図書館のアウトソーシング、という経営判断を頭ごなしに批判するのは筋が悪かろう。
第一に、ブラームスが左手編曲したシャコンヌを知らない音大生(ピアノ科だったらなおさら)がおかしいし、第二に、知らないのはしょうがないからレファレンスに相談するのがいいと思うけど、だとしたら、今度は、音楽図書館に適した人材を派遣できない業者に委託しているのがおかしい、ということになる。
[追記:図書館をめぐる各論は、ここ( → http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20150223/p2)に補足しています。]
各論の疑問をすっとばして、いきなり総論を批判するのは、あまり上等な発議とは思われない。140文字に複雑な話を詰め込むとロクなことはないよ。
……そして一番わからんのは、まあ、こういうことをつぶやいてしまう人がいてもいいけど、それを嬉しそうに拡散して、何になるのか、ということだ。
https://twitter.com/jishizuka/status/568991756928180224
派遣会社が、音大を出たり、音楽学を学んだ人間をちゃんと採用するようにしたら、大学も派遣会社も利用者も、いずれにとってもハッピーで問題ないと思うのだが……。
音楽司書は、ニッチな専門職で、制度的に確立していないから、現状では、横のネットワークを構築して、適材適所で人材が動けるようにするのがいいと、私は思いますけど、いかがでしょう。自前で育てるのは、なかなか大変ですよ。できる体力のあるところも存在しますし、できるんだったら、それは立派な「売り」になるけど、別の道を採用したからといって、いきなり頭ごなしに批判されたら、喧嘩が勃発しますよね。
「人材・雇用の流動性はいかがなものか」論は、アベノミクスと反対を向いていて政権批判にはうってつけだけれども、マスコミ的には首相に近いとされているキリスト教作家さんの棲み分け思想と、むしろ親和的なのではないか。この捻れを、どう受け止めたらよいのでしょう。
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若田部先生が最後にまとめている提言を読みながら考えよう。
(音楽で言うと、オーケストラやオペラの裏方職がそうなってますよね。同じ人が各団体を渡り歩いてます。大阪のザ・シンフォニーホールも、経営母体が新しくなって、へえ、ここに入ったんだ、という顔をいくつも見かける。
そして真っ当な派遣会社は、今は各社手探りなのでしょうが、いずれ、そういう風になるでしょう。
今回目撃されたケースも、ひょっとしたら、アウトソーシング導入直後でお互い慣れないがゆえのアタフタに過ぎなかった、とか? どこの大学を批判したいのでしょうか?)