2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

世界に誇りたいニッポンの「競技読書」と、ナショナル・アイデンティティ(国民の自意識)を取り扱う本はレンガのように分厚い、の法則: Jann Pasler, Composing the citizen: music as public utility in Third Republic France, 2009

西洋の音楽と社会(9) 世紀末とナショナリズム 後期ロマン派 II (西洋の音楽と社会―後期ロマン派2)作者: ジムサムソン,Jim Samson,三宅幸夫出版社/メーカー: 音楽之友社発売日: 1998/12/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 吉田寛で「音楽…

セカイを自由と規制の二分法で描画する現代日本のジュヴナイルには「入口」だけで「出口」がない

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「入口」ばかりが重視されすぎている、というのは日本の高等教育批判の紋切り型にすぎませんし、自由と規制の二分法によるセカイ把握は、いくらなんでも貧弱すぎるだろうと言うはやすし、行うはキヨシ(←オヤジの最悪のダジャレだ)かもしれませんし、「あそ…

日本(語)のオペラと「不気味の谷」

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大阪市長が新しい公営多目的ホールを中之島に作ると息巻いているそうですが、クラシック音楽に関しては、今までずっとそういうことは民間まかせだった大阪府や大阪市が京都や兵庫のように安定して興行を回す枠組みを作れるとは思えないので、ほとんど興味な…

「音楽の国ドイツ」は往年のドイツ帝国の自画像というより、ドイツのアメリカニズムとアメリカのジャーマニズムが手を取り合って20世紀末に生み出した直近の仮象ではないか?(吉田寛『〈音楽の国ドイツ〉の神話とその起源』)

*いきなり以下の文章を読む前に、まず著者吉田さんのブログの公式見解を読んでから、こちらで「肩慣らし」するのがいいかもしれません。→ http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20130227[2/24 最初と最後に加筆あり。ちなみに、増田聡はこういう話を読むと、「曲…

バルトークの業績を讃えてもロマの暮らしはよくならないし、三輪眞弘を文化庁が顕彰しても不可視の領域に沈む存在が幸福になるわけではない

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このあたりがポストコロニアルとかサバルタンとか、ひと頃一生懸命言われていたことだと思いますが、要するに、やり手のアーチストや言論知識人が、そういう光と影、可視と不可視の狭間を狙う構造は、今も昔もたいして変わっていないような気がします。ここ…

拍手の社会学?

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触り方を間違えるとおそろしく凡庸な話に陥って終わりになってしまいそうでもあり、スポーツの近代化・文明化といったあたりで既に定番的な見解(かならず引用される所見)がありそうな気がするので、自力で調べてみようかとは思いますが、「拍手」について…

自然科学というヤンキーな宗教の射程:一川誠『錯覚学』寸評

人間にとって平面との出会いは、立体との出会いよりもずっと遅れて発生したものだ。今、私たちは立体的環境に足を踏み出すことなく、紙にせよ、スクリーンにせよ、いかに平面上ですべてを理解し処理するかに多大のエネルギーを注いでいる。ときには、立体的…

間違った設問が放置されたからといって、文句を言うのは筋違い

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[本文とは無関係な追記]本日日経夕刊に批評が出た模様。西村朗が生地大阪で本格的に仕事をするようになって十年。「現役最強」と形容したココロのみ補足します。 OS-085 西村朗 太陽の臍 オーケストラと箒篥のための音楽 (現代管弦楽シリーズ)作者: 西村朗出…

さらに承前:デフレ・ロスジェネ人文学者に告ぐ、「宗教的」を「ロマン主義的」と言い換える隠蔽工作を即刻停止せよ(そしていますぐとりあえず島田裕巳に謝って(笑)!)

