この2つの歌曲集を歌う演奏会のプレトーク(30〜40分)をさせていただきました。
ドイツ・リートの母胎は教養市民の読書会・文芸サロンなのだから、本に関するお話がいいだろうと思いまして、3冊の本(正確には次の2冊とウェーバーのギター伴奏歌曲集)を順に紹介する形で、民謡調リートからシューマンに至るドイツ歌曲の展開をご説明させていただきました。
- 作者: 吉田秀和
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/01/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: トラシブロス・ゲオルギスゲオルギアーデス,谷村晃,前川陽郁,樋口光治
- 出版社/メーカー: 音楽之友社
- 発売日: 2000/08/01
- メディア: 単行本
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吉田秀和について、
それから、
谷村晃先生について、
そして、
私自身が先生のもとでシューベルトの研究をやろうとして、その後ウェーバーに対象を移したことについて、
いずれも、人前で話したのは始めてかもしれませんね。
30年来の宿題を「解けた」とは言いませんが、どういう風に解きほぐせばいいのか、ようやく手がかりをつかんだかもしれず、いい経験になりました。
読書公共圏、民謡の発見、音楽と抒情詩、批評と創作、ロマン主義(右派レルシュターブから左派ハイネまで)など、この時期のドイツの音楽文化の主要な問題が全部関わってくるのですから、やはり、リートは大事ですね。
大事すぎて、なかなか正面から取り組むのは難儀なわけですが。
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ちなみに、私は人の論文を読むのは好きだし、前に「美学」に書いていた東大の人がこのあいだ「音楽学」に出した論文も読んで、直接ではないですが、今回色々参考にさせてきただき、シューベルトの友人たちをめぐるあれこれはプログラムの曲目解説のほうに書きました。学術コミュニティを基本的には信頼してますよん(笑)。
(シューベルトの Freundkreis の特性について、私は Walther Dürr が Reclam の概説書に書いている文章がコンパクトでよくまとまっていると思っているのですが、その後、より本格的な研究が出たりしているのでしょうか? 「つながり」な「社会学」を上手に消化して使いこなす若い方々であれば、このあたり、日本語で面白く書けそうなネタがたくさんありそうに思うのですが……。Franz von Schober だけでも、ちゃんと調べたら、もっと色々な武勇伝が出てきそうだし。)