うた・楽譜・物語/ドラマの役割:クラシック音楽もまたその大半はダンス・ミュージックであるわけだが

おそらくポピュラー音楽はその大半がダンス・ミュージックである、と言ってしまったほうが生産的なのだろうし、バレエ(音楽と舞踊)が現在のような姿になる経緯を追うと、クラシック音楽もまた、バロック時代のタクト・リズム/調的和声の標準化以来、ほぼその大半はダンス・ミュージックだと言い切ってしまったほうがいい気がしてくる。

ヨーロッパ発祥の「クラシック音楽」という芸能が国際的/グローバルに流通しているのは、ぶっちゃけ、ポピュラー音楽と同じフォーマットでクラシック音楽をハイソで長めのダンス・チューンとして商品化しているんじゃないかと思う。

(最近のエコー・チェンバーでワンワンうなりまくっているやかましい広報・宣伝は、仮想ダンスホールのグルーヴみたいなものだろう。)

そのことを認めたうえで、それじゃあ、うたとは何なのか、そして楽譜や物語は音楽においてどういう役割を果たしているのか。

西欧芸術音楽の歴史(音楽学)は、エコー・チェンバーにおけるグルーヴが現にやかましく存在していることを認めたうえで、そこに回収できないものを地味に拾っていくことになるのだろうと思う。

ミュージカル・コメディもまた、実はダンス・ミュージックとしてのポピュラー音楽に回収することのできない案件、西欧でずっと取り組まれてきた、うたと楽譜と物語/ドラマという問題系で考えた方がいいのかもしれない。