2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

映画は政治と同期するか?オーケストラ運動はどうなのか?(もう一度だけ與那覇潤『帝国の残影 - 兵士・小津安二郎の昭和史』)

[タイトルを少し変えました。最後に何故か大フィルの話をしています。]しつこくもう一度だけこの本について。 帝国の残影 ―兵士・小津安二郎の昭和史作者: 與那覇潤出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2011/01/14メディア: 単行本購入: 2人 クリック:…

與那覇史観には仏教がない?(與那覇潤『帝国の残影 - 兵士・小津安二郎の昭和史』における「蓮」の解釈)

[2/29 「東京暮色」の音楽についてコメントを追記。] 私個人の趣味についていうと、この「中国化」と「再江戸時代化」の両極の間で揺れ動いた戦後直後の十数年間が、ファンとしては一番燃える(萌える)時代です。(與那覇潤『中国化する日本』、213-214頁)…

『中国化する日本』の10ヵ月前に出たこの本は……

圧倒的な量の情報が抑えた口調で綴られていて、同じ著者が10ヵ月後に『中国化する日本』を出そうとは、たぶんこの時点では予想できなかったのではないかと思える本でした。文体を使い分ける人というか、ほぼ別人格。同じ話を別様に、別のターゲットに向けて…

コンサートという直接金融(『中国化する日本』再読)

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史作者: 與那覇潤出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/11/19メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 193回この商品を含むブログ (113件) を見る 中年オヤジとしては、「中国化」した日本の皇帝陛下に虫ケラの如く…

大フィルあれこれ

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先頃の大植英次・大阪フィルの定期&東京定期の「田園」&「春の祭典」。このコンサートの意義の半分は、もはや“関西マター”ではなく、9年間大阪でお預かりしていた大植さんを東京の皆さまへバトン・タッチいたします、どうぞよろしく!ということだと思い…

歴史カテゴリ−としての「新しい音楽」

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流行の最新技法で書かれた作品の少なからぬものに対しても、今日の耳からすれば、「昔懐かしの」としか感じられないものがある。もちろん、中には今でも少しも古びていない作品もある。では、いったい、その違いをもたらすものは何なのだろうか? 「最先端を…

1960年の山田耕筰「黒船」と宝塚歌劇団

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以前、朝日会館が戦前に出した雑誌を年代順に調べたとき、昭和12年の支那事変で誌面ががらりと変わるの目の当たりにして、「これは無理」とそこで調査を止めてしまいました。私は、戦時中の文化をつぶさに観察する諸々の準備できていない「ヘタレ」なので、…

脱欧入亜でブロンを食べよう!(與那覇潤『中国化する日本』)

輪島裕介氏が熱烈に誉めている本。[2/21 琉球/沖縄をめぐる引用・コメント、そしてたぶん届かないであろう輪島裕介先生へのメッセージを追記。] 中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史作者: 與那覇潤出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/11/19メデ…

「僕たち、私たち」のいる吹奏楽

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とある最近の吹奏楽曲のことを調べていて、不意に気づいたこと。

東大人文学の美徳なのかもしれない文化の三点測量が音楽論に欠けている件(末木文美士『日本仏教史 思想史からのアプローチ』)

[2/19 タイトルを一部変更、最後にブックリストを追加。PM 19:20 三度タイトルを変更。]既に何度かご紹介していますが、このところ、いつも持ち歩いて、その時々に気になる項目を繰り返し読み返しています。日本仏教という錯綜した案件をすっきり整理してく…

ガブリエル・パレスの序曲「リシルド」

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この季節は、大阪音大の年度末吹奏楽関連演奏会があって、毎年、吹奏楽のことを色々勉強させていただく機会になっておりますが、今年は「リシルド」序曲があり、高校生のとき以来、本当に久しぶりにこの曲を聴くことになりました。で、作曲者のガブリエル・…

40代後半・男性・国際派アーチストの対話、その文体の神話作用(小澤征爾、武満徹『音楽』、新潮文庫)

[2/14 少しずつ加筆するうちに、吉田秀和先生を降臨させつつ、最後は大植・大フィルの話で終わる文章になってしまいました。] 神話作用作者: ロラン・バルト,篠沢秀夫出版社/メーカー: 現代思潮新社発売日: 1967/07/31メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1…

「蝶々夫人」と日本の洋楽の和臭

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こんなことをしている場合ではないのですが、「蝶々夫人」のDVDが予想外に面白くて、ヴォーカル・スコアを取り出し、読みふけってしまいました。 プッチーニ 歌劇《蝶々夫人》プッチーニ音楽祭 2004年 [DVD]出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテ…

お説教とご祝儀、落語と漫才から日本の洋楽の位置を測る

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[2/5 タイトルを変えました。柴田南雄「萬歳流し」についてのコメントを追加。]前のエントリーで秋田實にたどりついてしまったので、落語と漫才について少しだけ。 漫才作者 秋田実 (平凡社ライブラリー)作者: 富岡多恵子出版社/メーカー: 平凡社発売日: 200…