2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

高木和弘・無伴奏ヴァイオリンリサイタル第2夜

ザ・フェニックスホール。第1夜(10/26)をやり切ったあとで、正直、第2夜は、私には蛇足に思われました。高木さんの演奏は、「無邪気に歌うことだけはしない(できない)」という自意識のこわばりのようなところから出発していて、第1夜のパガニーニは、…

岡田暁生「西洋音楽史 - 「クラシック」の黄昏」

(mixiの日記の加筆・再録です。)岡田暁生「西洋音楽史 - 「クラシック」の黄昏」(中公新書) ISBN:4121018168今の感覚で書かれた、日本語の適当な音楽通史がない、というのは、「音楽史」の授業をする時に長らく不便でたまらないことでしたので、出版を心…

阿部真理子ピアノリサイタル

ザ・フェニックスホール。前半のみ(バッハ=ブゾーニ「シャコンヌ」、リスト「ペトラルカのソネット第104番」、「ダンテを読んで」)。難しい曲が並ぶプログラムを慌てずさわがず、淡々と弾き通すことができたのは、本当にコツコツ地道に譜読みをされた成果…

関西歌曲研究会第69回演奏会「日本歌曲の流れ」《私の好きな日本の歌》

ドーンセンターホール。会員の日頃の歌の研鑽の成果を発表する場なのだと思いますが(出演者10名)、総花的な発表会ではなく、テーマを設定して統一感をもたせる工夫が長続きの秘訣なのかな、と思いました。

宮川彬良×平原まこと〜サッちゃんからヤマトまで〜

ザ・フェニックスホール。「マツケン・サンバの生みの親(作曲者)」の宮川彬良が、選曲・トーク・演奏の魔法のような手練手管を駆使して、「平原綾香の父親」、ベテラン・スタジオ・ミュージシャン平原まことの鍛え上げられたサックス(ソプラノ・サックス…

八木良平ピアノリサイタル

ザ・フェニックスホール。曲の構造を隅々まで調べて、きっちり把握していることは伝わってきたのですが、奏法が我流で感覚的な喜びに乏しく、乾いた分析報告のようになってしまっていたのが本当に残念でした。ベートーヴェン「テンペスト・ソナタ」、ブラー…

高木和弘・無伴奏ヴァイオリンリサイタル第1夜

ザ・フェニックスホール。パガニーニ「24の奇想曲」全曲演奏。客席が四方からステージを囲む配置で、向きを変えながら弾くというステージング。どこで動くかということまで、細かく計画を立てているようでした。演奏も、全24曲をトータルにとらえて、どこで…

長岡京室内アンサンブル

京都府立府民ホール・アルティ。今回は、若手がソロやリーダーとして活躍するヴィヴァルディの協奏曲(「チェロ協奏曲」ニ短調=独奏:マルクス・ベリ、ヴァイオリン様相曲イ短調op.3-6=独奏谷本華子)とグリーグ「ホルベアの時代」(コンサートマスター=…

臼井真奈オルガンリサイタル

午後、いずみホール。ヴィエルヌ「オルガン交響曲第1番」でもホール全体が共振するような迫力に頼ることがなく、また、特殊なストップを駆使したせいか、音の取りこぼしが何度かあったので、一般受けしにくい演奏だったとは思いますが、バッハのコラール「…

京都フィルハーモニー室内合奏団第143回定期公演

京都コンサートホール小ホール。数人から数十人のグループが、大企業を出し抜くというのは、IT業界のごく普通の光景ですが、音楽でも、小編成の合奏は、「小さな(色々なものが足りない)管弦楽」ではなく、組織や合意形成のありかた(アンサンブル)から根…

川中恵子ソプラノリサイタル

いずみホール。前半のみ(シューマン/「ミルテの花」抜粋、團伊玖麿「抒情歌」、オペラ「夕鶴」より)。高音が響かず、ピッチや音色が安定しないなど、発声にやや無理があるのかな、という印象を受けました。ピアノ、川中恵子。

