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コルンゴルトというゴースト

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どちらを向いて歌うか、ということ以上に大切なのは、相手の言葉を聞いているかどうか、舞台上でコミュニケーションが成立している(ように見える)かどうか、ということで、その点で1日目と2日目は、随分、舞台の「温度」が違ったと思います。

ルサルカ歌って20年

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23歳の若造が第一次大戦直後に書いたオペラがもうじき上演されますが、ドヴォルザークが還暦の年に初演して、辛うじて20世紀にひっかかっている「ルサルカ」のこと。

ロマン主義と付き合うのなら、アイロニーではなく「越境・架橋」を目指すべし

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色々やらねばならないことがあるのだけれど、何か「来てる」感じがして、両方まとめて最後まで読んでしまった。 シンメトリーの地図帳 (新潮クレスト・ブックス)作者: マーカス・デュ・ソートイ,冨永星出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/02/26メディア: …

歌曲とお祈り

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「今から私の考えを皆さんに率直にお話します」というタイプのピアノだから、ピリスが日本でピアノを弾く人たちに好感を持って受け入れられるのは納得できる。「私も、ピリスさんのように自分らしく生きよう」という気になって、次の日から早寝早起きして、…

ガルミッシュの元帥夫人の傍らにいるのはどなた?(岡田暁生『リヒャルト・シュトラウスと〈バラの騎士〉の夢』文庫版あとがき)

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オペラの終焉: リヒャルト・シュトラウスと〈バラの騎士〉の夢 (ちくま学芸文庫)作者: 岡田暁生出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/12/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る 最晩年のアリーチェ夫人が住むリヒャルト・シュトラウス家にス…

上野のお山ではバッハは純正フランス人である?!(「《音楽の国フランス》の神話とその起源」を誰かが書いてほしい)

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[ケルビーニに関する記述を2カ所に加筆。まさか「ケルビーニもまた純正フランス人である」などと言うわけにはいくまい(笑)。あと、池内友次郎についてのわたくしの意見もちょっとだけ補足。] バッハ様式によるコラール技法: 課題集と60の範例付き作者: 小…

山田・新垣・ベートーヴェン・マーラーの「音楽そのもの」に向き合うとしたら……

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先週の大フィルの演奏会では、山田和樹が「皇帝」と「英雄」を振っていた。ソリスト(金子三勇士)も含めてアンコールは潔く一切なかったので、最初から最後までステージにはEs-durだけが響く。意図的にそうしたのでしょう。サムラゴーチのゴーストの人が書…

映画「切腹」で鳴り響くゲンダイオンガクは、オリジナルかどうかではなく、効果が肝要

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家にある未見のDVDをいくつか消化。 あの頃映画 「切腹」 [DVD]出版社/メーカー: 松竹発売日: 2012/12/21メディア: DVD購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (7件) を見る

夢は大きくワールドクラスのチェンバー・オーケストラ

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某所でそんな会話を見かけたが……、室内オーケストラという20世紀の現象は、おそらく、弦楽四重奏に代表される室内楽と、マーラーやリヒャルト・シュトラウスが君臨した時代の後期ロマン派巨大編成オーケストラを前提として、その間を駆け抜けようという作戦…

万城目作品のミュージックビデオ(映画「そよかぜ」)

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そよかぜ~りんごの唄~(DVD) SYK111出版社/メーカー: 松竹映画 コアラブックス発売日: 2012/03/01メディア: DVDこの商品を含むブログを見る 「リンゴの唄」というと、焼け跡になった東京、人でごった返す闇市のラジオからくぐもった音で鳴らすのが定番になっ…

宗教音楽の「音楽そのもの」とは何か?

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[細かく補足あり]「音楽そのものと向き合え」派(コンテンツ派)と「物語込みで楽しもう、むしろ、物語をこそ楽しもう」派(コンテクスト派)の議論、ということにすると、あなたはどっち、わたしはこっち、と気軽にしゃべれるような気がするかもしれないが…

「わたしが研究していることについて、所要時間一分の説明と五分の説明と一三時間の説明と、どれをお望みですか?」

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マーカス・デュ・ソートイは、『素数の音楽』も面白かったけれど、『シンメトリーの地図帳』(原題 Symmetry)はさらに強力に読ませる。 シンメトリーの地図帳 (新潮クレスト・ブックス)作者: マーカス・デュ・ソートイ,冨永星出版社/メーカー: 新潮社発売日…

「春の祭典」の祭典からベートーヴェンへ

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ラヴェルとシュトラウスを巧妙にパクった「ローマの噴水」というのがあって、どうやらこれを書いたのは、バロック音楽オタクで作曲志望のイタリアのヴァイオリン弾きらしい。そう聞きつけて、興行師の勘でこれはイケると判断したのがバレエ・リュスのディア…

楽譜屋にて

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母の八尾の家からの帰りに、梅田の楽譜屋、ササヤ書店へ寄る。

2000年代に調性のある大型スコアを書く意味

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http://genroninfo.hatenablog.com/entry/2014/02/06/1556401970年代以後に生まれて職業的な訓練を受けた日本の作曲家たちにとって、調性のある=楽器の特性等を爽快に活かした大規模なスコアを書きたい欲望がどのような形で噴出しうるか。そこを狙って語る…

