2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

豊満と洗濯板

ローマに安住の地を得た今のムーティとか、少し前の、ブッセートのヴェルディ・フェスティバルに仲間を連れて乗り込んだゼッフィレッリとかを見ていると、時代を作った人が、そのあと、歳を取ってもやりたいことをやり続ける場所を見つけられるようになって…

ムーティのイタリア語

フリットリが降板しちゃったので、「指揮者のオペラ」を堂々とやり抜く現在世界でただ一人の生き残り、なのかもしれないリッカルド・ムーティが劇場を支配する様を目撃するのが先の「シモン・ボッカネグラ」の最大の見所だったように思いますし、後期ヴェル…

ルーマニアのマリン・コンスタンチン(の息子)

イオン・マリンのブラームスは独特で、ところどころ、まるでドヴォルザークみたいだと思いながら聴いていたのだけれど、改めて彼のプロフィールを確認して、ああ、ルーマニアの人なのか、と、何か手がかりを得たような気がした。独特の色彩感というか、いく…

「シ−、シー、シー、拍手は指揮者が手を下ろすまで我慢しなさい」と他人に強制して大人ぶるのは、どこかしら幼児退行めいている

上の記事のすぐあとで逆の意見を書くようだが、「拍手は指揮者が手を下ろしてからにしましょう」問題については、これこそ音楽の終わり方・収め方をめぐる議論だけれども、いつも書くように、私はなるようにしかならないし、たいしたことではないと思ってい…

終わり方・収め方

http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20140526/p3↑の補足。行事が無事終了しました。結果は○○でした、次は△△です、等々、という報告は、分身の術と似て非なるまっとうな作業だと思うのだけれど、興行は、やりっぱなしで放置されてうやむやになることもある。

総督の話

ジェノバの総督の話を見に行く往路の新幹線で、戦間期のケルン市長から第二次大戦後にボン政権の初代首相になった人の評伝を読む。 アデナウアー - 現代ドイツを創った政治家 (中公新書)作者: 板橋拓己出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/05/23メデ…

アガメムノン家の運命

オペラの歴史は、近世近代のヨーロッパの支配階層が神話をどう受け止めてきたかの歴史でもあると思うのだけれど、それを整理して他人に説明しようとすると、かなり大がかりになりそうですね。蜷川演出の「グリークス」を見直しながら、どうしたものか思案中…

翻訳大国

そういう事情がある(あった?)とは知らなかった。http://blogs.yahoo.co.jp/katzeblanca/25777123.html

分身の術は外の世界では通じない

ある人物に資格・称号・肩書き・評価を付与するには、3つの手順がある。

「倍返し」が不発に終わると相当にかっこわるい

ついでに書いておくが、どうやら世の中には、しばしば親が子どもに説教するときの言葉「○○ちゃん、もしあなたが他人からそんなことをされたらどう思う。嫌でしょう? 泣いちゃうでしょう。自分がやられたら嫌だなあ、と思うことは、他人も同じように嫌なのだ…

「プロである彼」

この人は、ときどきこういう粗雑な言葉遣いを自慢げにやるよなあ、何なんだろう、と思うわけだが、少し考えて、たぶんこうだろうと得心した。わざわざ「プロ」という文字を入れたのは、言外に、「私は一流の人間しか相手にしない」という自意識があるのだろ…

補足:音量・音圧と聴いた印象

あるいは、ある特別な奏法を試そうとして、メロディーパートはこういう感じ、伴奏はこんな感じ、と弾き分けさせようとするときには、それらを組み合わせたときの相互の関係はどうなっていて、両者が関係しあうことで生まれる妙味がうまく伝わるようにバラン…

適切な音の大きさ

ああ、この人たちは思っていたより、ずっと無頓着に音を楽しんでいて、それで話がかみ合わないんだな、ということがわかったので、もう、墜ちていく人たちはほっとけばいいか、と、半分以上どうでもよくなっているのだが、いちおう、書いておく。マイクで個…

記号の置き換え

( a - x )( a + x ) = 0という式をパソコンのディスプレイに表示しようと思うのだが、そのパソコンが旧式で、アルファベットは大文字しか表示できなかったとする。あなたならどうするか。( A - X )( A + X ) = 0でよさそうなものだが、この数式を読むと想定…

システムの隙間にゆらめく幻

twitterへの投稿は、プライベートモードにしないかぎり、twitter非利用者から丸見えなわけだが、インターネット上のコミュニケーションに慣れていない人はこのことに気づきにくいようだ。「それくらい気づけよ」というハードボイルドな思想で設計されたしく…

