2004-01-01から1年間の記事一覧

関西フィル・いずみホールシリーズVol.2

ヘンデル、ハイドン、モーツァルトの古典派プロ。自然な呼吸、きれいな弓形のフレージング、余裕と奥行きのある響き。特に、「ジュピター」で、音の上昇と下降が、まったく別の出来事に聞こえるのに感動しました。指揮者の大山平一郎さんは、抽象的な言い方…

「アマールと夜の訪問者」

午後、びわ湖ホール声楽アンサンブルの定期公演。シャルパンティエ「真夜中のミサ」と、メノッティのオペラによる、クリスマス・コンサート。後者は、演奏会形式とはいえ、ややお行儀が良すぎたかも。前者で、阪哲朗の指揮が、やや強引だったのも、気になり…

日下紗矢子ヴァイオリンリサイタル

京都府立府民ホール・アルティ。もともと、大変な集中力のある人(一点のミスもなく一筆書きができてしまうような←わかりにくい比喩)。見違えるくらい表現の幅が広がって、バッハ「無伴奏パルティータ第2番」は、シャコンヌに至るまで、ひきしまった素晴ら…

津国直樹バリトンリサイタル

バロックザール。「冬の旅」全曲。第1部は、各曲を丹念に描き分ける意欲的な演奏でした。最近の、言葉が声の色合いの変化でしかないかのような、いわば音楽主導のアプローチではなく、言葉(語り)を明瞭に伝えようとする姿勢に、好感を持ちました。特に、…

松村英臣ピアノリサイタル

夜、阿倍野区民センター小ホール。容赦なく打ち付ける和音、大きく翼を広げる旋律、ブレーキが効かず吹き荒れるパッセージワーク。楽譜の潜在な可能性をくっきり顕在化させて、最初のモーツァルト、イ短調ソナタは、どこに出しても通用する圧倒的な演奏でし…

J. S. バッハ:無伴奏チェロ組曲演奏会 第6回酒井淳

午後、京都府立府民ホール・アルティ。前半の第3、4番のみ聞きました。ふっと内側に吸い込まれるように音が消えていくなど、私的な音楽としての無伴奏、という解釈。じっくり楽しませて頂きました。

池上英樹 打楽器リサイタル

バロックザール。北爪道夫「Side by Side」を聞き、一昔前の、敏捷な動物のように駆け回る、体当たりの打楽器演奏ではなく、正確なパルスがあらかじめ身体化しているような印象を受けました。こういう人だから、舞台上の動きがそのまま音(リズム)になる、…

安紀・ソリエール ヴァイオリンリサイタル

バロックザール。18世紀の弓を使ったモーツァルトと、現代の弓によるブラームスを交互に弾く試み。前半のブラームス(第3ソナタ)のボウイングがスムーズではないなど、やや未整理で、演奏会のねらいが、わかりにくかったです。後半1曲目の元気いっぱいの…

第25回(2004年度)音楽クリティック・クラブ賞

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関西の音楽評論家の親睦団体、音楽クリティック・クラブが、年間を通して意欲的で実り豊かな活躍をした演奏家や音楽団体、あるいは作曲家、オペラ演出家などに贈らせていただいている、音楽クリティック・クラブ賞、今年は、以下のように決定しました。 ●音…

武久源造フォルテピアノリサイタル

午後、京都府立府民ホール・アルティ。演奏会後半、楽器のコンディションが良くなって、「幻想曲」(連弾)の音楽の広がり、「楽興の時」抜粋の無理なく伸びるハーモニーは素晴らしいものでした。前半は、「即興曲」op.90とイ長調のピアノソナタ。

中野振一郎チェンバロリサイタル

午後、京都府立府民ホール・アルティ。1990年頃に、これだけ弾けて、アイデアをたくさん持った人が出てきたことは、おそらく衝撃的だったのだろうと思います。でも、やや強引で性急に聞こえるところがあるのは否めない……。クープラン、デュブリ、ロワイエ等…

大阪フィルハーモニー交響楽団第383回定期演奏会

ザ・シンフォニーホール。大植英次の指揮で、サン=サーンス「サムソンとデリラ」演奏会形式。オーケストラをがっちり組み立てて、そこに、歌(福井敬、竹本節子他)が従うような作り方。

平成16年大阪文化祭第2回審査委員会

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午後。大阪市内にて。

第25回(2004年度)音楽クリティック・クラブ賞選定会

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午後。大阪市内にて。

ボヘミア紀行〜コチアン弦楽四重奏団

午後、高槻現代劇場中ホール。昨日とは後半の曲目が違っていて、「糸杉」の曲数が少なく、その後に、十河陽一「ドヴォルザークへのオマージュ」(ピアノ:高瀬佳子)と、ヤナーチェク「クロイツェル・ソナタ」。フルート四重奏曲は、今日の方がバランスが良…

ボヘミアン・ラプソディVo.3 コチアン弦楽四重奏団

フルート奏者、大嶋義実の監修による、全4回のチェコ音楽シリーズ(栗東芸術文化会館さきら)。とても面白い内容なのですが、チラシから、趣旨を読みとりにくいのと、あまりにも仰々しすぎるタイトル、ドヴォルジャーク没後100年・ヤナーチェク生誕150年記…

