2012-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「善意の第三者」を標榜しているらしい名も知らぬあなたへ

[12/29追記あり]大久保賢の言うことは100%正しい。

無責任の牢獄について

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必要があって、書誌学と言うのもおおげさな文献検索・引用のイロハをまとめた古いエントリーを見直していたところで、http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20060611こういう文章に遭遇。 だから、ジャズについても、古典を知れば、それだけ世界は広がるだろう。…

ソロ・コンチェルトとコンサート・アリア(小岩信治『ピアノ協奏曲の誕生 19世紀ヴィルトゥオーソ音楽史』)

[付記:本書にツェルニーは登場しません。こういう文脈に登場しない人なんだ、という事実を噛みしめながら研究を続けていただくのがいいのではないか、と誰に言うともなく書き足しておく12月29日。]「C・M・v・ウェ−バ−の器楽理論、およびその実践として…

シューマン、ショーソン、プーランク:非生産的な男の系譜

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昨日の演奏会にショーソン「詩曲」があり、こんな風に解説を書いたら「エロい」と言われてしまいましたが(笑)、でも、そういうことですよね。 19世紀後半から20世紀初めの小説には「ボヴァリー夫人」など人妻の姦通の話が多い。ワーグナーの「トリスタンと…

テレビ美術とアーツ・アンド・クラフツと教団論

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白石知雄のブログは下品である、という意味のことを複数の方面から耳にするわけですが、どうやらそれは、それぞれの方面でそれぞれの方が「個」(単体・単独者etc.)の営み、という認識で取り組んでいらっしゃることに対して、裏口に回ってコソコソ嗅ぎ回り…

ひとこと×3

(1) 選挙は、自分の選択が間違っていなかった!オレって目が効く、と終わってからナルシシズムに浸るためのイベントではない。事前に思っていたことと、実際がどうだったか、本当にそれでよかったか、誰にとってもどこにも答えはない。(そういう制度ですか…

「あなたは考えている。でもあなたの言っていることでは足りないんだ。」(吉田秀和)

[追記:選挙答え合わせ、あり] 私は政治思想史の研究者という看板を出しているけれど、その一方でクラシック音楽の評論家もやっている。そちらの畑の人は私のこの種の書き物にはあんまり気付いてくれないものだ。が、吉田秀和さんは例外で、こちらからお送り…

カラオケとtwitter:閉じつつ開く、ということ

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twitterというのは不思議なシステムで、もともと想定されていたのは駅の伝言板(昔はそういうのがあったんです)みたいなもので、当人同士だけがわかればいい短いメッセージボードだと思うのですが、皆さんが面白がって使ううちに、喩えるとしたら、ボックス…

博士が自分を安易に「バカ」と言っていいのか、その心情を博士ならぬ身は知るよしもなく……

「頭の良い人」には「心の狭い」人が少なくないから……。たぶん、他人がバカに見えてしょうがないのだろう。だが、その「バカ」の心が読めないという点で、彼らはまことに困った人たちである。世の中には、私も含め、その「バカ」が大多数を占めるのだから。 …

一音入魂の耳、メロディーの流れをつかむ耳

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[追記あり:ホルンの「ポコポコ」の件]話し言葉を、一度聴いたらかなり長い文章でもすぐに書き留めることのできる人がいる。でも、会議なんかでよくある光景だけれど、「え?」と何度も聞き返して、短いフレーズに区切って、何度か言い直さないと書き留める…

で、結局どうなの?

【お知らせ】(18:00追加) この文章における今井晋は虚構のキャラクターであり、実在の今井晋(とは誰か)とは無関係です。 [後半に加筆] だいたい、表で喧嘩せんと陰口流したり裏で立ち回ったり情報通を気取るのが「かっこいい自分」とか信じ込んでる人は…

「プロならできて当たり前」という言葉の数奇な運命

プロが自分の仕事について「プロならできて当たり前」と思うのはハードボイルドに素敵だが、お客様は神様である消費者マインドにどっぷり浸って甘やかされた元ブラバン少年がこの言葉を使うのは醜い。「プロならできて当たり前」という言葉が、流れ流れて元…

1984年以前のヤナーチェク、「1Q84」以後のヤナーチェク

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1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/03/28メディア: ペーパーバック購入: 4人 クリック: 673回この商品を含むブログ (108件) を見る まだBook2までしか読んでいないので、このあとに何か仕掛けがあるん…

チクルスへの賛と否

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http://blogs.yahoo.co.jp/katzeblanca/24056693.html 音楽について書かれた文章で、良いものを読むと、そこで扱われている作品なり、演奏なりが聴きたくなる。 という文章は原因と結果がさかさまで、「私は、そこで扱われている作品なり、演奏なりが聴きた…

若き日のバーンスタイン

CD

大阪音大の図書館で偶然見つけた4枚組のCD。1997年に出て、もう製造中止のようですが、バーンスタインがCBSへ移籍する前の1940年代後半RCA時代の録音の数々。20代でクーセヴィツキーに見いだされて、コープランドのところへ入り浸りながら、作曲家&指揮者…

「トシは取りたいものです」(広瀬大介『リヒャルト・シュトラウス 自画像としてのオペラ 《無口な女》の成立史と音楽』)

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2009年に出たときに評判になっていた本ですが、やっと読みました。この間の学会の20世紀オペラのシンポジウムで、広瀬さんの報告がとてもわかりやすくて、印象に残っていたので。 リヒャルトシュトラウス 「自画像」としてのオペラ《無口な女》の成立史と音…

日本の音楽近代化論における「つくられた説」の奇妙な歪み

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[後半の近代以前の日本音楽の話に一箇所追記。]渡辺裕や輪島裕介が近著で扱っているのは、「唱歌」「労働歌」「演歌」など、近代の産物であることが明らかなのに、昔からあるかのように耳と口になじんでしまっている歌であり、起源が近代以前に遡ると思われ…

フォーキン→サコルスキー→小牧正英:上海バレエ・ルッスの系譜

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前に書いたバレエ・リュスの意義についてのお話。http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20121008/p1続報です。大阪音大の井口淳子先生から、11/25の音楽学会での上海バレエ・ルッスについての研究発表のレジュメをいただきました。

音楽論のディスタンクシオン(なのか?):ドイツ音楽の「構築性」を語り続ける家畜について

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[話の筋は同じですが、言葉遣い等をあちこち変更]「ナショナリズム」というキーワードで19世紀後半の世界を輪切りにして、国民国家の正体を見極めようという動きが音楽史記述にも導入されて、今ではかつてのように、イタリア、フランス、ドイツの音楽が「ザ…

50歳の壁?

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先日、たぶん十数年ぶりだと思いますが音楽学会の全国大会へ行って、一番驚いたのは、十数年前にはそれなりに活発に色々やっていた50代の人たちの影が薄いことでした。