兵隊のくるみ割り人形

クララとロッテンマイヤーという「ハイジ」の登場人物の名前は、くるみ割り人形のクララ、ドロッセルマイヤーとなんとなくカブるなあと思うのだが、

ホフマンのくるみ割り人形は兵隊さんの格好をしていて、それは、ナポレオン戦争時代のドイツの世相と関係があるんじゃないかと言われているらしい。(学生さんのレポートで教えてもらった。)

くるみ割り人形の由来

クリスマスの時期になると飾られるくるみ割り人形は、ナポレオンをイメージしていると言われる。原作となっている『くるみ割り人形とねずみの王様』をホフマンが発表した当時は、ナポレオン戦争でドイツが荒廃した時期であった。人々は兵士たちが苦しい生活を強いられる中、ナポレオンを模した醜い人形に硬いくるみを割らせることで、鬱憤を晴らしていたと言われる。それがやがて、クリスマスに食べるくるみを割ってくれる愛すべき人形へと変わっていったようである。

コラム 〜その2〜 | バレエ「くるみ割り人形」|新国立劇場

木製のくるみ割り人形は、キッチン用品としてのくるみ割り Nutcracker とはまた違った歴史があって、一方でクリスマスのデコレーション、もう一方で、ドイツの木製おもちゃの世界へつながっていくようだ。

Wikipediaをさまよっているうちに、ザイフェンのエルツ山地おもちゃ博物館というのにたどりついた。

http://www.spielzeugmuseum-seiffen.de/spm3.htm

チェコとの国境の山岳地域で、英語のウィキペディアのほうでは、Wooden toymaking in the Ore Mountains というのが立項されていて、「オーレ山脈」の呼称を表に出している。

https://en.wikipedia.org/wiki/Wooden_toymaking_in_the_Ore_Mountains

各種くるみ割り人形の写真はこっちにある。

https://en.wikipedia.org/wiki/Nutcracker

で、大栗裕の遺品には、朝比奈隆から贈られたドイツ土産のくるみ割り人形というのがある。

朝比奈隆はドイツ、東欧のオーケストラを何度も指揮しているし、彼が渡欧するのはたいてい年末年始だが、この人形は、クリスマスのくるみ割り人形が飾られるシーズンに見つけたのだろうか。

(このお人形さんの帽子と制服は、兵隊さんなのか官憲なのか、調べておきたいことはまだまだあるが。)

[続報 → http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20160126/p2 ]