外声の3度

[もしあなたが、不安や不信が先に立つ過剰にネガティヴな心理状態に苛まれているのでなければ、ごく普通に受け止めうるはずの意見なので、あなたの心の有り様を映す鏡としてご利用ください。]ブランデンブルクの5番は、単にD-durというだけでなく、第一ヴァ…

寄付行為と少額決済

で、そういう風に、どうやら適切に実体が指し示されているわけではなさそうなフワフワ感を取り去って考えると、「クラウド」とかそういうのって、寄付行為(とりわけ個人の)をどのようにシステム化するか、そして、個人の少額決済を数多く集めるタイプの事…

劇場と劇団とアンチ・エイジングな音楽論

歌舞伎の座元と劇団の座長の関係がなんともややこしいものだったに違いないことは、座元の名跡と役者の名跡が入り乱れて現在に継承されていることだけからでも容易に想像できるだろう。ヨーロッパの歌劇場だって、貴族の劇場支配人と、旅回りの劇団と、地元…

ある道具が現在の常識では○○という活動に有益だと考えられているのだとしても、その道具の具体的な問題点は、○○という活動の是非とは独立に議論可能である。他人と理性的なコミュニケーションの場を築こうとするのであれば、その程度の仕分けが当たり前にできるように、脳味噌の状態を調整しておいていただきたいものである。

成果を披露するところまでがコンクール

うまいものを食べることができればそれが幸せ、という人もいるのだろうけれど、こういう風にできないかと考えて自分で料理を作ってみようとする人も世の中には確実にいる。音楽はなかなか自分でやろうとすると大変ではあるけれど、名曲名盤を選んで繰り返し…

みなさん、聴き手・聞き役に徹するのは退屈じゃないですか?

反感を買うかもしれないが、フェスタの結果は私にとって少なからずショッキングだった。やっぱりあれを通すんだ、あのパフォーマンスのネタはバレバレなんだけどなあ……、などと思った。

リズムの足し算と割り算

西洋の高級な音楽はハーモニー、響きを作ることを重視する(リズムを独立要素にせず、響きの様態の変化でリズムを生み出す=リズムをハーモニーに従属させる)という傾向があり、しかもウィーン古典派以後の器楽は、舞踊のリズムから来た発想と、詩・文芸の…

ドヴォルザークとバーミンガム

17日の関西フィル定期はドヴォルザークのレクイエム。解説を書かせていただきましたが、力不足で通り一遍のことしか書けなかったところ、指揮の藤岡さんがプレトークで熱い思い入れとともにポイントを解説してくださいましたが、そのプレトークと実演を通じ…

アルカディア!

西村作品の終わり際の一番忙しそうなところで髪の毛を掻き上げる余裕(?)のしぐさが素敵でございました。(ストリーミングでもそのシーンは確認できたのだろうか。)堕落した「デカルチャー」(マクロス)な感想だが。

ルーマニア

面白いポイントを彼らから引き出せそうなのは、むしろあそこか。面白くなる前に妙なプロモーションにひっかかってつぶれたら、まあ、そこまでのもんだったということ。

音楽の存在意義、音楽研究の大義名分

大上段に構えた感じのタイトルでございます(笑)。

だから文系/理系という疑似問題に落とし込むのは筋が悪いと何度言えば……

http://www.nikkei.com/article/DGXZZO70875170Y4A500C1000004/ http://www.nikkei.com/article/DGXBZO71055780S4A510C1000000/ http://www.nikkei.com/article/DGXBZO71119810T10C14A5000000/ これを読んで、「理系の世界は文系とは違うなあと思いました」…

堅い判断

7団体から3団体に絞る二次予選が「決断のとき」になった印象のある弦楽四重奏部門。一次予選を聴いたときに、「めちゃ保守的な若者たち。古き良き伝統を守らんとする、我ら音楽騎士団、みたいな感じだなあ」と思っていたグループも本選へ進んだみたい。お…

バルトークの功績

「東洋のバルトーク」こと大栗裕は、歌劇も管弦楽も書いたけれど後世に残ったのは吹奏楽曲(主に1970年代の)だった。本家ハンガリーのバルトークの最大の遺産というか功績は、今も室内楽コンクールの課題曲として誰も避けて通ることのできない弦楽四重奏曲…

なるほど

って感じの結果になったピアノ三重奏・四重奏二次予選。四重奏も本選に残ったので、野平さんの曲が聴けますね。そしてモーツァルト、スメタナ、ラヴェルで凝りに凝った解釈を聴かせてくれた彼(ピアノ・トリオはピアニストに魅力・色気がないと成立しないん…