「プログラムに自分の名前ばかり並ぶのは厚かましいから……」

クライスラーが35歳の時、ベルリンで行ったリサイタルのプログラムに、彼は、「愛の喜び」を過去の作曲家ランナーの作品として載せ、一方の「ウィーン奇想曲」は、事実通り自作曲として載せました。すると当時の著名な批評家がクライスラーに対し、「ランナーの名曲と自分の作品を並べるとはずうずうしい!」と非難しました。これに対しクライスラーは、「自分の曲だ!」と告白しましたが、批評家たちは彼の話を信じませんでした。しかしその後、クライスラーが一連の作品についての偽装を認め、自分の作品であるという事実を公表したため、彼の行動の是非をめぐって大騒ぎになりました。

ららら♪クラシック これまでの放送 - NHK

あとから録画でみましたが、8日の「らららクラシック」(Eテレ)はクライスラー。人気者のいたずらっぽい偽作を楽しくみなさんで語り合っているではないですか。

(たぶん例の件より前に収録したのだろうと思われる。でも、「偽装」という言葉が出てくるので、例のレストラン偽装問題のほうは踏まえつつ意識している可能性がありそう。まったく空気を読まずに制作したわけでもないと思われ、そう考えると、牧歌的に平和な番組に仕上がっているのは、なかなかナイス。)

のちに偽作が露見したときに各国の批評家が怒った、というのも味わい深くて(笑)。

前衛音楽全盛より前の人で、「あんなものは音大生でも書ける」とか無粋なことを言われちゃわなくてよかったよね。

(「愛の喜び」は、ピアノパートも、左手が広い和音をつかまないといけなくて、素人には難しいよ。)

偽作は楽しめる文脈でやりましょう。(貧乏人や成り上がり者が偽作に手を出して許される道はそれしかないのかも。)

https://twitter.com/k_karasu/status/431594848819228672

ゲンダイオンガクの迷宮を旅する二人の少年の物語。