2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

君は三橋節子を知っているか?

京響メンバーが会場に入ってきたときに拍手が涌いたんだけど、オケのほうはノーリアクション(別にオケが悪いわけではありません)。休憩後は、もう諦めた感じに同じシーンでの客席からの拍手はまばら。で、(私はそのときにはもう退席していましたが)アン…

色々手は打ったわけだけど、結局基本に戻って、協奏交響曲って何なのか、セレナードって何なのか、いまいちよくわかんないから、ピアノ協奏曲もないし、交響曲もないコンサートはお客さんが食いつかなかったということではないんだろうか。ナイフとフォーク…

「地方出身」という表装・表層

京都生まれの御仁が「地方出身の私は」と書いているのを読み、「東京 - 地方」の力学が当たり前である環境でこの文字列が生成されているのだな、と思い至る。そのように生成された文字列は、北米の電子マネーシステムによって課金され、北米産のフォーマット…

承前:いかにしてヨーロッパで「音楽家」になるか?

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ちなみに、京都市交響楽団が1997年にヨーロッパ演奏旅行をやって以後、関西のオーケストラが本格的な海外ツアーに出たことは今日に至るまで一度もないはず。このとき京響が行った先はプラハ、ウィーン、クラクフ、ザグレブ、テッサロニキ、いわゆる中東欧で…

○×式がダメなら、○×△の三択にすればいいじゃない

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サウンドとメディアの文化資源学: 境界線上の音楽作者: 渡辺裕出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2013/10/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る 境界線上を指さす、という論法は、そういう風に対応されて終わりだと思うんだよね。

戦艦大和の最期

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広瀬正浩さん(http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20131027/p3)がラジオドラマ論の冒頭に投入するのがこれ(1965年8月15日文化放送)。 戦艦大和の最期 上巻・下巻アーティスト: 芦田伸介,鈴木瑞穂,梅野泰靖,中谷一郎,下元勉,山田昭一出版社/メーカー: ビクタ…

偉そうな人批判の常道

「マスメディアで偉そうな人のなかには、自分の日常を支えてくれている、なくてはならない人に対して、人を人と思わぬ態度で接していたりする、社会的地位の高いオヤジには、そういうの、よくいるんだよね」という論法がある。

大阪って本当に今もまだ「商売人の街」なの?

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少し前に騒動になった、「大阪にプロのオーケストラが4つもあるのは多すぎる、統廃合しろ」という話はセンチュリーが大阪府から離れただけで、統廃合は見事不発に終わったわけですが、考えてみれば、この時期は4つのオーケストラが同じホールで順番にコン…

人類はみんな兄弟、「音楽の国」に国籍はない

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「アジア人」はいかにしてクラシック音楽家になったのか?──人種・ジェンダー・文化資本作者: 吉原真里,アルテス出版社/メーカー: アルテスパブリッシング発売日: 2013/10/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る この本は、肌の色や国籍を問…

大阪駅でオペラ【注意】この記事は広告の可能性があります

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*配給の松竹様から試写会にお誘いいただいた男が感想を書いています。広告の可能性があるのでご注意下さい。

ミシュランと大阪をめぐる伝説のゆくえ

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日本版ミシュランが登場したときに、大阪ではミシュランは機能しないだろう、という話があったらしい。大阪には、ミシュラン片手に店巡りをするタイプの客を嫌う店主がいて、そういう「いい店」はミシュラン掲載を断るだろうから、という話だったと記憶する…

美人投票と批評

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美人投票(びじんとうひょう、英:Keynesian beauty contest)とは、金融市場における用語の一つ。ケインズは、玄人筋の行う投資は「100枚の写真の中から最も美人だと思う人に投票してもらい、最も投票が多かった人に投票した人達に賞品を与える新聞投票」に…

「聴覚文化」

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ぎょっとする言葉ですし、この言葉を「文化資源学」という漢字五文字とセットにすると too much で、いかにも帝国大学が主導する新規国家プロジェクト、二十一世紀の八幡製鉄所みたいな行政文書の外観になってしまうわけだが(そういう外観でああいう話を書…

虚礼廃止

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こんどコンサートの受付に行って、「忌憚ないご意見をよろしくお願いします」と言われたら、「へえ、あなた、批評を読むんですか」と訊くことにしよう。

2014年に向けて音楽書の新刊を買う

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2014年=「大戦争」第一次世界大戦からちょうど百年になるところで、今度こそ新しい世紀なのかもしれないなあ、などと思う。大げさな一時の思いこみである可能性は拭えませんが(笑)。とりあえずこの10月終わりに一斉に気になる音楽書が色々出て、見ると、…

ヴィルトゥオーソの囲い込み/巡業するヴィルトゥオーソ

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2つ前の記事の続きです。http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20131021/p1

