2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

救世主アメリカ

ミシンと日本の近代―― 消費者の創出作者: アンドルー・ゴードン,大島かおり出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2013/07/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る ミシン王アイザック・シンガーの娘ウィナレッタがエドモンド・ドゥ・ポリニャッ…

グノーシス

グノーシス (講談社選書メチエ)作者: 筒井賢治出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/10/09メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 5人 クリック: 55回この商品を含むブログ (33件) を見る 「Tone pleromas」の語を黛敏郎はヴァレーズから借りたと語っており…

外山雄三と大阪

http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20150527/p1↑を補足するような話になるが、「私が大阪フィルと初めてお付き合いしたのが、1959年、朝比奈隆先生が、新しい作品をやれってことで、ストラヴィンスキーやバルトークなど近代曲を沢山させていただいた。そういう…

黛敏郎のマンボ

先の山崎正和の山村工作隊といい、1950年代には、私(たち?)の知らないものが、まだいろいろ埋もれていそうな気がする。輪島先生がマンボにはじまるニューリズム・ブームを見事に掘り起こしたわけだが、黛敏郎のトーン・プレロマス55でサクソフォーンがマ…

ソリストの受難

先週末から京都で欧米&国内から招待された学生さんたちの恒例の演奏会(半導体で得た巨万の富で数々の助成を行うローム財団さんこそが日本における「メセナの巨人」ですよねえ)を聴いて思ったのは、(1) どうやら欧州で「イケてる学生」は、ピアノであれ弦…

談話の補足

日経大阪版にいずみシンフォニエッタ大阪に関する記事が出て、最後に私の談話として「」にくくった言葉が出ているようですが、電話での記者さんからの取材時には、ここで引用されているコメントのあとで、ほぼ次のようなことを申し上げました。「新作の委嘱…

奥多摩の山崎正和

一九五二年六月頃から〈小河内文化工作隊〉へ参加する。これは都市労働者と農民を結ぶ“労農同盟”の実現をめざす、半非合法的な〈山村工作隊〉の活動の一端で、東京都奥多摩町の小河内においては山村労働者の生活闘争と、ダム工事反対・ダム工事労働者の待遇…

「物語化」の歴史社会学

音楽に物語を被せようとする試みを論じることを「音楽物語論」と呼ぶのは止めて欲しい。(だいいち、問題設定がメタのメタで議論の階層が深すぎる。)音楽と朗読を組み合わせるメロドラマの一種を「音楽物語」と呼ぶ日本語の慣例(交響的物語「ピーターとお…

コウモリの世界像

盲目の時計職人作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆,中島康裕,遠藤彰,遠藤知二,疋田努出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2004/03/24メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 112回この商品を含むブログ (48件) を見る ドーキンスが最初のほうで紹介するコウ…

大都市の地方紙

確かに東京には地方紙がない。そして大阪にもこれといった地方紙はない。市民の関心も低ければ、地方紙も存在しないとなると、議会はほぼ完全にノーチェックの状態になる。 荒れる地方議会――無関心が生む地方議会の「闇」その4 | ハーバービジネスオンライン…

古い地図

メディアが旧態依然なのは古い地図を使い続けるのに似ている。三丁目の山田さんは半年前に引っ越して、今は佐藤さんが住んでいるのに、今も連日、古い地図を手にした東京者が山田さんに会いにひっきりなしに訪ねてくる。隣近所の人たちは、「山田さんはもう…

散文のリテラシー

論文は、(「物語」を論じた論文も当然そうだが)物語ではない散文として書かれる。陳腐な「物語」が氾濫する俗世を生き抜くオトナを育てる高等教育に必要なのは、plot や story には還元できない散文を読み書きする力を養うことではないだろうか。そして「…

音楽史はどこで断線しているか?

ハイドンとモーツァルトとベートーヴェンは互いに面識があったり師弟関係だったりする。そしてモーツァルトはロンドンでクリスティアン・バッハに会っているし、ベートーヴェンとエマヌエル・バッハの間は1人か2人間に挟めば間接的に師弟関係がつながりそう…

本を買う

宝塚ファンの社会学―スターは劇場の外で作られる (青弓社ライブラリー)作者: 宮本直美出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2011/03メディア: 単行本 クリック: 18回この商品を含むブログ (8件) を見る ジュンク堂の本棚で、ドイツ教養市民の知識社会学の宮本さん…

