阿部裕之ピアノリサイタル

「祈り, 祭り, 踊り」というサブタイトルで、モーツァルトのハ短調幻想曲、シューマン「謝肉祭」、グリーグ「ホルベアの時代より」とラヴェル「ラ・ヴァルス」(イシハラホール)。じっくり練り上げられていて、この曲をこんな風に鳴らすことができるのか、と驚かされる場面が何度もありました。でも、祭りや踊りという言葉が連想させる躍動感や、軽く浮き立つ感じとは、少し違うような気がしました。シューマンは、正確な図面を引いて、家を建てた感じ。グリーグとラヴェルは、絵の具を丹念に重ねて、19世紀風の油絵を仕上げた感じ。