2004-11-01から1ヶ月間の記事一覧

山根亜紀ピアノ・リサイタル

バッハ「フランス組曲第2番」は、歌心があって、上品な演奏。リスト(「物思いに沈む人」、「ダンテを読んで」)、ムソルグスキー(「展覧会の絵」)は、重く強い音を意識しすぎている印象を受けました。「強さ」が前面に出て、音楽の流れや、音の色彩感が…

シュトゥットガルト放送交響楽団

ザ・シンフォニーホール。サー・ロジャー・ノリントン指揮。ベートーヴェン「エグモント序曲」、「ピアノ協奏曲第1番」(独奏:児玉桃)、「交響曲第5番」。ピリオド奏法は、過去の再現や骨董趣味ではなく、オーケストラの表現のパレットの拡張だ、という…

オーケストラと歌う合唱組曲「筑後川」

午後、高槻現代劇場。タイトルにある市民合唱団の合唱曲(団伊玖磨)がメインですが、前半は、ベートーヴェン「田園」(本名徹次指揮、関西フィルハーモニー管弦楽団)。ただし、ノン・ビブラート、足早なテンポのピリオド奏法なのですが、「間」を取れない…

小谷野敦「評論家入門」

各論に入ると、「論理」に恋いこがれる片思いの人が、嫉妬の対象に「非論理性」を見る、酸っぱいブドウがたくさんあって……、終わったもの(近代文学)を、終わっていないと言い張るのは、やっぱり、あまりかっこよくないかも、と思ってしまいました。でも、…

「憂鬱と官能を教えた学校」(3)

「MUSIC MAGAZIN」の書評(増田聡)を読んで、「モダニズムの総括」という言い方に納得。色々な分野でそういうことがなされているのだと思いますが、音楽でこれをやろうとすると、モダニズム批判と「親殺し」風のクラシック音楽批判が重ね合わされてしまって…

熊谷香織ピアノリサイタル

上の演奏会を出て、イシハラホールへ徒歩移動。残念ながら、前半のマルタン「8つの前奏曲」は間に合いませんでした。後半はリスト「ピアノソナタ」。技術のある人だと思いましたが、リストにも、19世紀にも、特別な関心があるというそぶりはなく、何故、こ…

豊田真理フルートリサイタル

ザ・フェニックスホール。バッハ「フルートソナタ」BWV1035のみ聞きました。フレージングの単調さ、速いパッセージに取りこぼしが生じることなどが気になりました。ピアノ:西秦郁子。

中村勢津子アルトリサイタル

東梅田教会。シューベルトとブラームスの歌曲。「魔王」など、気持ちの入った熱唱でした。ただ、役に入り込むあまり、地声に近い歌い方になってしまうと、聞いていて醒めてしまうかも……。ピアノ:高田泰治ほか。

欅田真須子ソプラノリサイタル

午後、ザ・フェニックスホール。目の前の人に語るカンツォーネよりも、舞台を想定したアリアを想定した歌唱スタイル。都合で、前半のみ、聞かせていただきました(ヴィヴァルディのアリア2曲、ベッリーニ「マリンコニーア, 優しいニンファ」、「私の偶像で…

稲葉綾ピアノリサイタル

イシハラホール。演奏は生硬でしたが、チェコの音楽について、色々なことを考えさせる興味深いプログラムでした。ドヴォルザーク「詩的な気分画」より「古城にて」、スーク「愛の歌」、マルティヌー「エチュードとポルカ第3集」(両大戦間風のモダニズム、…

垣岡敦子ソプラノリサイタル

いずみホール。しっとりと美しい声の持ち主で、アリアも歌曲も、丁寧に勉強しておられることがわかる演奏会でした。ただ、思い詰めたような嘆きの表情というのは、迫真の演技に見えて、案外、すぐにできてしまうもの。それ以外の表現の広がりが欲しい気がし…

伊藤愛未ピアノリサイタル

[一部加筆11/31]イシハラホール。全身全霊で「今この時」の響きの彫琢に賭ける(作品の歴史的文脈や表現様式、作品の美的・形式的統一等を括弧に入れて)、おそらく最先端と言ってよい演奏様式、一種の演奏の現象学を目指しておられるようでした。(彼女の先…

京都市交響楽団第470回定期演奏会

京都コンサートホール。指揮、大友直人。吸い込まれそうに美しい音、水面を滑らかに動くような弓さばきで魅了したデュメイのモーツァルト「ヴァイオリン協奏曲第5番」と、最後まで何も起こらなかったベートーヴェン「交響曲第3番」。

金剛能楽堂の秋〜第2夜ソプラノの夕べ〜(菅英三子)

能舞台での演奏会。決して歌いやすいとは思われない空間で、余裕のある柔らかい声を保ち、「魔笛」(夜の女王)や「リゴレット」(ジルダ)を楽々と歌うことのできる、本物のコロラトゥーラ・ソプラノ。「星に願いを」、「キャッツ」、「からたちの花」、「…

梶山敦子ピアノリサイタル

ザ・フェニックスホール。ハイドンの変ホ長調ソナタ、ラフマニノフ「楽興の詩」、リスト「バラード第2番」の3曲を淡々と弾いた演奏会。

小笠原順子ピアノリサイタル

イシハラホール。オール・シューマン・プログラム(「アラベスク」、「アベッグ変奏曲」、「幻想小品集」、「謝肉祭」)。乱暴にアクセントを打ちつけたり、内声がボコボコ言うばかりで響かなかったり、聴いていて辛くなる演奏でした。唯一、最後の「謝肉祭…