船橋美穂ピアノアンサンブルシリーズ

歌や室内楽のピアニストとして定評のある船橋さんが、毎年、この時期に様々なゲストを迎えて続けているシリーズの第8回(京都府立府民ホール・アルティ)。今年は、松下悦子(ソプラノ)、コチアン弦楽四重奏団を迎えて、没後百年のドヴォルザーク。前半で…

「憂鬱と官能を教えた学校」(4)

これは、この本というより、たぶんバークリー理論の弱点なのだろうと思いますが、モードの問題に、和声の側からアプローチするのは、やや無理がある気がしました。ポピュラー音楽理論の現状がそうなっている、というのは理解できるし、現状の理論の危うさを…

ロココの宴

京都芸術センター2F講堂。樋口裕子さん(バロック・ダンス)、三橋桜子さん(チェンバロ)によるバロック・ダンスの夕べ。ゲストに高橋絵里さん(ソプラノ)。バロック・ダンスは、舞踊譜や図像資料、クラシック・バレエからの類推等で実証的に、いわばド…

バッハ・コレギウム・ジャパン

神戸新聞松方ホール。チェンバロ協奏曲の原曲を、復元上演。まるで聖書を詳細に注釈するように、バッハを知り尽くしたい、という人にとっては、興味深い試みだったのだと思います。ヴァイオリン協奏曲ニ短調BWV.1052R、チェンバロ協奏曲BWV1054、オーボエ・…

山根亜紀ピアノ・リサイタル

バッハ「フランス組曲第2番」は、歌心があって、上品な演奏。リスト(「物思いに沈む人」、「ダンテを読んで」)、ムソルグスキー(「展覧会の絵」)は、重く強い音を意識しすぎている印象を受けました。「強さ」が前面に出て、音楽の流れや、音の色彩感が…

シュトゥットガルト放送交響楽団

ザ・シンフォニーホール。サー・ロジャー・ノリントン指揮。ベートーヴェン「エグモント序曲」、「ピアノ協奏曲第1番」(独奏:児玉桃)、「交響曲第5番」。ピリオド奏法は、過去の再現や骨董趣味ではなく、オーケストラの表現のパレットの拡張だ、という…

オーケストラと歌う合唱組曲「筑後川」

午後、高槻現代劇場。タイトルにある市民合唱団の合唱曲(団伊玖磨)がメインですが、前半は、ベートーヴェン「田園」(本名徹次指揮、関西フィルハーモニー管弦楽団)。ただし、ノン・ビブラート、足早なテンポのピリオド奏法なのですが、「間」を取れない…

小谷野敦「評論家入門」

各論に入ると、「論理」に恋いこがれる片思いの人が、嫉妬の対象に「非論理性」を見る、酸っぱいブドウがたくさんあって……、終わったもの(近代文学)を、終わっていないと言い張るのは、やっぱり、あまりかっこよくないかも、と思ってしまいました。でも、…

「憂鬱と官能を教えた学校」(3)

「MUSIC MAGAZIN」の書評(増田聡)を読んで、「モダニズムの総括」という言い方に納得。色々な分野でそういうことがなされているのだと思いますが、音楽でこれをやろうとすると、モダニズム批判と「親殺し」風のクラシック音楽批判が重ね合わされてしまって…

熊谷香織ピアノリサイタル

上の演奏会を出て、イシハラホールへ徒歩移動。残念ながら、前半のマルタン「8つの前奏曲」は間に合いませんでした。後半はリスト「ピアノソナタ」。技術のある人だと思いましたが、リストにも、19世紀にも、特別な関心があるというそぶりはなく、何故、こ…

豊田真理フルートリサイタル

ザ・フェニックスホール。バッハ「フルートソナタ」BWV1035のみ聞きました。フレージングの単調さ、速いパッセージに取りこぼしが生じることなどが気になりました。ピアノ:西秦郁子。

中村勢津子アルトリサイタル

東梅田教会。シューベルトとブラームスの歌曲。「魔王」など、気持ちの入った熱唱でした。ただ、役に入り込むあまり、地声に近い歌い方になってしまうと、聞いていて醒めてしまうかも……。ピアノ:高田泰治ほか。

欅田真須子ソプラノリサイタル

午後、ザ・フェニックスホール。目の前の人に語るカンツォーネよりも、舞台を想定したアリアを想定した歌唱スタイル。都合で、前半のみ、聞かせていただきました(ヴィヴァルディのアリア2曲、ベッリーニ「マリンコニーア, 優しいニンファ」、「私の偶像で…

稲葉綾ピアノリサイタル

イシハラホール。演奏は生硬でしたが、チェコの音楽について、色々なことを考えさせる興味深いプログラムでした。ドヴォルザーク「詩的な気分画」より「古城にて」、スーク「愛の歌」、マルティヌー「エチュードとポルカ第3集」(両大戦間風のモダニズム、…