「持ち曲」巡業のインフラ

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そういえば、全国各地でそれぞれの地元のオーケストラを使って巡回公演やるのって、どういう興行のインフラに乗っているのだろうか? 「彼」はその形態だったようなのだけれど、既存の何かがあって、その回路を使ったのか、それとも巡回公演のしくみそのもの…

サン=サーンスとデュカス

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必要があってサン=サーンスとデュカスの代表作を大急ぎで次々聴いております。

ビとボとシとポで日本語を鍛える(詩とPoemについて)

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美とBeautyがズレるように(ビとボの話→http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20131217/p2)、詩とPoemは重なるところと、重ならないところがありそうな気がする。「ポエム」とカタカナ書きされるのが適切であるかもしれない現象は……さらにキメラなのか……。

コーンウォルのフィガロとスコットランドのスザンナ

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コンヴィチュニー演出の「トリスタンとイゾルデ」のDVD(再発売)がようやく到着。 ワーグナー:歌劇「トリスタンとイゾルデ」[2DVDs]出版社/メーカー: Naxos Japan発売日: 2013/12/25メディア: DVDこの商品を含むブログ (1件) を見る いや、第1幕からブラン…

「ゲンダイオンガク」な感じとウィーンな感じ

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大阪交響楽団がシェーンベルクのヴァイオリン協奏曲(指揮:下野竜也、Vn:川久保賜紀)をやったのを聴きながら、何とも言えない緊張感に、往年の「ゲンダイオンガク」ってこんな感じだったのかなあ、と思った。

労音考 番外:「消費行動が企業を動かし、社会を変える」という思想の位置

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速水健朗『フード左翼とフード右翼』は、「ピュアトーン」を信奉する古楽を考える参考になるかも知れないと思って、実際に一度アイデアをまとめてみたのですが、読み返すとかなり違和感があったので、全面改稿。 フード左翼とフード右翼 食で分断される日本…

労音考 補遺:坂本九と朝日のAGOT

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長崎励朗『「つながり」の戦後文化誌』の周辺のお話、まだもう少し続きます。ちょうどいいタイミングでCDが到着。 夢であいましょう 今月のうた 大全(DVD付)アーティスト: オムニバス出版社/メーカー: ユニバーサルミュージック発売日: 2013/01/30メディア: …

労音考(3):若者文化とキッチュとソーシャル・キャピタルの話をもう少しだけ

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珍しく原稿が早めに仕上がったので、懸案になっている本棚の整理(のつづき)。各種演劇関係の本と映画の本とバレエの本と日本のオペラの本を、全部一箇所に集めてしまいました。

労音考(2):「ソーシャル・キャピタルが豊かな社会は“寂しい”」、という戦後日本のリベラルの逆説

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「つながり」の戦後文化誌: 労音、そして宝塚、万博作者: 長崎励朗出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/12/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る 最初に読んだ印象が強すぎましたが(http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20140121/p1)、…

労音考(1):大阪労音の本が出た!(長崎励朗『「つながり」の戦後文化誌 労音、そして宝塚、万博』)

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労音といえば大阪労音なのであって、大阪労音を、宝塚・万博と並べてはじめて戦後大阪の「教養」(←背伸びしてキッチュとか言われてしもたけど、ええねん、おっちゃんらが子どもの頃の大阪はそーゆーとこやってん)の姿が見えてくる。時代を語るのに欠かせな…

京響のモーツァルト、京フィルのグローフェ

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いずみホールで年をまたいでやったモーツァルト・シリーズのアフターケアみたいな話になりますが、あのときのVol.1と同じ協奏交響曲をやった京響ニューイヤーコンサート(Vnソロは同じ、Vaソロが違う)の批評は京都新聞にて(21日夕刊掲載予定のようです)。…

共和制の困難(RE: ジョルジュ・スーラ問題)

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『知覚の宙吊り』第3章(スーラのところ)をゆっくり読み直し中。

ジョルジュ・スーラ問題(ジョナサン・クレーリー『知覚の宙吊り』)

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『観察者の系譜』は割合楽しく読み進めることができましたが(http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20131228/p4)、『知覚の宙吊り』は鬱蒼とした森のようで、なかなか先へ進めない。ワーグナーの楽劇やブルックナーの後期交響曲につきあっているような感じ。試…

ロバート・カーセンの「ファルスタッフ」とジョージ・キューカーの「ザ・ウィメン」

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メトのライブビューイング「ファルスタッフ」、大阪駅で朝から観てきたのですが(最後のフーガの見せ方に、なるほど、と思った)、幕間のルネ・フレミング様によるインタビューで、メグの人(J. J. キャーノ)とナンネッタの人(L. オロベーサ)が、カーセン…

自称と他称

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「自称芸術家」は勝手に言ってるだけだが、「みんなの意見」で「他称」してもらえたら、それで「芸術家」に「なれる」というわけでもなかろう。 素数の音楽 (新潮文庫)作者: マーカスデュ・ソートイ,Marcus du Sautoy,冨永星出版社/メーカー: 新潮社発売日: …