高木和弘ヴァイオリンリサイタル

午後、いずみホール。ヒナステラ「パンペアーナ第1番」、バルトーク「ヴァイオリンソナタ第1番」、エネスコ「子供の情景」、ブロッホ「バール・シェム」という凝ったプログラム。柔らかく余裕のある音で、技術的には非の打ち所のない演奏でした。ただし、…

関西二期会第61回オペラ公演「椿姫」

尼崎のアルカイックホール。歌とオーケストラのバランス調整。独唱と合唱の交通整理といった舞台上のフォーメーション作りに終始して、声を競ったり、客席の涙を絞るべく畳みかけたりすることのない、不思議なヴェルディ(指揮:大勝秀也、大阪センチュリー…

大阪シンフォニカー交響楽団第96回定期演奏会

指揮:円光寺雅彦、ザ・シンフォニーホール。パンフレットによると、今回演奏されたラフマニノフ「交響曲第3番」を初演したのは、ストコフスキーとフィラデルフィア管だったとか。音のパレットをフル活用したオーケストレーションは、グールドがストコフス…

新・音楽の未来への旅シリーズ2004「室内楽の現在形」

いずみシンフォニエッタ大阪メンバーによる演奏会(いずみホール)。ドビュッシーのチェロソナタではじまるとはいえ、カザルス「鳥の歌」(チェロ、ピアノ)、メシアン「夜の終わりの四重奏曲」のクラリネットソロの楽章「鳥たちの深遠」、シュニトケ「きよ…

大阪フィルのメンバーによる室内楽の愉しみ

遅刻して、2曲目、ウェーバー「クラリネット五重奏曲」のみ聴きました(大阪フィルハーモニー会館)。良くできた曲だと思うのですが、あまり演奏されないですね。アリアの一場面のような第2楽章は完璧(クラリネット:ブルックス・トン)。第3、4楽章の…

シュトゥットガルトのラインの黄金

昨年の日本音楽学会関西支部例会シンポジウムでも、いわゆる「読み替え」の典型として話題になった公演。ASIN:B0002RNBNY面白いか否かといえば、面白いし、よく練り上げられた演出だと思いました。(舞台上は、20世紀初頭のクアハウスの出来事として、シチュ…

ベルク「ヴォツェック」

ザ・カレッジオペラハウスの二〇世紀オペラ・シリーズ。イタリアオペラがスター歌手の檜舞台だとしたら、ドイツオペラは、モーツァルトやウェーバーの時代から、歌(イタリア人ほど洗練されていない)と芝居(演出)と管弦楽のチームプレイ(ワーグナーの「…

菊本恭子ヴァイオリンリサイタル

午後の上記演奏会に続いて、夜の演奏会。ベートーヴェンのロマンス、バッハのニ短調パルティータ、サン=サーンスの第2ソナタ(騒々しくなかったのが好印象)、ショーソン「詩曲」(いずみホール)。数年に一度の発表会という雰囲気でしたが、ご自身で企画…

河江優ピアノリサイタル

没後80年記念のオール・フォーレ・プログラム(イシハラ・ホール)。初期から晩年まで、ジャンルも即興曲、夜想曲、舟歌、変奏曲、バラードと目配りの行き届いた選曲でした。演奏は、硬質で、メロディがなめらかにつながらなかったのが残念。

「憂鬱と官能を教えた学校」(2)

真ん中あたりに、石塚潤一氏のシリンガーに関するレポートが掲載されていました。ポピュラー音楽のコードネームは、対位法を捨てたことで、ヨーロッパの伝統的な調性和声とは似て非なるものになった -- というのは、漠然と感じていたことですが、その起源を…

阿部裕之ピアノリサイタル

「祈り, 祭り, 踊り」というサブタイトルで、モーツァルトのハ短調幻想曲、シューマン「謝肉祭」、グリーグ「ホルベアの時代より」とラヴェル「ラ・ヴァルス」(イシハラホール)。じっくり練り上げられていて、この曲をこんな風に鳴らすことができるのか、…

「憂鬱と官能を教えた学校」

最初の方を少し見ただけですが、とても面白い、というか、とても上手な講義だと思いました。メシアンを聴かせて、「今かっこうが鳴きましたよね」と楽しんでしまう呼吸とかを含めて、今、現場で音楽理論を教えるとしたら、こういうスタンスになるでしょうね…

中田聖子チェンバロ・リサイタル

フレスコバルディからJ. S. バッハまでのトッカータを集めたプログラム(大阪倶楽部4Fホール)。多声が絡み合う時の処理など、ぎこちないところがありつつ、工夫を凝らして、ロッシのトッカータなど、聞き映えのする面白い表現があり、退屈はしませんでした…

ラカトシュ・アンサンブル

ジプシーバイオリン、ロビー・ラカトシュのグループの演奏会(ザ・フェニックスホール)。後半、途中入場ですが、あっという間に、引き込まれてしまいました。伝統的なジプシー音楽は、モンティのチャールダーシュ、ブラームスのハンガリー舞曲(アンコール…