2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

バッハの世界/世界のバッハ

明日(既に今日ですが)は、大阪音大音楽院でバッハの話をやらせていただく予定になっておりますが、「オーケストラの楽しみ教えます」というシリーズで、主役はストコフスキーになる予定。でも、クイケンやアーノンクールも、シューマンやメンデルスゾーン…

謝肉祭の告白

シューマンの謝肉祭では、終わり近くのプロムナードが特別に好きなのですが、改めて眺めると当たり前かもしれませんね。As/EsからせいぜいBといった狭い範囲を動いているこの組曲のなかで、唯一プロムナードだけがDesで、特別な空間に足を踏み入れる設計にな…

Wachet auf!

http://blogs.yahoo.co.jp/katzeblanca/26450412.htmlで、カンタータが1曲目(なんかCMで使われてましたよね)からどういう構成になっていて、男声と女声の二重唱のあと、この、有名なリトルネロに伴われてコラールのどの節を歌うのか、というのはご存じで…

贅沢な宙返り

(いわゆるエアリプな感じに元発言はリンクしないが、でも……、残念なことに、林達夫や吉田健一の戦時中の持って回ったエッセイは同時代にはほとんど無力であった。戦争が終わったあとで、「私は当局に屈したわけではありませんでした」と彼らが身の証を立て…

号令と協和

(「改革の連発が次第に人の判断力を鈍化させる」は一理あるかもしれないが、声高に危機感を煽られて毎日が防災訓練、竹槍とバケツリレーでもないよりましだからやりましょう(草の根隣組)、というのも困りものだ。最初から「単なる気休めです、うちは不当…

テレビ批判の基礎

新聞に出る文章が各社様々、玉石混合なのは昨日今日のことではないので、「マスコミの自粛はけしからん」というのは、主としてテレビ批判ですよね。いまだに、あの番組のここはこうで、あそこはああだ、と具体的な批判を口にできるほどテレビをみている人が…

無言の連帯

現代思想 2015年1月臨時増刊号 総特集◎柄谷行人の思想作者: 柄谷行人,佐藤優,スラヴォイ・ジジェク,丸川哲史出版社/メーカー: 青土社発売日: 2014/12/19メディア: ムックこの商品を含むブログ (2件) を見る 巻頭で対談している柄谷・佐藤は、どちらも戦争が…

「兼業したらサヨウナラ」なのか?

歌舞伎の看板役者が相次いで50代で死ぬもんだから、松竹の1ヶ月連続昼夜2公演の激務を問題視するおしゃべりがネットで広がりつつあるらしい。第1段階:入場料が倍になってもいいから、公演回数を減らしてあげて→ まあ、最初の一声はこう来るやろな。ここで…

権利と感謝

「かくかくしかじかの権利を保障されている、その権利を守らねば」というのは大事なことだが、ではその権利をいつどのように誰に対して行使するか。たとえ、いついかなるときに行使してもいいのだとしても、実際の行使は特定のときと場所で特定の個人に対し…

パワハラ

大学教員にとって、学生と職員は最もイジメやすい(イジメても反撃されない可能性が高い)身近な人たちである、という事実は、たとえ文科省の政策がどのようであったとしても、厳然とした構造として、そこにある。大学教員が職員の人格を否定するタイプの批…

外弁慶(「職務外での個人の表現活動」)

正統派大学人は、これですね。http://www.sankei.com/west/news/150222/wst1502220049-n1.html今や潤沢な設備・運営予算を確保したり、膨大な事務処理作業に圧迫されない研究環境を確保したりといった、大学の職務それ自体の自主的な健全化には限界があると…

……

(カルミナ・ブラーナ。最初のポコピコがゲーム音楽みたいで、煽るラッパがドリフみたいで、そうこうするうちに坊さんがおならプーで(昨年、小泉和裕が東響とやったときには、バリトンさんに具体的に演じさせたそうですねえ)、まあ、どういうことかしらと…

官僚制を考える(3)

官僚的な組織の責任者は、在任期間中こそあれこれ言われるが、退任すれば免責である。そしてまともな組織であれば、あとはどうにかやりようがあるものだ。一方、組織の内外に「憎まれっ子として世に憚る」人がいる。いいこともやるが、困ったこともやる。そ…

官僚制を考える(2)

上のエントリーの続きだが、しかしそうはいっても、「トップに立つ人は往々にして引退間際に駆け込みで色んな改革をやるものである」というのとは全く逆の事例「トップに立つ人は就任直後こそやる気満々で改革を連発するが、最後は勢いが落ちでレームダック…

官僚制を考える(1)

怒りが佳境に入ったところで申し訳ないのだが、結局、企業・団体を官僚制風に組織するのは、個人が無限責任を負わないでいいためだよね。うまくいかなくなったら、そのような企業・団体は解散して、そこから個人を解放する。この手のしくみは、泣こうが叫ぼ…

