)と、タイトルがスプレー噴射のデカ文字「夜露死苦」風で、紙がザラっとして手に持つと意外に軽い本が混ざっていて、造本のテイストが消費社会論/都市論系とは随分ちがいますねえ。)

で、しかしながら、カルスタのメイン・フィールドはなんといっても「ストリート」なので、引き籠ってパソコン・情報社会に強い未来志向のオタク様とは反目していて、だから、東浩紀系(表紙が萌え系アニメテイストであること多し)とは分けておいた方がよさそう。

また一方で、いわゆる「サブカル」は、ポピュラー・カルチャーのくせに、なんとなく「おしゃれ系」に擦り寄っているので、これも、ストリート系カルスタから見ると気にくわない連中なのかなあ、と思ったりする。(わが家の棚では、この系統は、映画・テレビコーナーの脇へ退避することにした。)

そうしてこのような部族間闘争を俯瞰して、その全体像を「島宇宙」と呼ぶのである、と。

ポピュラー・カルチャー/オタク/サブ・カルチャーの日本的分類は、こういうことでよろしかったでしょうか?

なお、大阪関係は大栗裕関係と一緒に作業部屋へ、音楽関係は全部まとめて奥の別室になっております。

(ちなみに、他の分野を含めてどの本をどこへ置くとあとで探しやすいか色々考えていて、最後までいったいどこに置いたらいいのか扱いに困るのは中沢新一だ、ということがわかった。「僕の叔父さん」と「大阪アースダイバー」は、別の棚に分けないとしょうがない。なんなんだこの人は。)