2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

疑似餌

梅田の盛り場に行くと、立ち並ぶ円盤状の札の周囲に軒並み桜が散っているが、あれは、盛り場の設定が特別扱いなのではなくて、疑似餌で釣りをする人が絶えないからだそうですね。そういうところは、自生秩序っぽくて、ちょっと面白いなあ、とは思う。「野生…

タケミツとハルキ

武満徹は「へるめす」グループだし、「雨の木」シリーズのあたりから大江健三郎に接近したけれど、「世界に通用するブランド」というタケミツの売られ方は、むしろ、村上春樹に似ていたかもしれない。その村上春樹は、武満徹が亡くなってから小澤征爾に近づ…

柴田南雄は「全部集めて数えなさい」と言った

東京芸大楽理の柴田南雄の指導とは、そういうものであったらしい。あるテーマに関連する資料を全部集める、というマクロなレヴェルでもそうだし、この曲のなかで減5度音程が何回使われているか、というミクロな楽曲のレヴェルでも、そういう風に躾けたらしい…

「ありそうでなかった武満徹の初の本格的伝記」?

武満徹 ある作曲家の肖像作者: 小野光子出版社/メーカー: 音楽之友社発売日: 2016/08/17メディア: 楽譜この商品を含むブログを見るhttp://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?code=226900音楽之友社自身のサイトの表現だが、自社が出している楢崎洋…

歩留まり率

ウサギにはまだあと1つヴァリアントがあるらしい、というような情報を得て、野生にはほぼ生息していないと思われる種を生み出してリストを完成させるために、この先の長い期間「博士」と継続的にコンタクトを取ることを決意するとしたら、それはまさしく「…

募集・応募状況

私が今欲しているのはスズメとケムシだ、ハトやネズミは間に合っている、と思っていたらネコとカモが来た。世の中わからないものである。駅の線路脇で見かけたが、地域猫か。

中村紘子と戦後日本のコンチェルト

そういえば、井上道義の指揮で後半がブルックナーの8番だったと思うけれど、東京交響楽団の定期演奏会で中村紘子が矢代秋雄のピアノ協奏曲を弾くのを聴いたことがある。たしかこの曲は、彼女が初演したはず。1967年の作品だから、まだ23歳のときですね。*戦…

日本におけるオペラ「真夏の夜の夢」

東京から聴きに来た人たちが、口々に、これはブリテンの珍しいオペラである、という前口上から感想を書き始めるのが、私には理解できない。こんなに珍しいオペラを6日間も上演するのは凄い、という誉めの前振りとして便利だからだと思うのだが、そもそも会…

「音楽の国」の妖精の言語

兵庫県立芸術文化センターのブリテン「夏の夜の夢」 - CLASSICA - What's New!東条氏のヌルい感想と読み比べると興味深い。ここではさらっと通り過ぎられているけれど、オベロンの妖精界が日本語、アテネの人間界が英語、というのは、東条氏が劇場関係者から…

「音楽の国」vs「複数の音楽」

消費の肯定を前面に打ち出してアートの世俗化・日常化に向かったように見える1980年代を経て、そのような動きに学問的な裏付けをあたえることを目指したはずのカルチュラル・スタディーズ、ニュー・ミュージコロジーが上陸した1990年代のこの島のクラシック…

芸術新潮にとってアートはおそらく非日常ではない

芸術新潮が創刊当初の1950年代から建築・写真・工業デザイン・ファッションをアートの領域として扱ってきたのは、アートを「日常」と地続きの位置、日常に埋め込まれた何かとして取り扱おうとしたとみるのがいいんじゃないか。週刊誌的なスキャンダルに積極…

「光クラブ」的なもの

80年代にリクルート、ゼロ年代にライブドアが登場したわけだが、1980年代の「音楽」を振り落とすアートの加速には、これに似た感触がある。2015年に加速したアレもまた……。

それは巻き返し可能な挫折だったのか?

相変わらずまだちゃんとまとまってはいないのだが、「記号消費」に向けて離陸しつつあったのかもしれない1980年代前半の芸術新潮から「音楽」が一度完全に見限られた、という事実は、80年代半ば以後に「音楽」がオシャレな装いで巻き返そうしたときに、何ら…

ブリテンと二期会

思えばブリテンのオペラは戦後日本で結構継続的に上演され続けている。出演者の多いアンサンブル・オペラなので、同時代のドイツの劇場をお手本にして、「正しいモーツァルトの上演」を目標に掲げてスタートした二期会の活動と相性がいいんだと思う。オペラ…

進化とサインアウト

ここまでくると、満杯になった道具をはき出すためにPたちを戦場に送り出したり、「博士」(とは誰か?)のもとにPを搬送して在庫調整をしたりしなければならないらしいので、もういいです。*イスラム圏で問題になったと報じられた「進化」なるものも見た。…