金本位制

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金本位制は思想としてちょっと面白いのではないかと思い、何かいい参考書はないかと検索したら、「金相場で一儲け」みたいな本ばかりがヒットして、世の中にはお金儲けに興味津々な人がこんなに多いのか、と自らの世間知らずを恥じた。蒙が啓かれた……と言っ…

巡業と常設

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ヨーロッパの音楽は、楽譜を流通させるようになったことで決定的に「ポータブル」(いつでもどこでも同じもの)の領域に足を踏み入れたわけで、いわゆる複製技術(録音とか)というのも、技術としては新しいけれど、枠組みとしてはそれほど無理なく導入でき…

自治とアジール

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漠然とした印象ですが、土地に縛られない職能のネットワークのハブのような場所を「自治」で維持すること(都市とか教会ってそんな観じですよね、音楽家のような技芸保持者の横のつながり・堅い結束にもそれに近いものを感じる)と、共同体からはじきだされ…

承前:自らの存在の証しを立てること

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前の記事の続きです。アジールはいいのですが、自治の要件は何なんでしょうね?まだ、私にもよくわかりませんが、おそらく共同体から出るわけですから、「他者への従属、他者による一方的な承認とは違う仕方で自らの存在の証しを立てる」ことになるのでしょ…

ポピュリズムの賞味期限

小泉純一郎の首相在任は2001年4月から2006年9月の5年。橋下くんが府知事になったのが2008年2月だから、今がちょうど6年目に入ったところ。「人気」が沸騰してから醒めるまでの周期は、だいたい5年のようですね。「人気」で商売を考える人は、3年目くらい…

書評

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『音楽学』に小岩信治「ピアノ協奏曲の誕生」の書評を寄稿しました(編集委員会からの依頼原稿)。 ピアノ協奏曲の誕生 19世紀ヴィルトゥオーソ音楽史作者: 小岩信治出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2012/12/20メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含む…

「もはや○○ではない」

タイトルの○○に「平成」を代入して発話してみる。「それは昭和っぽい」と言いたくなる場面に遭遇することがここ数日に何度かあった。でも、それが「今現在=コンテンポラリー」から見たときの「今よりひとつ前の時代の出来事・感覚・発想」=中古品、という…

その三段論法の発話者は誰か? 狐か?

(a) 「人間は死ぬ」 (b) 「ソクラテスは人間だ」 (c) 「ゆえにソクラテスは死ぬ」 が古典的な三段論法。一方、今ここで提出されつつある「集合知」っぽい議論は、次のような形態になっている。 (a') 増田聡が「人間は死ぬ」と言った (b') 辻大介が「ソクラテ…

(挙手)先生、質問です!

「自分の好きなもの研究」がしばしばつまらないものになってしまうのは、それが知的な探究の可能性をあらかじめ限定してしまうためです。「自分の好きなものが素晴らしくない可能性」から目を逸らすことに熱意を傾ける「自分の好きなもの研究」は実に多い 増…

ドラングル:「嫉妬にも近い羨望」な「リアルタイム」ってこういうの?

The Japanese Saxophone - 日本のサキソフォン音楽アーティスト: クロード・ドラングル(Sax),ジーン・ジョフロイ(Per),オディール・ドラングル(Pf)出版社/メーカー: BIS発売日: 2000/01/01メディア: CD クリック: 2回この商品を含むブログを見る これ…

「大衆(マス)」という観念は思考の焦点が不活発だ

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絵画で言う遠近法は描画の「視点」(観察の「立ち位置」)をどこに設定するか、の議論であって、「焦点」(観察が向かう先)の議論ではない、という理解で合っているでしょうか?

「世界の趨勢」という善意の助言をめぐって

発言の当事者に何ら悪意がないであろうことを100%認めたうえで、敢えて書く。第1段階:○○の主催するイベントについて、「中央」から来た善意の第三者が「世界の趨勢は××なのに、いまだにこんなことをしているのはどうしたことか」との意見を呟く。第2段階…

身も蓋もなく、謎もない(メシアン/ブーレーズ/ブリテン)

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今日はびわ湖ホールで15周年記念のオペラ・ガラへ行きましたが、これも芸術祭参加公演なのでコメントはできません。生誕200年のヴェルディとワーグナーが色々あったわけですが、昨日の続きで、2013年は、この2人「だけ」じゃなくて、その百年後に英国でブリ…

え、こんな初歩的なところでつまづいていたの?

原文を「クラシック→ラテン語」「ジャズ→英語」と変換すると、修道院の外を知らない中世人が俗語の文法書を読んで目を丸くしている図になる。 手持ちの英語教本を読んでみると、動詞の活用が極めてイージーなのに驚かされる。あるいは、ラテン語の見地からす…