ユーリー・バシュメット&モスクワ・ソロイスツ合奏団

京都コンサートホール。ピリオド奏法を逆手に取ったシンセサイザー合成のような音響(バッハ「ブランデンブルク協奏曲」第6番)、弦楽器の生理と呼吸(チャイコフスキー「弦楽セレナード」)、渋くくすんだ音色(モーツァルト「協奏交響曲」変ホ長調)。世…

J-CLICK THE TAP Foot Voice Vo.7

ワッハホール。タップとアイリッシュ・ダンスで耳になじみのある曲を踊っていくステージ。テクニックを磨いて、様々な見せ方ができるようになれば、面白くなりそうです。

大山紗代フルートリサイタル

ザ・フェニックスホール。全体に小さくまとまりがちではありましたが、無茶をしない良心的な演奏ではあったと思います。ドニゼッティ「ソナタ」、ムチンスキー「ソナタ」、ドップラー「ハンガリー田園幻想曲」、尹伊桑「歌楽」、シューベルト「しぼめる花に…

芹澤佳司ピアノリサイタル〜バルトーク(没後60年)の世界〜

イシハラホール。荒削りとも思える弾き方ではありますが、バルトークが掬い上げようとした凶暴さ、敏捷な身体感覚、色彩感を捉えることに成功していたように思います。「アレグロ・バルバロ」、「左手の練習曲」、「2つのルーマニア舞曲」、「舞踏組曲」、…

山本英二・楠本隆一ピアノデュオリサイタル

ザ・フェニックスホール。柔軟で良識的な山本英二と、楽器をコントロールしきれずに、つい強めに叩いてしまう楠本隆一。お二人のスタイルが相当に違っていて、やや落ち着きの悪い演奏でした。モーツァルト「ソナタ」K.448、ラフマニノフ「組曲第2番」、ドビ…

吉川隆弘ピアノリサイタル

ザ・フェニックスホール。指が先に動いてしまうというタイプの演奏。ブラームス「パガニーニ変奏曲」を快速に弾き切ったのは大変なことだと思います。他にベートーヴェン(「月光ソナタ」)とショパン(「舟歌」、「マズルカ」嬰ハ短調op.50-3、「英雄ポロネ…

世宗文化会館・ソウル市オペラ団公演 金東振「沈清(シム・チョン)」

午後、アルカイックホール。春の関西二期会ソウル公演などとともに「日韓友情年2005」の企画のひとつ。歌手の水準は高く、パンソリの歌唱法とオペラの管弦楽効果を組み合わせた作曲は、手堅い仕事と思いました。張允聖、指揮、ザ・カレッジオペラハウス管弦…

ザ・タロー・シンガーズ第12回定期演奏会

午後、ザ・カレッジ・オペラハウス。ドイツの二重合唱を集めたプログラム(シュッツ、メンデルスゾーン、ラインベルガー、ブラームスなど)。パート数が多い分、個々人の負担がやや大きかったのかもしれません。透明な発声、スムーズな流れを重視した軽いア…

京都市交響楽団第481回定期演奏会

京都コンサートホール。ブラームス「交響曲第1番」では、決め打ち的に弾こうとする京響と、音にたわみ、ふくらみをもたせようとする指揮者、大山平一郎がかみ合っていない印象。ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番」の独奏、長岡純子さんは、芯のある音、…

荒憲一ピアノリサイタル

イシハラホール。モーツァルトの作品集。ニ短調とハ短調の幻想曲で、重い音を打ち込む気合い、ソナタK.330、K.331のややくすんだ感じの柔らかさは、晩年のバックハウスなど一昔前の演奏を思い起こさせるものでした。

油井宏隆バリトン・リサイタル

いずみホール。ヘンデル、スカルラッティからドニゼッティ、ヴェルディ、チマーラまでのイタリア・アリア集ですが、声に伸びがなく不安定で、いまひとつ楽しむことが出来ませんでした。ピアノ、藤江圭子。