学生は教師の顔色をうかがう

http://blogs.yahoo.co.jp/katzeblanca/26632280.html(こういうのって、学生は教師が面白そうな顔して聞かせるときと、いかにも面白くなさそうな顔をしているときで反応が違ってくるので、あまり簡単に「我が意を得たり」と思い込むのは危険なところがある…

楽器奏者たち

管弦打楽器史の授業をこのところ毎年受け持っていて、パリ音楽院がベーム式フルートを採用した経緯(これがなければランパルやパユを生んだフルートのフレンチ・スクールはない)とか、シュタドラーからミュールフェルトに至る歴代クラリネット奏者と作曲家…

修復

「どこかからワラワラと群れ集まってきた悪童たちがあっという間に破壊したものを地元民が長い時間をかけて修復する」東京からやってきた偉い人たちに、絶対大丈夫だから、と説得されて海岸沿いに作った原発があっという間に大事故をおこして、今とてつもな…

市民・国民・ネット民

日本の「中央」にいる人たちの報道は、「大阪在住の日本国民」が右派(国家主義改革派)と左派(福祉国家維持派)に分かれて争った、という構図だと思う。そして左派が土壇場で踏ん張ったことは、右派がヘゲモニーを握る「中央政局」の今後を占う試金石にな…

「背後の匕首」論

おぬし、大阪維新は負けてない!と申したか。 背後の一突き Dolchstoßlegende とは、第一次世界大戦敗北後のドイツ国内において、主に右翼政党が、ヴァイマル共和政や左翼政党、ユダヤ人等を批判する際に好んで使った主張である。「背後からの一突き」、「匕…

「嫌な選挙」

厳密には「選挙」ではないわけだが、大阪自民党の幹部さんが言っていた「嫌な選挙」という言葉に実感がにじんでいるように思った。で、投票結果がはっきりするまでのテレビの速報番組は「嫌な感じ」の集大成だったような気がする。大阪の住民の皆さんの投票…

いずみホールで吹奏楽

もう3週間前の話になるが、そのあと書く機会を逃していたのが「旧大阪市音楽団」(「しおん」という音だけ残した英語表記になってしまったが、それではどこの団体だかわからないのでこう書くことにする、化粧品や家電の新製品をこれから Dior や Sony に対…

準メルクルの幻想交響曲

明日もう一日あるので、行ける人は聴いておいたほうがいいと思う。これがプロが本気になった演奏というものだ。リズム、アンサンブルを追い詰めていくのがこの指揮者の持ち味で、だからN響と共演して評価が高いのだと思いますが、今回の幻想交響曲は、(意外…

学生目線の作曲家論

授業の準備をしていて、私はいつも、その作曲家が20歳くらいのときにどんな風だったか、周囲がその作曲家にはどのように見えていたか、というところから説明しはじめるなあ、と気がついた。無意識のうちに、学生目線で、「みなさんがその時代にいたら、こん…

「白鳥の歌」と「詩人の恋」

この2つの歌曲集を歌う演奏会のプレトーク(30〜40分)をさせていただきました。ドイツ・リートの母胎は教養市民の読書会・文芸サロンなのだから、本に関するお話がいいだろうと思いまして、3冊の本(正確には次の2冊とウェーバーのギター伴奏歌曲集)を…

承前:反知性主義がことの「本質」なのか?

私は大阪で今佳境を迎えつつあるのかもしれない出来事(でも維新以外の地元政党はみんな反対なんでしょ、本当に過半数を得られるの?)に「反知性主義」のレッテルを貼って得意顔な人たちは、間違っていると思っている。橋本くんと維新の人たちの行動から、…

万博・お芸い・都構想:MBSと「千里・北摂的」なもの

テレビドラマ(アメリカ英語:television drama、television drama series、TV drama、 イギリス英語:dramatic programming)とは、テレビ番組の一種で、ドラマ形式のもののこと。 テレビドラマ - Wikipedia 現在作業中の案件に関連してふと気になったのでメ…

特異点

技術的特異点は、「強い人工知能」や人間の知能増幅が可能となったとき出現する。フューチャリストらによれば、特異点の後では科学技術の進歩を支配するのは人類ではなく強い人工知能やポストヒューマンであり、従ってこれまでの人類の傾向に基づいた人類技…

進化論の脅威?

理不尽な進化: 遺伝子と運のあいだ作者: 吉川浩満出版社/メーカー: 朝日出版社発売日: 2014/10/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (64件) を見る 後半は「解釈学的循環」や「歴史の天使」でグールドさんを擁護する文章が続くが、自然…