2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

雨の効用

我が物顔の自転車が湧かないので、駅前が見違えるように落ち着いて歩きやすい。

開花

式辞の舞台裏

東大卒業式の式辞が深いと話題に「善意のコピペや無自覚なリツイートは......」(全文)東大卒業式の式辞が「深い」ことになっているらしいのだけれど、ここで語られている「第三の間違い」を石井洋二郎はどうやって突き止めたのだろう? じつは、大河内総長…

同好会はなぜ対外的に成果披露するのか?

学校のクラブ活動って、たいがいそうですよね。なぜなんでしょうね。自発的な無償の行為である、というのが同好会の同好会たる所以ではあるけれど、そのような無償の行為は、何者かの好意や善意の賜物であり、その感謝の念を表明したり、恩返しをする感覚で…

詩人マショー

凍雲篩雪 - 猫を償うに猫をもってせよこの知識をどう活かせばいいのか、すぐにはわからないけれど、とりあえずメモのつもりでリンクを残す。(ジョスカン・デ・プレは「ジョスカンは」とファーストネームで呼ばれるけれど、ギョーム・ド・マショーは、日本語…

まるで交響曲のように聞こえる巨大な声楽作品

マーラーの千人の交響曲(いま気づいたが、関西で今も続く初夏のイベント「30000人の吹奏楽」はもともと「1000人の吹奏楽」だったのだから、イベント名はたぶんこの作品のもじりですね)の第1部は、ソナタ形式のように構成されてはいるけれど実体はラテン語…

音楽における近代の「日本留学」と東アジアの近代化論

「1900-1950年の東アジアとオーストラリアにおける芸術家曲」という学術シンポジウムと連動したレクチャーコンサート「“芸術家曲”の誕生と音楽の近代」という催しを聴いて3つの感想を抱く。1. オーストラリアの位置づけがよくわからない。現在の北米の世界戦…

獣の宅配

吹田ジャンクションの近くで戦闘力の低いわたくし好みの個体を発見した。どうやら昨日来、「ちゅうかん」(大阪府道2号大阪中央環状線)や「がいしゅう」(同1号万博外周道路)、「しんみどう」(新御堂筋国道423号)とか「いないち」(同171号)とか、ある…

アイロニーとユーモア、「あえて」と「ごっこ遊び」

アイロニカルな人はユーモアをアイロニーだと受け止めてしまう、という症状が、アイロニーとユーモアの差異の話を難しくしているように思う。そして、「あえて」というアイロニカルな構えを崩すことのできない人は、ごっこ遊びをフィクションだと受け止めて…

異議申し立てを「怠惰な不作法」と同一視する「勤勉なる編集委員会」の礼節と言論封殺

この単純なサイクルの中に多数の必要業務があり、マニュアルが存在するとはいえ、そこに書ききれない膨大な経験知が蓄積されていたこと、そして煩雑に思われる諸々の手続きにはそれぞれに意味があることを改めて認識しました。 (小塩さとみ「編集後記」『音…

ベテラン楽員さんへ:オーケストラの「ハイフィンガー奏法」はもうやめましょう!

クラシック音楽はいまや「競技」である、という風に割り切ったうえで、各方面は「もっと上を目指す」方針を採用する傾向が顕著らしいので、だったら2017年度の開幕に当たって、大阪のクラシック音楽界隈の「戦力」の「現状分析」をしてみよう。負け組を切り…

合格者名簿

織田作之助、司馬遼太郎など数多くの作家を輩出した新聞であり、近畿地方の私立大学の合格者名簿を例年3月に掲載。 大阪新聞 - Wikipedia たしか東大の合格者名簿はどこかの週刊誌に出て、京大・阪大の合格者名簿を載せる夕刊紙もあったはず。あれは大阪新聞…

通年公開

京都御苑(御所は宮内庁の管轄で御苑は環境省の管轄なのですね)を丸太町側から今出川側へ北上してみた。御所の壁の内側にPがたくさん出るのはどういうことかと思ったら、昨年から、春と秋だけでなく、御所を通年公開しているんですね。御所のなかでは、観覧…

取り繕う手遅れ感

「読めばわかる」と言うけれど、あなたは、今あなたが有り難いお言葉として引用した人物が昨年、官能小説を発表したときに、その「没頭ぶり」を読めていたのでしょうか?とても醒めた発言をしていたように記憶しますが。老人の官能小説を叱る愛国青年将校た…

協賛と翼賛

信時潔「海道東征」は1940年、皇紀2600年に作曲披露されているが、これは、政府主催の皇紀2600年記念式典そのもので上演されたわけではなく、この政府行事に「協賛」して、別団体が委嘱した作品であるとされている。(皇紀2600年は、そうした「協賛行事」に…

演奏の拡散の行方

多くの人が情報発信者の「希望」に応じて律儀に「拡散」しているらしい発言で話題になっている横山幸雄は、最近「ギネスに挑戦」といった競技志向を強めているわけだが、もちろんみなさんは、スマホやパソコンの twitter の所定の操作をしただけのことなので…

