昭和の私立大学と平成の国立大学

私の考える平成日本音楽学会史が阪大・東大・東京芸大という3つの国立大学を軸に展開する構図だとしたら、私にそういうことを考えさせるきっかけになった大栗裕の音楽物語は、関学・慶応・同志社・京女といった昭和後期の私立大学サークルの音楽文化に光を当てる試みなのかもしれません。

そのように整理すると、昭和の私大音楽サークルが、大正教養主義時代に一世を風靡したマンドリンを伝承しているのが偶然ではないと思えてきます。

「大栗裕の音楽物語の研究」は、「ポスト教養主義時代における私大音楽サークルの可能性と限界」というような副題を付けることができるのかもしれませんね。

今はまだ看板だけで中身はないが、なにやら私にも、現代音楽文化への「社会科学的アプローチ」が、見よう見まねで、やれそうな気がしてきたぞ。