2016-07-19から1日間の記事一覧

Stadtmusikdirektor

吉田秀和が1965年に「日本の音楽家」を論じたときに、指揮者としての森正は京響の常任指揮者で「国内のオーケストラを誰よりもたくさん振っている男」という位置づけだった。また、日本のオペラに関して、二期会の歌手たちはドイツの地方劇場のアンサンブル…

読者論と観客論とゲーマー論

昼間の授業のあとで、受容美学といっても、ドラマの観客論は小説の読者論とは重ならないところが残るんじゃないかなあ、と考えていたのだが、「immersive なゲーム」という風に液体状の語彙で語られる現象は、なるほど、どちらとも違っているかもしれない。…

液状のメタファー

immerse は、要するに「浸る」という意味なんですね。動詞で言うと、merge(コンピュータで言うマージ)は液状の存在に飲み込まれてしまうイメージで、emerge (出現)は immerge (沈む)の反対語だから、液状の存在から抜け出ることなのだろうと思う。なん…

軽演劇と世紀末:吉田秀和の浅草オペラ評

吉田秀和は「日本人音楽家の運命」で浅草オペラの思い出とセノオ楽譜の竹久夢二の挿絵を関連づけて、大正期の装飾的な軽さをユーントシュティルと同時代の現象と捉える可能性を示唆している。シミキンは単なる軽薄ではないんじゃないか、と。世紀末のモデル…