2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

オペラとバレエ

バレエの台本と振付ポピュラー音楽系の人たちは、(おそらく専門分野を存続させるため、という事情もあって)聴覚文化とか資源としてのサウンドということを強調するけれど、オペラやバレエに関して言えば、長らく、音楽もしくは聴覚的側面(「聞こえくるも…

「わざ」の近代

大栗裕のハーモニカについては、もう少し調べたいことがあって、少し探っていたらこの本にたどりついた。 ハーモニカの本作者: 斎藤寿孝,妹尾みえ出版社/メーカー: 春秋社発売日: 1999/11/26メディア: 楽譜この商品を含むブログ (1件) を見る この本も面白い…

裏を撮る

朝比奈隆から大栗裕に贈られたくるみ割り人形(→http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20160122/p2)は、確認すると、やはりエルツ山地で作られたものだった。(裏のラベルに今まで気付かなかった私が迂闊なのだけれど……。)証拠を押さえるべく、「ORIGINAL ERZGE…

兵隊のくるみ割り人形

クララとロッテンマイヤーという「ハイジ」の登場人物の名前は、くるみ割り人形のクララ、ドロッセルマイヤーとなんとなくカブるなあと思うのだが、ホフマンのくるみ割り人形は兵隊さんの格好をしていて、それは、ナポレオン戦争時代のドイツの世相と関係が…

トンボバンド特製No.1521

ハーモニカの件だが(http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20160109/p1)、やはり楽器なのだから音が聞きたい。現役のトンボの21音複音ハーモニカを取り寄せたら、えらく立派な箱に収まって届き、あらためて、箱も重要なのかもしれないと思わせられた。手前が大…

新芸術・国際協調・新体制・サブカルチャー・マネーゲーム: 「短い20世紀」も一枚岩ではない

ドイツでは新ウィーン楽派以後の動きを「新音楽 Neue Musik」と呼ぶが、考えてみれば、19世紀末以来のアーツ・アンド・クラフト運動が全ヨーロッパに波及した現象がフランス語ではアール・ヌーヴォと呼ばれているのだから、世紀転換期の動向は、「新芸術」と…

万博は産業博覧会である

CITIZENまで絡んでいたのだと知って、そのことを改めて思う。68年の若者の叛乱の渦中で開催されたので、大阪万博にはじまる「ニッポンのバンパク」は祝祭の商品化を批判的に考察するアングルで語られたりするが、ロス五輪以後のオリンピックにおける商業主義…

尚工舎と精工舎

日本万国博覧会は謎が多い。前に書いた、大栗裕に贈られた記念プレートの「MINTED BY SHOKOSHA LTD」の刻印だが、どうやら万博記念メダル等にも同様に「SHOKOSHA」もしくは「尚工舎」の刻印があり、シチズンの前史にたどり着いてしまうようだ。シチズン CITI…

ハーモニカの構え

大栗裕はハーモニカで作曲した、とされており、生前自身も(ややネタ気味に)そう言っていた。そして遺品にはハーモニカが含まれているのだが、記録写真を撮ろうとして、どうにもさまにならずに困っていたのである。ハーモニカのように金属で覆われてピカピ…

「寸法」という文化? 大阪万博感謝状の謎

必要があって写真用パネルを探しているのだが、写真用紙のサイズは、L判とかの他に、モノクロ写真時代からの「全紙」「半切」「四切」「六切」というのがあって、デジタル写真をプリントアウトする時代になって「A3ノビ」など、新しいサイズ概念も登場してい…

「現代の日本音楽」と大栗裕

大栗裕の作品目録は音楽劇(舞台作品)、演奏会音楽、放送音楽、というように発表媒体ごとに分類するとすっきりまとまる気がするのだが、大栗裕所蔵の録音については、発表媒体がより大きく広汎に流通したと考えられるものから順に並べようかと思う。具体的…

第2章

AP

”audile” とは?ジョナサン・スターンが第2章の最初で言葉を尽くしてまとめようとしている案件は、日本で今ではお題目のように誰もが口にするようになった『聴衆の誕生』方式の「近代的聴取」とは、概念のスペックや力点が微妙に違っていそうなのだが、訳文…

序論、第1章

AP

序論:「技術は文化だ」ジョナサン・スターンを、今度は小説か戯曲を読むように一行ずつ検討してみる。視覚偏重で聴覚が不当に扱われている、という書き出しは、いかにもゼロ年代な、ひがみと煽りで辟易する。著者も時代の子である。そこを我慢して先に進む…