ミシュランと大阪をめぐる伝説のゆくえ

日本版ミシュランが登場したときに、大阪ではミシュランは機能しないだろう、という話があったらしい。大阪には、ミシュラン片手に店巡りをするタイプの客を嫌う店主がいて、そういう「いい店」はミシュラン掲載を断るだろうから、という話だったと記憶する。

音楽も似たところがありそうだ、とずっと思っていたのだが、最近、どうやらミシュラン巡り風にコンサートを渡り歩く人が関西にも実在するらしいことを知り、ちょっとだけ感動した。感動をありがとう!

その感動を胸に手を当てて考えるとするならば(←掛詞)、

「関西におけるミシュラン派」は、フェスティバルホールを1週間満席にするほどの数ではないかもしれないけれども一定数いて、その数をどれくらいと見積もるか、その査定によって、そういうお客様向きの商売をするかしないか、よそはやってもうちはやらない、とか、よそはやらないだろうけれどもうちはやる、とか、判断が分かれているのかもしれない。

で、通常の見積りよりも実際には「(潜在的)ミシュラン派」がいるはずだ、と踏んだ人たちが一気に攻勢をかける、とか、逆にうちは、もっと別のところに掘り起こしうるお客さんたちがいると信じている、とか、そういう風に売り方が多様化するかもしれない今日この頃なのでしょう。

(インターネット上のコミュニケーションは、「ミシュラン派」に代表される情報サーファーを実数よりも多く見せてしまう性質があるので、そこは要注意だとは思いますが……。)

……というような話は、ホテルの食堂に過去に遡って返金を求めていいかのような騒ぎになっているご時世になるより随分前から、いずれ書こうと思ってはいたのですが、今書くと、どうしても便乗したように見えてしまうでしょうか。お詫びした系列店のなかにはミシュランに出ている食堂もあるらしいですし……。

でも、実際のところがよくわからないので、当事者の方々にとっては胃の痛い話でしょうが、結果がどうなるか、壮大な社会実験ですねえ……。

自分が関与している職種で、役所のトップのアンチャンの件はどうにか一段落しそうでほっとしたタイミングなのに、どこでチャンスを狙っていたのか、降ってわいたような騒動。世の中、油断がなりません。

バースト!  人間行動を支配するパターン

バースト! 人間行動を支配するパターン

  • 作者: アルバート=ラズロ・バラバシ,青木薫,青木薫(監訳),塩原通緒
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2012/07/25
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「ロングテール」とか、そんな言葉とセットで名前が挙がるバラバシはトランシルヴァニア出身なのだとか。ハンガリーは、独特の数学者が出てくる国ですね。

で、溜まっていたこまごました作業を不意に一気に片づける行動(ありがちですよね)を突発的・衝動的で片づけるのではなく数学で説明できるのではないか、というのが次の本なのたそうですが、読んでみると、先の「ロングテール」のときもそうですが、データ群のグラフが、偶然とは思えないほどに数学で既知の特定の数式のグラフと一致・近似する、という話で、他人の空似も、死ぬまで一切ボロが出なければ(反証を見つけることができないのであれば)同一人物とみなすしかないだろう、みたいな話。まあ、自然科学が数学を使うときは基本的にそういうものですけれど、自然科学は演繹が使えませんし、言われていることは、反証が出ればあっさり撤回されたり、妥当する範囲が限定されることになるであろう暫定仮説であるようです。なので、こういうのは、そのつもりで「生暖かく」付き合わないと、妙なことになりますよね。

世の中には、「冷たく」突き放すことはできないけれども、「熱く」燃える/萌えることのできないものが色々あって、そのあたりが、いい湯加減、になるのでしょう。

新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く

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