2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

復元 = 現在の技術 + 空想の過去

杉本文楽は、古楽になぞらえるとしたら、とりあえず1898年パリ万博に楽器会社がチェンバロを出品したこと(=このときプレイエルが作ったやつがモダン・チェンバロの源流のひとつで、のちにこれを弾いて世に出たのが20歳でパリに出てきたランドフスカです(…

火消し

もしあれを定説として使い回しができる発見だと信じている人がいるといけないので、傷が深くならないうちにひとこと書いておく。一般に、ふたつの作品に同じ音の並びが出てきたとしても、それだけではその2つの作品に「関係がある」と見ることはできない。…

正調「赤い陣羽織」

2013年度の最後に、ようやく、武智鉄二原演出として伝承されているスタイルの「赤い陣羽織」を見ることが叶った(30日、伊丹ホール)。

剣より強いもの

「AとBは対立している。そしてAが勝者である」もし、あなたが何らかの情報発信の手段をもっているとしたら、そのように「言う/書く」のは一瞬の出来事だ。

はじまりは男じゃないの:「ゴールドベルク事件」の記憶を風化させてはいけない

端的に書けば、ゴールドベルクを最初に「録音」したのはランドフスカです。ゴールドベルク受容をちゃんと論じるのであれば、この「事件」をちゃんと語らなければなりません。そしてゴールドベルクが「ヒット」したのは第二次世界大戦中にナチスの迫害で北米…

背理法的

[追記あり]

前置きが長い……

アニメ・マシーン -グローバル・メディアとしての日本アニメーション-作者: トーマス・ラマール,藤木秀朗,大?晴美出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日: 2013/05/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 前に、最近の「映画やビデオのよう…

「うちの娘をお前なんかに……」

昭和のドラマには、腕組みしてそんなことを言うガンコな父親が出てきたじゃないですか。今の結婚事情はどうなっているのでしょうか?……というようなことを、ジャパノロジストによる現代日本文化論を読みながら思ってしまった。こちらが相手をしっかり選ばせ…

多様性:偏差値と相対性は向きが逆

そういえば、わたくしは人間社会は人間社会、音楽は音楽と分けて考えて、人間社会が音楽のようであればいいのに、とか、音楽が人間社会のようになればいいのに、と思ったことはないかもしれない。無調音楽が哲学の鏡 by アドルノ、とか、何言うとんねん、ア…

続・多様性:並列とシャッフル

下で音楽の多様性のことを書いたときに、ロンドーとかメドレー、パラフレーズのような並列的な音楽のことを書かなかったのは、わたくし自身はそういう音楽こそが好きなのだけれど、「好き」だけで入れてはいけないかと思って遠慮した。小岩信二が「ポスト・…

平和・平等ではないけれど、勇ましい最終決戦というわけでもなく長く続けられそうな相対主義(案)

問い:「何だかよくわからないものは下手にイジらないで、そっとしておこう」は相対主義なのか?[追記あり、話の流れも少し軌道修正した。]

十六夜

「何だかよくわからないものは下手にイジらないで、そっとしておこう」とか、「今はしばらくそっとしておいてほしい」とか、というのは、おそらく、相対主義という一定の歴史的経緯のある立場表明とは別の言葉で呼んだほうがいいのだと思う。配慮、気遣い、…

相対性の好例

むしろ、絶対数そのものは少子化の影響で減っているのではないかという気にすらなります。それにもかかわらず、「マイルドヤンキー」なる言葉がこのタイミングで注目を集め始めたこと自体が、何かを意味していると感じたのです。もう少し説明してみましょう…

ラフマニノフ(文献が乏しい対象に出会ったら、物書きは悲しいのではなく、嬉しいもんじゃないのか? 俺にも仕事ができる余地がまだある、ということなのだから)

オーケストラが最近は結構取り上げるし、曲目解説の枠内で、文献調べて、ポイントは折に触れて書いたけどな。解説は、この方向で音楽を分析して、この方面とあの方面の資料をそろえたら論文になるだろうな、という見通しがつくところまで見極めてから書くの…

適材の適所はこんな感じではないのかしら

関西のクラシック音楽は、過去10年くらい、それなりに面白い話題が色々あったと思うのですが、落ち着いて振り返ってみると、話題の中心はオーケストラとオペラだったような気がします。大植英次が抜擢されて、佐渡裕がいて、オペラは彼のところと沼尻竜典が…