チラシの束

センチュリーがお客さんにチラシの束を渡すのを来年度から止めると言っているらしいとの情報があり、これを「英断」とほめる声があるようで、それはまあ、いいのだが……。たぶん、業界内で招待をしたりされたりしているだけだと気付かないと思うのだけれど(…

図書館を考える(2)

●司書は物知り博士ではない 図書館のアウトソーシング、という経営判断を頭ごなしに批判するのは筋が悪かろう。第一に、ブラームスが左手編曲したシャコンヌを知らない音大生(ピアノ科だったらなおさら)がおかしいし、第二に、知らないのはしょうがないか…

2010年の教訓

創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史 (光文社新書)作者: 輪島裕介出版社/メーカー: 光文社発売日: 2010/10/15メディア: 新書購入: 6人 クリック: 93回この商品を含むブログ (65件) を見る この本が出たのが2010年10月で、翌年著者はめ…

図書館を考える(1)

図書館のアウトソーシング、という経営判断を頭ごなしに批判するのは筋が悪かろう。第一に、ブラームスが左手編曲したシャコンヌを知らない音大生(ピアノ科だったらなおさら)がおかしいし、第二に、知らないのはしょうがないからレファレンスに相談するの…

コピーの技術

ベンヤミンの有名な論文の日本語で「複製」と訳されている語は、Reproduktion ですが(→http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20101225/p1)、一方、copy は語源を遡ってもあまり面白くない言葉なのかと思いきや、ラテン語の copia (co + opus で「たくさんのも…

もはや復興ではない?

聞きかじりですけど、戦前にマルクス主義思想さんがインテリさんに浸透したときに、天皇制は前近代の封建制の遺構なのか(すなわち明治維新は市民革命と呼ぶには不徹底だったのか)、それとも現体制は資本家と国家主義の複合体なのか(いわば天皇機関説)、…

管理職と管理人

オヤジの半可通の昔話である。SNSは色々な処理・手続きが自動化&ユーザ各々による自主管理であるらしいが、昔、メーリングリストや掲示板で人々が情報交換していた頃には、「管理人」と呼ばれる世話役が必要だった。英語で言うと administrator なので、統…

「横社会」説

A「Bさん、こういう話があるんだけど、やってみない?」 B「ありがとうございます。で、私は何をしたらいいんですか?」 A「いや、もう、あとはキミにまかせるよ」 というが、「上(A)」のご恩に、「下(B)」が奉公する縦社会の「気が利かない応対」…

土を耕す

また揚げ足取りだと言われそうなので心苦しいのだが、父が死んでから母はやはり昔の思い出話をすることが多くなって、私も遅ればせの親孝行半分、話自体が面白いの半分で、郷里、鹿児島の農家の娘だった頃のあれこれを毎週のように聞くのです。なので、まあ…

20世紀後半の思想

Apartheid(切り離して apart、隠す heid)は、1948年の総選挙後の南アフリカ連立政権(のちに合併して国民党)の施策が総称してこう呼ばれているようで、なるほどそう言われてみれば20世紀後半の保守の思想だなあ、と思う。太陽族が登場して55年体制とか、…

先に言われた

授業の最初に「今日のコンテンツ」をプリントにして配る、というのを来年度はやろうと本気で思っているのだが……。ただし、プリントを配ったうえで、「ここに書いてあるようなことは自分で調べたらわかるので、興味が沸いたらレポートを書くときに見直すこと…

井上章一

井上章一 現代の建築家作者: 井上章一出版社/メーカー: ADAエディタトーキョー発売日: 2014/11/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 「実際にヨーロッパに行くと、コルビュジエはしょぼい。パリのオペラ座(ガルニエ)のほうがよっぽど立派…

オルフと寺子屋

大栗裕が「カルミナ・ブラーナ」に言及している文章を見つけて、なるほど、いかにも興味を持ちそうだよなあ、と思って以来気になっているのですが、オルフ(1895-1982)が1913年17歳で書いた最初のオペラは「寺子屋」の独訳台本に作曲した「Gisei」というも…

補遺:編集と遠近法

とはいえ、ひとつだけ、生活環境保護(笑)のために苦言を呈したい。前にも書いたが、「編集」なる作業の焦点は、コピー/ペーストではなく、デリート/インサートなのではないか、ということだ。 - 私のような人間でも、ごく稀に取材されて、コメントを求め…

【まとめと解説】編集権を掌握したサラリーマンたち

インタビュアー(取材する側)が取材記事の編集権をインタビュイー(取材される側)に譲り渡すと、そこに収録された言葉は、まるで、正しいことしか言わない人形のようなツルンとした感触になる。http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1502/16/news096.ht…