2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

情報源の秘匿とオープンソース

演奏家に焦点を当てて、音楽を「イベント」化する動きに違和感があるのは、演奏家が拠り所にしている情報源(クラシック音楽流の楽譜=テクストであれ、邦楽流の伝統であれ)を聴き手から隠そうとする感じがするからではないかと思う。「イベント」で「プレ…

「新日本音楽」の現在(4) マイノリティは一枚岩ではない

21世紀のグローバリゼーションは20世紀の大衆化を前提にしているので、相変わらず「多数決」数を頼みとする少数への抑圧が起こりうる構造なので、そこへのカウンターとして提唱されるのがマイノリティの保護ですね。では、マジョリティは具体的にマイノリテ…

「新日本音楽」の現在(3) プレイヤー重視のゲーミフィケーションとマイノリティ・ポリティクス

20世紀の文化相対主義から世紀転換期のグローバリズムへ、という状況の変化の文化論的な側面(ポスト・コロニアリズムと言われるような)については(1)で私の考えを述べたが、ここでは、「新日本音楽」の経済(「帝国」と形容されるグローバル資本主義)と政…

「新日本音楽」の現在(2) 弾き語りという袋小路

安田寛が「仰げば尊し」の原曲を発見した際、ヘルマン・ゴチェフスキーが原曲に合唱特有の音の動きがあることを分析的に指摘したが、西欧の音楽理論は、ことほどさように、複数の音をどのように組み合わせるか、他の音との関係をどのように取り結ぶか、の理…

「新日本音楽」の現在(1) 崩壊と再生の混同

日本音楽が、中国文化圏のへりにある東アジアの一翼として西洋音楽に対する異文化として振る舞うのが往年の文化人類学風の相対主義段階だとすれば、西洋化と近代化を同時に推進した末に、もはや現在では、日本音楽の伝承者もまた西洋音楽の知識・体験・感性…

Truth in Fantasy

ゲーム関連のシリーズで既に10年以上前にこういう本が出ていたのか、なるほどなあと思う。吟遊詩人 (Truth In Fantasy)作者: 上尾信也出版社/メーカー: 新紀元社発売日: 2006/08/22メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 39回この商品を含むブログ (2件) を見…

教養主義と劇場:1870年代「交響曲の復権」はたぶん一枚岩ではない

通年でやっている管弦楽史でワーグナーが終わって、そろそろチャイコフスキー、ドヴォルザーク、つまりは、ブラームス(交響曲第1番が1876年)にはじまる後期ロマン派の「交響曲復権」を取り上げなければならないのだけれど、ここで、ブルックナーのワーグナ…