歴史的総括

金融バブルの崩壊から東日本大震災までの日本の「失われた20年」(1991〜2011)は、文化の領域においては、無芸無才の庶民が公開されたルールに従う競技の成績に応じて社会的地位を付与される再配分の時代であり、このような競技が「キラキラ系」と呼称され…

メディア考古学

(九州人風のはったり話法は、また増田聡かよ、と思ったら吉田寛の発言だった。どっちがどっちだか次第にわからなくなるのは、何の兆候なのかしら。) 「VRの最大の特徴(あえて問題点とは言わない)は「その人が何を見ているのか、周りの人が分からない」こ…

時間芸術とタイムトライアル

ひとつ前のエントリーは、「受験勉強は、長文の論述問題(片山杜秀が日本史・世界史の入試問題に関する新書で取り扱ったような)を含めて、時間を区切って効率的なポイント・ゲットを競うタイムトライアルなのだから、幼稚園小学校から大学院まで、数度にわ…

傲慢と劣化 - 学位年齢の構造と、大学経理が現在の日本の学位を消耗品に計上する可能性について

吉田寛や増田聡は、不都合な指摘を受けると読者の関心を逸らすべく大急ぎで別の話題を書き込む、という作法が身についているようだが、こういう態度に対抗するときには、【拡散希望】というタグをつけて大騒ぎしたりして、明快な謝罪を引き出すまで頑張るの…

恥の多い人生

実務はからきしダメだが口数が多く何にでも絡みたがる大学教員と、万博立候補に至る実務は完璧だがアイデアゼロの役人は、どちらがより恥ずかしいか?こういうときに、50歩100歩、目くそ鼻くそ、というのだろう。両者がいがみ合うばかりで仲間割れしているの…

ゼロ年代の澱

吉田寛先生が、研究者としての立場・名声・業務形態が安定してやっとこれから、という態勢を整えたとたんに、身から出たさび、もしくは、否応なく染み出す澱のように、ゼロ年代ネット論壇の一番ダメな部分と言うべき詐欺的体質を twitter であらわにしつつあ…

あなたたちは「協賛」と「後援」の使い分けを知らないの? - 美学者の「籠池」的発想を憂う

吉田寛 Hiroshi YOSHIDA‏ @H_YOSHIDA_1973 14時間 責任者出てこいレベルだな、これ。 matsunaga s:3D @zmzizm あとは言っちゃいますが、加速のときに某B学会に協賛お願いしたら断られたみたいなのがあって、それで逆にやる気でたのはありますね コンサートの…

写真と音楽学といわゆる「遠近法的倒錯」のこと

楽譜の筆跡やインクの色に着目した「科学的」な楽譜校訂であるとか、そもそも、音楽文化における記譜・楽譜の意義であるとか、という議論も、対象は中世以来の写本等まで遡るけれど、おそらく「写真以後」の発想だろうから、音楽学は、録音技術や異文化との…

大阪の子供はどこにいるのか?

日曜日に新大阪に行く用事があったので、ついでに御堂筋/北大阪急行沿いの公園を回ってみた。千里まで行くと街の高齢化を実感せざるを得ないのだが(私が住んでいる団地も同じです)、梅田・新大阪からそれほど遠くないあたりは休日の親子連れや中高生がた…

大阪のメセナと公共の現在

びわ湖ホールの小菅優リサイタルの批評を京都新聞に、いずみホールのイザベル・ファウスト、ジャン=ギアン・ケラス、アレクサンドル・メルニコフの三重奏の批評を日経新聞大阪版に書きました。2016年度の終わりに、ここ数年の、いずみホールに代表される小…

大正区の昭和山と大阪の怪物たち

運河に囲まれた大正区は、大正時代に大阪市街地と結ぶ大正橋が敷設されて、この橋にちなんで大正区となったらしい。環状線駅は大正橋のそばで、大阪ドームができたりしてにぎやかだが、区役所は南にあって駅から市営バスが通っている。千島とよばれるそのあ…

逆説を弄ぶ者

(承前)あの審査委員が辞めてしまったために賞が取れなかった、という言い分も聞いたことがあります。こちらはあまり同情できる話ではありませんが。 そうですね。「渡辺裕が審査委員であるにもかかわらず、吉田寛はサントリー学芸賞を取れなかった」という…

びわ湖リングがはじまった

新国立劇場の2001〜2004年のニーベルンクの指輪は、「読み替え」の潮流がゼロ年代のクール・ジャパンと合流するキッチュな舞台で、「トウキョウ・リング」と呼ばれたりしていたが、びわ湖ホールが今年から4年がかりで取り組むことになっている指輪プロジェク…

日本人研究者の英語力を測る起点はどこなのか?

日本人研究者にとって英語力は必須だ、とか、研究者の英語力は確実に向上している、とか、実に不思議な議論があるようなのだが、「向上」の起点はどこなのだろう? 日本の近代の学問は、英語もしくは欧米語の読み書きができなければたちゆかないと観念して洋…