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[2/19付記:いちおう解説しておくと、タイトルは「ロマン主義」という言葉を今後使うな、と自粛要請しているのではなくて、積年の経過を踏まえ、当方はこの言葉を既にロックオン(先日日本軍が隣国からやられた、とプレスリリースしたやつですね)したのでヨ…

承前:批評をわたくしに発注する人の学問観と、学問をわたくしに発注する人の批評観

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教育機関・研究機関である大学から給料もらっておきながら、公的な肩書きに「批評家」「翻訳家」「詩人」とか書いている人がたまにいるけど、一体何なの? 下部構造という言葉を知っていて、わざとやってるの? 今すぐとりあえずベンヤミンにあやまって! 吉…

エドワード・グレグソン「剣と王冠」のシェークスピアの出典

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エドワード・グレグソンという英国の作曲家がシェークスピア史劇に付けた音楽を吹奏楽に編曲した「剣と王冠」という作品があります(全3楽章)。解説をたのまれて、スコアに掲げられた台詞の出典を調べたのですが、分量の関係で原稿へ盛り込むことができそ…

私はゾンビ(もはや何回目の再演なのかすらよくわからないマンネリに摩滅したファルスとして、「3.11以後、美学はもはや不可能になった」とでもこの人達はいいたいのだろうか?)

テーマ「〈メディア芸術状況〉、批評の死後の生」 挨拶と導入:吉岡洋「雑種・混交性と批評の再生可能性」 ICOMAG2013テーマについてのコメント紹介 ディスカッション 【パネリスト】大澤真幸★/吉岡洋/室井尚/岡田暁生 www.44msc.com|www.66msc.com|www.3…

赤いウィーンから北米へ、ヴィクトル・ツッカーカンドルの数奇な生涯

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http://blogs.yahoo.co.jp/katzeblanca/24304224.htmlツッカーカンドルの名前を最近どこかで見たはず……と記憶をたどると、これでした。 His doctorate was granted in 1927 from Vienna University, and conducted freelance throughout the decade of the 1…

承前:「強くなりたい日本の私」(小山実稚恵で日本のステージ・ピアニストを考える)

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[2/13 最後にいくつか加筆] だいたいボクは、Twitterのような「好きなことを好きにつぶやく」という場で、自分の意見と異なるツイートだからと言ってわざわざ噛みつく人の気がしれない。いろんな意見の人がいるんだなーと思えばいいし、読んで不愉快なら読ま…

twitterと「人吐き」とニッポンの女流ピアニスト

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中村紘子レベル。ffは力任せに鍵盤を叩くので、荒っぽく音が濁る。所詮チャイコフスキー・コンクール第3位、ショパン・コンクール第4位の実力だなと思った。 雅哉 on Twitter: "大阪フィル定期。グリーグを弾いた小山美稚恵さんはミス・タッチの多さにびっ…

それは「直感」ではない

[追記あり] 三輪の名は知ってはいたものの、今まで聴く機会がなかった。それゆえ、どういう音楽をする人かも知らなかった(恥)。が、今回、この演奏会の案内を見たときに、直感で「これは絶対に聴くべきだ」と思ったのだ。そして、やはり直感は正しかった。…

カナダの負け方、フランスの負け方

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前のエントリーの続きです。八尾にいた1月のあいだ、次から次へと「見事に負けた人と国」を称揚する本ばかり読んでしまったのは、弱音を吐いたらとても続かない看病・見舞いの日々との心のバランスを無意識のうちに保とうとしていたのかもしれませんが(←や…

聖火と敗戦とフェアプレイ精神

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アマチュアのフェアプレイ精神による近代オリンピックを提唱したのは、普仏戦争でプロイセンの近代軍に敗北したフランスのクーベルタン男爵。 敗北の文化―敗戦トラウマ・回復・再生 (叢書ウニベルシタス)作者: ヴォルフガングシヴェルブシュ,Wolfgang Schive…

西村朗還暦コンサートinいずみホール

……という名前でもよかった気がするのだけれども、プログラムの表記は、 新・音楽の未来への旅シリーズ いずみシンフォニエッタ大阪 第30回定期演奏会 「作曲家 西村朗」 〜光と影の響像 1970-2013〜 2013.2/2(土)16:00

剃髪と皿回し(小沢昭一『新・日本の放浪芸』)

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親鸞聖人は非僧非俗。妻帯しており、浄土真宗の僧侶は出家した坊主ではないので、お葬式で故人が仏様になるときにも剃髪の儀式はありません。(それに当初間違えてましたが、受戒するわけではないので、いただいた名前は戒名ではなく法名と呼ぶようです。) …