2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

新製品がそんなに嬉しいか

ピアノでもオーケストラでも、新曲をやるとなると、新たに設備投資しなければならない。楽譜買って、読み込んで、不具合がないか入念にチェックして……。(貸し譜や売り物の楽譜だって、酷いのがあるからね、ときには。)新曲だから、多少の不具合は大目にみ…

伝統芸能と同人誌

(1) 伝統芸能の一門会の場合、家元が中央にどんと構えて、門下が脇に控える。そして古典を身につけてようやく「自由」になれるという考えがあるので、伝承の途絶えた演目の復曲とか、新作の移植初演などは家元がやる。(2) 一方、「業界に新風を吹き込む」新…

贈る言葉(←誰に?)

「どうやら筋の悪いものに関わってしまっているらしく、疑心暗鬼が募る。大丈夫、あなたは間違っていない、と耳元で囁く声が聞こえてこないわけではないし、薦められた経典にもこれでいいのだと書いてある。道を踏み外すといかに恐ろしいことが起きるか、堕…

オケでアルフレッド・リード

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こういう語彙は通常のオーケストラ音楽にはないな、という部分が浮き彫りになるところが面白かった。(下野竜也・大フィルの「オセロ」管弦楽編曲)吹奏楽ファンとオーケストラファンの接点を見つける試み、回を重ねる事に会場の雰囲気がなごやかになってい…

谷崎潤一郎と歌舞伎とオペラ

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武智鉄二「1959思い出のステージアルバム イタリアオペラ」『音楽之友』1959年12月号、p.50。 シミオナートは世界最高の名優だと思う。オペラ歌手としては……というような、条件つきの名優ではなく、演劇もバレエも、すべての舞台芸術を通して、第一級に位す…

2013年10月クールの木曜9時問題

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三谷幸喜のドラマ台本には「CM」の指定があるらしい。 三谷幸喜 創作を語る作者: 三谷幸喜,松野大介出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/11/15メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (6件) を見る 我が意を得たり。松本幸四郎のギャルソン…

生存確率

團伊玖磨や芥川也寸志が東京音楽学校から陸軍学校の音楽隊に回されたのは、そうやって優秀な学生を兵隊に取られないようにしたのだ、という話になっている。(少なくとも彼ら自身はそう認識していたらしい。)声明文に自分の名前を貸すのは決して悪いことで…

ユートピアとしての「緩さ」

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アンシャンレジームにおける啓蒙と古典主義(おおらかな古代人は素晴らしい)とか、産業革命と都市への人口流入期におけるロマン主義(森の民の「こえ/うた」を聴け、それこそがもうひとつの世界の扉を開く呪文なのだ)とか、と同じように、「緩い」ことは…

2014年は「ちゃんとしたもの」じゃないと誰も相手にしてくれない年になる

今年中にすべきことがほぼ見えてきたところで、ふとそう思ったので、書いておく。「ちゃんとしている」とはどういうことか、という定義が問題なんだけどね。そこを間違わないことが鍵だ、たぶん。

戦争が起きたらパタリとガイジンは来なくなる、でも、戦時中も音楽家は淡々と音楽活動を続けた

……んですよね。以前に朝日会館の情報誌を創刊号から順に読んで、シゲティだ、ケンプだ、ワインガルトナーだ、と賑やかなのが(水面下ではフルベンとBPOを呼ぶぞ計画もあったとか)、1937年でぴたりと静かになって、「南京大勝利」みたいな広告がデカデカと掲…

「私が責任を取るからまかせといて」というポーズを見せておいて、肝心なところで日和ると周りが迷惑する、まして、「悪いのはあの人!」と言い出すにいたってはなにをかいわんや

(本文はありません。思い当たる人には猛省を促したいわけだが、通常、こう言われて思い当たる程度に気の回る人は最初からそんなことはしない。だから書いても無駄なので本文はない。周りが事態を承知して対応すれば、当人がそのままでも支障はないわけだか…

近代能楽集

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卒塔婆小町は寺島しのぶ、いいんじゃないでしょうか。 『近代能楽集』ノ内「卒塔婆小町」 三島由紀夫 [DVD]出版社/メーカー: ポルケ発売日: 2013/10/31メディア: DVDこの商品を含むブログ (6件) を見る

寄付・招待・拍手喝采、広義の贈与をどのように社会へ組み込むか?

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「それは言葉の行き違いである」「何を細かいことにめくじら立ててるんだよ」という風に、言説の水準に問題を落とし込むのは、ひとまず対処療法としてよいのかもしれませんが、おそらく背景にあるのは、相当の対価を支払う等価交換とは違うしかたでの、もの…

欧と米

「アメリカ人がヨーロッパに接するやり方、ヨーロッパを語るやり方」を日本人が巧みに真似れば真似るほど、ヨーロッパは遠くなる。当たり前だが。そしてこれは、「もうヨーロッパから学ぶものはない」からではなく、どうやら、ヨーロッパがいつまでも遠くで…

啓発!