問いの立て方がおかしい、場合分けすべし

(a) 論文(書類)は学位に値し、その作成者が一意に特定される。 (b) 論文(書類)は学位に値するが、その作成者を一意に特定することができない。(代作・剽窃・書式の不備など) (c) 論文(書類)は学位に値しないが、その作成者は一意に特定される。 (d) …

いかにもプロっぽく見せる虚勢の行方:いてもたってもいられない情報空間vsそこにいて立っていられる現実世界

焦りは禁物。昔ながらの「社交」であれ、今どきの「ソーシャル」であれ、「情報交換」だけでは、友情もビジネスも、善も悪も、それだけでは成立しない。昨夜も、監視社会風の道具立てのなかで「悩める魂」が事件を起こすドラマをやってましたが(トヨエツや…

個性の希薄さの先がどうなっているのか

プロがシロウトにも、あるいは演奏会を聴かなかった、聴けなかった人にもわかるようにバランス良く書くお手本のような文章、というのがあるとしたら、こういうのを言うんじゃないのかなあ。http://plaza.rakuten.co.jp/casahiroko/diary/201403220000/このポ…

「天使と悪魔」

2009年の映画再訪。 天使と悪魔 コレクターズ・エディション [DVD]出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント発売日: 2011/02/23メディア: DVD購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (7件) を見る

数学と物理学

楽譜を書くだけでいいなら、数学に似た論理できれいにスイスイ話が進む。(たぶんロマン派のはじめくらいまでなら、これでもいける、というか、当人たちも、実際には別のことをしながら、頭ではそう思ってた可能性が高いかもしれない。)でも舞台で人が動いた…

古楽とオペラ演出

承前。古楽が楽譜しか残っていない音楽の「演奏法」を探求したり、最近のオペラ演出が台本と楽譜にないモノとヒト、いわば「ゴースト」を登場させるのは、間違いを正しいへ訂正し、置き換えているのではなく、そう思い込むから、古いやり方を嫌悪して、駆逐…

経路和

私は感動的な演奏と下手な演奏が同時に肯定されることほど素晴らしいことはない、と思っている。というか、それしか言っていない気がする。それが「今」。シュレディンガーの猫(←みんなの大好きな猫だ、猫!)は、生きている、と、死んでいる、が重なってるら…

それはヒューエル・タークイとどこが違うのか?

メディアが評論家を専属で雇う、というようなシステムがある場合は話が別だと思いますが、

一点物の価値

この日ここでしか行われない正真正銘の一回限り・一点物のコンサートというのは、実は数としてはたくさんあるのだけれど、一般の音楽ファンの方は、ワールドツアーを敢行できるだけの知名度と集客力のある人の情報が主に伝わりますから、結果的に、ライヴ・…

カルーソー/レオンカヴァッロ「朝の歌」1904年

「朝(マッティナータ)」はレオンカヴァッロが1904年にカルーソーとレコードに吹き込むために書いた曲。その録音が見つかるに違いないと思ったら、やっぱりあった。作曲者の気っ風のいいピアノは、いかにも、らしい。(闇市といえば「リンゴの唄」に似た感…

二番手理論

長いシリーズの「1回目」を必ず逃す人、というのがいるようだ。世の中には、ひょっとすると、先頭に立つことを回避する心的機構を装填した個体が存在する、ということなのだろうか。竹内洋の「戦後中間層=亜インテリ」論に革新幻想批判をまぶしたり、日本…

非営利の善意のパブリシティ:商品とは違う「虚」の世界のエコロジー

科学広報の活動を評価する基準はいくつかあるが、その中でも比重が高いのが「マスメディアへの露出度」だ。特に国から予算をもらっている研究機関の場合、政治家に成果をアピールできているかは、死活的に重要になる。この点で科学広報は、インパクトファク…

承前;まとめ

長くなってしまったのでまとめる。当面「無償の善意、お断り」という看板を掲げておいたほうが、きっと世の中は静かで落ち着いたものになる。今更何を当たり前のことを、と微笑むあなたは、この下にある長い文章を読む必要はありません。

東京の人に質問です:ニューヨーク・フィルは「地方オケ」ですか?

ギルバートくんになってからコミュニティ重視を打ち出しているそうで、うっかりYesという答えが返ってきそうな気配があり、話がややこしそうではあるにしても……、

カリフォルニアのおおぐりひろし

ここまで来ると、もはや趣味かマニアの域ですが、やはり同姓同名(漢字違い)の先生のことも知っておかねばなりますまい。 重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)作者: 大栗博司出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2012/05…