民主化から五年

今では吹奏楽の定番になったバーンズ「アルヴァマー序曲」の国内版楽譜刊行は1982年夏、東亜音楽社からで、リード「春の猟犬」と同時リリースだった。当たりの年だったんですね。民主化(http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20140912/p4)から5年目の出来事である。

(そして実はもう一曲、斉藤高順の交響詩「オンリー・ワン・アース」というのも出ていたらしい。)

ブルー・インパルス/斉藤高順吹奏楽作品集

ブルー・インパルス/斉藤高順吹奏楽作品集

  • アーティスト: 航空自衛隊航空中央音楽隊,斎藤高順,進藤潤
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2006/11/22
  • メディア: CD
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検索したら斉藤高順作品集に収録されていた。アーバンな感じで結構いいかも。シリアス調だが、最後に空が晴れた感じになって、ああ、やっぱりブルー・インパルスの人!と思う。

リードはこの年の11月に来日して(前年に続いて二度目)、東京佼成ウィンド・オーケストラでこの作品を自ら指揮している。普門館での演奏会(11/14)は立正佼成会の庭野日敬会長の喜寿祝賀行事の一環と位置づけられていたらしく、「法華経からの三つの啓示」はこの日のための委嘱作品。佼成ウィンド・オーケストラが宗教団体の楽団であることは、こういう形で吹奏楽の歴史に痕跡を残したわけですねえ。

大栗裕が亡くなった年ですが、同時に、コンクール自由曲で邦人作品を取り上げる団体が目に見えて増えたと意識された年でもあったようです。これが民主化の成果だ! あまりにはっきり結果があらわれていて、逆に恐いわけだが、わたくし自身も高校二年で、たしかにわたくしの学年あたりから高校の吹奏楽部は部員が増えて、文化系の一大勢力って感じになっていたなァ……。

あと、この頃から吹奏楽の「新譜情報」も、北米(シカゴのミッドウェスト・バンド・クリニックに出品された大量の新譜)からヤマハが100曲ほどピックアップしたカタログを作り、国内向けに輸入・販売する、という流れが出来たようだ。

そうか、オトナたちがいろいろお膳立てしてくれていたんだなぁ〜。

(で、この環境のなか1980年代に躍進したのが、丸谷明夫先生率いる淀工です。)

[バルトーク談義から吹奏楽へ話が急旋回して80年代の淀工と来たら次に何が出るか。そこが今回の調査の核心なのですが、その話はちゃんとアプトプットできてから、ということで今書けるのはここまで。]