「エスキモーに氷を売る」くらいの覚悟で営業するのは結構だが、当のエスキモーに「こいつはオレに氷を売りつける気だな」と悟られるのはいかがなものか。覚悟の「見える化」は、営業頑張ってね!と周囲の同意をとりつけて、当事者を圧迫しようとするムラの…

太棹とハウスマヌカン(←死語?)

「やっぱりモーツァルトはフォルテピアノよね。といっても、ショパンが愛用したプレイエル、リストが好んだエラールと、18世紀ウィーンの楽器は全然違うし、ベートーヴェンが初期に使ったピアノとハンマークラヴィアの頃では、随分楽器が変わっているの」な…

巡業ルート

日本で唯一「大都市」であることが制度的に保証されている街の人の意識から漏れてしまうことのひとつに、地方巡業があると思う。ちゃんと調べたわけではないけれど、外国から呼んだ人についでに「地方」を回ってもらうオプショナルツアーを組むときの組み方…

もしそれが本当に偶然だとしたら、意図的な誘導の数倍不気味だと思うのだけれど、そういう理解でいいのだろうか

(本文はありません。でも、ヒトが偶然モテモテになって、「私、4日連続で4人からプロポーズされちゃった、でも、いつもそうなのよね」とか、普通はありえないっすよね。年は各団体がおおよそ何年に一度ツアーを組むというそれぞれの周期の最小公倍数で重…

これは根性論ではない、と思う、たぶん

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「弥七師匠に教わったのは、[……]大夫を殺すくらいの、ギリギリのところでやると相手も力が出るということ」 http://mainichi.jp/feature/news/20131120ddf012040029000c2.html いい言葉です。力出してくれよ、洋楽斑。じゃないと、曲の途中でも帰るぞ(笑)←…

ガキの居る場所

許されざる者 [DVD]出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ発売日: 2010/04/21メディア: DVD購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブログ (35件) を見る 成長するガキ(最初のほうでチャカ嬉しそうにもてあそんでる子のことね)はスクリーン上に登場す…

最近こんな作文をした

ここで扱っているのはオペラの話だけれども、日本歌曲でも似たような視野狭窄がありはしないか。「美しい日本語」もいいけれども……。ドイツ・リートもフランス歌曲もイタリア歌曲も、「正しい言葉遣い」とか、そんなんで作曲されてはいないと思うけど。 日本…

男一匹

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ワーグナーについて作文中なのですが、初期の習作って、ガチガチに「硬派」なんですね。モテ系のエレガントなピアノを弾くことのできない不器用な感じで、でも、誠実に歌う旋律を書く才能と、はったりの効いた効果を塩梅する力は最初から備わっていて、結構…

グリーグとリスト、経営者にお薦めしたい気宇雄大

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グリーグはライプチヒ音楽院に学んでいて、ピアノ協奏曲はシューマンそっくり、というのはお決まりの曲目紹介ですが、ローマでリストに会ってピアノでこの曲を弾いたら、ひどく気に入られたらしい。 グリーグ その生涯と音楽作者: アーリングダール,小林ひか…

サロメとメリザンド

毒婦と童女。同じ時代の対極の女性像と言われるけれど、だとしたら互換性があったりするかも。「メリザンドのようなサロメ」は、たぶん、誉められやすい。「サロメのようなメリザンド」、周囲のすべての男を惑わせてしまう妖艶な少女が塔の上に住んでいる、…

ハイシーズン感

書かずもがな、かもしれないけれど、ウィーンとベルリンとその他、いわゆる「名門中の名門」の来日がこの時期に集中したのは、結局、この時期に年間スケジュールの目玉企画として招聘する、というのでないと企画が動かない、という日本側の都合ではないのだ…

琵琶湖の金輪際と臍と桐壺 - 「龍の棲む日本」

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[段落ひとつ分を追記。] 龍の棲む日本 (岩波新書)作者: 黒田日出男出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2003/03/20メディア: 新書購入: 6人 クリック: 48回この商品を含むブログ (15件) を見る 中世には、日本の国土を龍が守っている、という考え方があったら…

バブルの遺産に意外な効用

地上40階の「空中庭園」で知られる梅田スカイビル(大阪市北区)に外国人観光客が押し寄せている。 http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/131114/wlf13111412140012-n1.htm 貨物駅跡地をショートカットできたら、大阪駅から近そうな場所ですよね…

ブレイン不在

読了。 大阪―大都市は国家を超えるか (中公新書)作者: 砂原庸介出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/11/22メディア: 新書購入: 1人 クリック: 16回この商品を含むブログ (29件) を見る

不吉

論を破るだけで物事が動くのであれば世話はない。(論破室=ロンパールーム、おそまつ、しかも古すぎて意味がわからん。)おしゃべりを続けなが見る夢が物事を動かすと思っている人は世話が焼ける。「ご乱心」状態。(最近ようやく、ある世代以下では「酒に…

研究の目的

なるほど、「好きなもの研究」の是非じゃなくて、「研究対象にこれを選んだのは、たまらなく好きだからです。だって、○○はホントにホ〜ントにすごいんです」と書かれたレポートを読むのが辛いという話か。その対象をこの学科で扱うとしたら、こういう視点が…