「映画的」

蓮實重彦が「映画的」という形容詞を多用した評論家であることを知らない人がいるらしい。(=凡ミス。誰か教えてあげて!)かつて労働集約型農業を誇ったこの島の1980年代以後の全島を挙げてのヴァーチャル都市文化は、あほらしいくらい集約型で神経過敏に…

自動車問題

電車の中は無駄に電池を消費するだけだが、街中をノロノロ進む路線バスは、Pに最適なスピードであるようだ。ということは、渋滞気味の自家用車の運転中に強い誘惑がありそう。人目につくところで餌を撒くと、宣伝にはなるけれども反発も強い、とか、まあ、複…

中沢昭二「骨董病患者㊙カルテ」

「音楽」が扱われなくなってしまった1983年の芸術新潮の3月号から12月号まで、放送作家中沢昭二の「骨董病患者㊙カルテ」という読み物が連載されている。中沢昭二は大栗裕の歌劇「夫婦善哉」「雉っ子物語」「鬼」の台本を書いた、かつての仕事仲間である。前…

芸術新潮が音楽専用ホールに注目する1984年

前の記事に続きです。「音楽」というジャンルが消滅してしまった1984年の芸術新潮で、唯一「音楽」に関連する話題として出てくるのは、4月号から6月号まで3回にわたり「短期集中連載」された音楽専用ホールについての解説記事である。東北のバッハホール、大…

音楽の「ニュース性」

芸術新潮1980年の分をミスでチェックし損ねたので1年分飛んでしまうが、1981年から同誌がA4判になる。ART NEWS というコーナーが巻頭に設置されて、音楽にも毎回見開き2頁が割り当てられている。公演評だけでなく、論説欄があり、「音楽評論家宇野功芳は色香…

downcast eyes

Pな人々が集合しているのを見ると、みなさん伏し目がちな独特の姿勢で止まっている。マーティン・ジェイな沈思黙考ではなくスマホを凝視しているわけだが(笑)。スマホを高々とかざして、Pを周囲の実写と重ねるARモードは、早々にオフにしている、というこ…

1976~1978年補遺

吉田秀和の連載が最終回となる芸術新潮1976年8月号と翌月号に、梅原猛が三橋節子の評伝を書いている。どちらも一挙200枚という異例の分量で、たぶん梅原の持ち込み記事だと思う。古代史ブームの1970年代とは、思えば、「発見/発掘」の時代だったのかもしれ…

エッセイをベテラン文化人が書き、レビューを現役記者が書く「普通の雑誌」

1979年1月号から芸術新潮の誌面構成が再びてこ入れされる。芸術雑誌における音楽の扱い、という点では、どうやらこの改編が、今度こそ決定的であったようにも思われる。1978年12月号で、それまでの中途半端な扱いを軌道修正するかのように、同年秋のコンサー…

芸術における「今太閤」の時代

どこから書けばいいのか決めかねているのだが、とりあえず、武智鉄二はつくづく不運な人だと思う。古代史ブーム/地方の時代/日本の伝統の見直されるべき故郷としての関西(そしてほんのりオカルト)という1973年以後の芸術新潮の路線は、1950年代に大暴れ…

退屈と面倒の閾値

あまり煩わしくない頻度で出現する標的に玉を投げるのは、なるほど当世風の退屈しのぎという感じだが、「育てる」というのが始まると、面白いと面倒くさいの判断が分かれそう。最大公約数的な閾値はどの辺りなのだろう。ヒトは煩わしさを金で解決するのだろ…

退屈の可視化

SNSを徘徊して、目に付いたアカウントに話しかけるより、拡張現実のほうがマシではないか。このところ、人間同士のやりとりというより、Siri のような人工知能に向かって適当なことをつぶやいて反応を見るのに似た不毛なやりとりが、あちこちに散見されて、…

拡張現実

オペラを観て、会場を出たら前の広場に「P」の人たちがたくさんいて、帰宅すると、家の真横の給水塔(もはや使用されていない)が、自宅からクルクル回して水ではないものを事実上無尽蔵に補給できる場所であることが判明した。今日観たオペラが、妖精たちの…

新日本音楽の戦後復興:長唄交響曲の1960年再演について

山田耕筰 長唄交響曲《鶴亀》作者: 山田耕筰,日本楽劇協会,久松義恭,クラフトーン出版社/メーカー: 東京ハッスルコピー発売日: 2016/07/20メディア: 楽譜この商品を含むブログを見る山田耕筰の長唄交響曲「鶴亀」のポケットスコアが届いた。既にナクソスのCD…

情宣

Google の広告手法はどういう風になっているのだろう?リアルなご当地ゆるキャラを公共団体が売り込むときのように(親戚がある自治体でいまそういう仕事の担当になっているのだが)代理店が間に入って……というダイレクトな手法とは何かが違うのかもしれない…

位置情報

庄内でFlightrader24を起動すると、どっちの方角からあと何分でどういうヒコーキが飛んでくるのかわかるので、カメラをその方角にかざして写真を撮る。そうすると、写真アプリはいつのまにか国内線旅客機図鑑になっている。なるほど、これがGPSを利用した拡…