海の時代、川の時代、山の時代

大栗裕がだんじり囃子(大阪俗謡による幻想曲)や阿波踊り(ヴァイオリン協奏曲)の和製ニューリズムで踊っていた昭和30年代は「海の時代」(だんじり文化圏は瀬戸内海から大阪湾の沿岸地域に広がっているらしい)。

枚方に住んで、宇津木秀甫の協力で淀川水系の民謡やわらべうたを編曲して、滑らかなメロディーを重視する作風に変わり、弦楽器の作品に取り組むようになった昭和40年代前半は「川の時代」。

昭和45年の千里丘陵の大阪万博があって、数年後には木曽の山荘を購入して、天の岩屋戸とか傀儡とか巫術とかに関心を持つようになり、ブラスを重厚に鳴らして、モニュメンタルな交声曲なんかを書くようになる昭和40年代後半以後は「山の時代」。

ひょっとすると、大まかにそういう区分けをすることが可能かもしれない。

戦後日本が海の向こうの「国際社会」に復帰することに一生懸命だったのが、工場からの廃液を川に流されて生活が脅かされる足下の公害問題に目覚めて、そのうちみんな豊かになって高台の住宅開発に熱心になる経緯とおおまかに重なるので、これは結構いけるかもしれない。

大阪の人間が次第に市内から遠く、標高の高いところへ住むようになる、というお話ですね。

(思いつきだが、どこかに書いておかないと忘れそうなのでメモ)