2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧
吉田寛先生がそしらぬ顔で東浩紀(文化としてのヤンキーの対極にいるかもしれないギークなオタク)の90年代の感性論をピックアップしたのを読んだ頃から、「ああ、ポピュラー音楽論は旗色が悪いんだな」と思い始めています。(それが良いとか悪いとか言うつ…
問い:グローバリズムへの不満が口癖の人物が、学問上の急進的なジェネラリスト(領域横断的で汎用的な理論以外を認めない)であったとする。どのように解釈すればよいか。(複数回答可) (a) その人物はデータから仮説を組み立て、その仮説をデータで検証す…
[受賞者の平均年齢の統計なんてのは姑息な似非科学で筋が違う、という話を途中に補足。]セシル・テイラーの京都賞受賞をめぐる三輪眞弘さんのコメントを最初に読んだときから、ひとつ腑に落ちないことがある。[*もっと「下品」な詮索をお好みな方は http://…
[付記:以下に書くのは、アマチュア相手の指導で、ときに偏っていたり、時代遅れであったりする方針が長年支持され、存続することがあるのは何故だろう、というお話、いわばレッスン・プロをめぐる考察の入口めいた短文です。ただしこれは、レッスン・プロが…
ところで素朴に教えて欲しいのだが、増田聡やその他の彼のブログをリンクして色々コメントしている人たちは、三輪眞弘の作品を体験したことがあるのだろうか?
増田聡、お前、ほんとにバカだろう。俺は批評の仕事の関連で、人を審査する仕事を複数引き受けているし、たぶんそういう仕事は、俺がこういう立場を続ける限りずっと続く。(批評の仕事がなくなったら全部あっさり終わるだろうから、どこまでいっても覚束な…
[*このエントリーは「下品」であることを予めお断りしておきます。もうちょっと「上品」なコメントとしては、http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20130628/p1 をどうぞ。] これまでの音楽部門の歴代受賞者は西洋芸術音楽の主に前衛作曲家あるいは音楽家に限ら…
[細かい追記あり]訳者解題に、がっつり色々書いてあった。 モダニズムの政治学―新順応主義者たちへの対抗作者: レイモンド・ウィリアムズ,加藤洋介出版社/メーカー: 九州大学出版会発売日: 2010/03メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 21回この商品を含むブ…
[追記あり]遠い国の高邁な議論ばかりに夢中になるのは学者の悪い癖です。まず目の前の身近な疑問に取り組みましょう、ということで、カルチュラル・スタディーズをカルチュラル・スタディしてみよう。「「文化研究」の文化」の研究「」の入れ子がポイントで…
virtual reality を「仮想現実」と訳すのは誤解を招く、というのは、その方面(どの方面かよくわかりませんが)でしばしば指摘されることみたい。「virtual 事実上」は「nominal 名目上」と対になる言葉で、「実 virtue」(あるいは「徳」)を取るか「名 nom…
[例によって一番最後に話をひっくり返しているので、粗忽に最初のほうの語句に引っかかって慌ててツイートしないように(笑)。]
[追記あり→かなり長くなりました。→小見出しをつけました。→「1.」を大幅に加筆修正しました。]わたしなんかより、もっとちゃんと事情を知っている人がいるはずですし、余計なおせっかいをする奴だと思われたくないから黙って様子を見ていたのですが、一向に…
ややこしい話なので、順に解きほぐしていきたいと思います。問い1:作家Aが死んで、この作家の作品を出している出版社の担当編集者が葬儀を仕切ることになった。告別式を誰に通知するか、その名簿の作成も彼が行った。そして数日後、その作家の知人が個人…
[追記あり] プルーストの喜劇は、1850年からほぼ現在に至るまでの中上流階級の家庭における欧米の文化を代表するものとして、ベートーヴェンのソナタに相当の価値を与えている。客人をもてなしたり、家族で夕食を楽しんだりするのと同様、文化的な生活の一部…
*ほぼネタバレ。ご注意ください。 ミルドレッド・ピアース [DVD]出版社/メーカー: ブロードウェイ発売日: 2013/05/03メディア: DVDこの商品を含むブログを見る 「ブレードランナー」のレイチェルの髪型・肩パット等ビジネス・ウーマンの造形のネタ元はこの…
あいだに2つ別の話が挟まってしまいましたが、1985〜95年の10年間がどうしてあんなにとっちらかった感じだったのか、というお話のつづきとして想定していたことを書きます。『知の欺瞞』という本が出て、ポストモダンの思想はなかったことになってしまった…
[補足あり] 存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて作者: 東浩紀出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1998/10メディア: 単行本購入: 17人 クリック: 173回この商品を含むブログ (185件) を見る 刊行から15年目に初めて読んでみたら、最後は「思想は転移する…
[以下の話を、「オレを認めろ!」の中二的な承認欲求と誤解する輩がいることには苦笑せざるを得ない。「わたし」でも「あなた」でもない他者の存在を記述し肯定する訓練を経ない学者が「理論」という名の自己中を拗らせる好例と言えよう。息子に自転車の乗り…
世の中の動きに不連続な断層が感じられる局面というのがあって、そういうことを世代論(旧世代と新世代の確執)の枠組みで語るとわかりやすいと考えられるようになったのはいつからなのか。東浩紀が1990年代に書いた文章を集めた文庫(2010年段階での回顧イ…
[最後までちゃんと読めば、チャチャを入れるつもりで書いているわけじゃないのがわかる(はず)。慌てないように。]5月から本棚を新たに購入しながら家中の大整理に着手して、家にある本はどれでもすぐに取り出せる状態を取り戻しつつあるので、ポスト・モ…
これで二百年の虚しい俗流近代音楽論の「音の自立」幻想(西洋音楽文化は自立的と「みなした」だけで実定はしていない、自立を実定できると信じるところから悲喜劇が起きた)を清算できるか? 視覚はフロント(網膜像)からの信号で概ね閉じているのに対し、聴…
影響の不安―詩の理論のために作者: ハロルドブルーム,小谷野敦,アルヴィ宮本なほ子出版社/メーカー: 新曜社発売日: 2004/09/30メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (10件) を見る 中途半端に影響受けちゃったアメリカの音楽学者にタラスキン…
最近ラジオが気になって仕方がなくて、そちらへ引きつけすぎた感想になるかもしれませんが、西村朗の室内オペラ「清姫 - 水の鱗」を聴いてきました。初演は2011年で、指揮はそのときと同じ田中信昭、作曲者もご臨席。
分厚い本を読み進めて部屋を片づけるシリーズです。その1:通信教育の研究。松下幸之助が戦前戦中の新仏教ラジオ講座を聴いていたのではないか、というPHPの研究があるらしいと聞きつけて、そこからこの本にたどりついたのですが、内容がむちゃくちゃ面白く…