2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

清濁の区別/gentleとviolentの区別

日本神道は教義なき儀礼宗教だ、と言われたりするようだが、それでも宗教学者は、日本神道として伝承される儀礼に、キヨメとケガレの思想を読み取ることができそうだ、と指摘したりする。清濁の区別を世界認識の基本に据える、というような感じでしょうか。…

ポリフォニーを「聴く」

というのは、おそらく、自ら歌いつつ他の声を聴く、という状態のことであって、すべての声の総和を聴くのとも、すべての構成音をサウンドの聴取によって聞き分ける/言い当てるのとも違う「行為/体験」だと思う。そしてこのようにポリフォニーを規定すると…

『サキソフォン物語』

前にここhttp://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20150601/p1で書いたほとんどの疑問は、ほぼこの本で解消されてしまいそうだ。 サキソフォン物語 悪魔の角笛からジャズの花形へ作者: マイケル・シーゲル,諸岡敏行出版社/メーカー: 青土社発売日: 2010/04/23メディ…

英国のナショナリズムと「人のいない自然」

ヴォーン・ウィリアムズの田園交響曲には人間が登場しない、というのは、最初に聴いたときから気になっているポイントで、おそらくこれがどこかでシベリウスにつながるのだろうと思うし、シベリウスを最初に評価したのは大陸ではなく英国だった、という話が…

フーガいろいろ

メンデルスゾーンの讃歌には合唱が通模倣っぽく歌い出す曲がいくつもあるが、実はバッハ風のフーガの様式でかっちり書いてあるのは1箇所だけ(だと思う)。1箇所はバッハ風になっているのだから、そういうのを知らない/書けないわけではないと思われ、「…

メンデルスゾーンの減七

メンデルスゾーンにとって「ヴェネツィアのゴンドラ」というお題は特別なものだったことがわかっているわけだが、(だって無言歌のなかでこれだけは作曲者自身がつけた標題だからね。で、既に無言歌を研究した博士論文というのが存在する。音楽史の話をする…

シェフのひとこと

大フィル定期のプログラムは、毎回最初に載っている井上道義のメッセージがいい。あの人の「らしさ」を上手くいかす場所を見つけたな、という気がする。(そして曲目解説だけでなく、訳詞まで片山杜秀(監修ということか)となっていたので、びっくり。そう…

サクソフォーンの現代が始まるとき

「1970年以後」というようなことを急に言い出したのは、具体的な理由があって、どうやらサクソフォーンの奏法ということを考えると、1970年にデニソフがロンデックスのためにアルト・サクソフォーンとピアノのためのソナタを作曲したあたりからサクソフォー…

上海バレエ・リュスの思い出

上海租界の劇場文化 混淆・雑居する多言語空間 (アジア遊学 183)作者: 大橋毅彦,関根真保,藤田拓之出版社/メーカー: 勉誠出版発売日: 2015/04/30メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る 朝比奈隆は昭和23年に小牧バレエ団公演の…