2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

もっと短い要約

だから情勢論とか世代論とか、そういう息の短い議論の応酬で終わったらつまらないんで、「コピーの哲学」が要る、ということだと思うけどな。140文字では書けないような(笑)。(1) 既存の断片を (2) 滑らかに (3) つなぎあわせたい (4) 他でもなくこの私の…

告白する「私」

アウグスティヌスの愛の概念 (始まりの本)作者: ハンナ・アーレント,千葉眞出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/01/11メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 3回この商品を含むブログ (5件) を見る アウグスティヌス―“私”のはじまり (シリーズ・…

学問と良心

前にも書いたが、渡辺裕が「音楽学とは関係のないテーマを選んで発表しなさい」という演習を大学院の音楽学演習で受講生に課したことがある。「佐々木健一先生が同じような演習を東大美学でやったことがあり、とても有益だったので、私もやる」とのことであ…

免疫不全

(もうひとつの最近割合流行っているのかもしれない説明図式は、「免疫不全」ということかと思う。現実に存在する病気を比喩にするのはあまり筋の良いやり方ではないと思うけれど……。「引用」は、「自分」と「他者」を同じ土俵で混ぜる技法なわけで、ここを…

「欠落」のイデオロギー

これは、http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1502/16/news096.htmlこれと似ている。 ダイアログ・イン・ザ・ダーク(Dialogue in the Dark)とは、日常生活のさまざまな事柄を暗闇の空間で、聴覚や触覚など、視覚以外の感覚を使って体験するエンターテ…

課題と条件

あと、執筆条件のユニークさばかりが話題になって、肝心の課題が何であったか、というのがどこかへ飛んでしまうのはいかがなものか。レポートの課題は、「『佐村河内事件に思う』という題名を付し、この題名に即した内容のレポートを作成せよ」だったんでし…

バーボ・ヤルビさん

朝日新聞の番組欄は名前がこの表記でびっくりしたが、演奏はいいに決まってるのでただ見るのみ。いきなりフォークトと漫才やるのは本人の発案だろうか。N響の放送のときも渋い低音で色々語ってくれるのかな。マッチョじゃないブラームス=クラリネットのファ…

教会と修道院

よく理解できていないのは信者ではないからなのかもしれませんが、教区の司祭さんがいて、子どもが生まれたら洗礼を受けて、祝祭日のミサに参列するのは教会で、一方、修道院は、脱俗した人たちが戒律を守って生活する施設なわけだから、こんな言い方をした…

偉いぞ、金子鈴太郎!

土曜日に、長岡京室内アンサンブルが委嘱した新垣隆の新作、聴いてきた。本気の「現代音楽」です。(春の小川のデフォルメがあったり、最後に、まるで武満徹の曲末の詠嘆みたいに「うた」が浮上したりして、これらを水面下で制御しているロジックが、あるか…

「カプセル化」:出来事を外から制御する20世紀

ライブイベントを段取りして、運営・進行管理する人は、「主催者」と呼ばれるが、現在では、通常、ライブの現場に居合わせるのではなく、「外」にいる。しかも、かつては「裏方」などと呼ばれたが、現在では、多くのライブイベントが室内など閉鎖空間で行わ…

「発注!」の人と村上春樹

(最初に問題提起した人は善意で真摯に問いかけたのかもしれないし、きっとそうだろうと思うけれど、その問いかけをどういうインフラのなかで行い、それがどのように拡散するか、ということを考えたとき、善意か悪意かということとは別の水準で、何かが発動…

牛丼と編集権

https://twitter.com/smasuda/status/566228701067485185この意見は、「口はひとつなので全部を網羅することなんてできないよ」というのとは別の問題があるんじゃないか。 (a) 報道機関の「事前検閲拒否」(←「不可」の規定・ルールというより、外部の介入を…

「豆腐屋」発言

帝国の残影 ―兵士・小津安二郎の昭和史作者: 與那覇潤出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2011/01/14メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 20回この商品を含むブログ (15件) を見る 小津安二郎が、松竹ヌーヴェルバーグの若手登場を受けて、「オレは…

批評の優性保護論

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=797216557024995人は誰しも、こういう率直な疑問から出発するものなのかもしれないけれど、もう少し整理してから外へ出した方がいい気がする、というより、この段階で、脊髄反射でこのやりとりを拡散しちゃおう、と…

……

日経のいずみシンフォニエッタ評が出たようですね。「今日の演奏はいつもと違う、何だろう」と当日から言われていたようですが、小さな巨人、なのかもしれない指揮者さんが統率する小編成オーケストラが、今回は、あまり器用ではないけれども楽員に寄り添う…

快著

踊る昭和歌謡―リズムからみる大衆音楽 (NHK出版新書 454)作者: 輪島裕介出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2015/02/06メディア: 新書この商品を含むブログ (16件) を見る いっそ、「DJ. WAJIMA」とかの変名で出版して、二度目のサントリー学芸賞を狙ってもよ…

吹奏楽のためのフーガ

(「ゼロ年代の吹奏楽」の既視感を承知の上で文脈を組み替えて新味を出す感じは、やっぱり「ゼロ年代の批評」と似たところがあるかもしれない。でも、いまや「中学高校の10人にひとりは吹奏楽部」と言われる時代なので、リスナーの数は、批評より圧倒的に多…

盆踊らない街

[ミュージックは動詞なんだぜミュージッキング、という提案があるご時世ですから、「盆踊り」も、名詞としてちょこんと座らせていないで、盆踊ったり、盆踊らなかったり、動詞化していいんじゃないか、の巻]輪島せんせの「踊る昭和歌謡」に昭和初期、新民謡…

芭蕉布とユンタ

1965年にハワイ生まれの沖縄系三世歌手、クララ新川のために作曲されレコードが出たそうなのだけれど(出だしのギターは一瞬ハワイアンかと思って、フルートが入るとフォークにも聞こえるような)、三線と民謡風に歌われたり、今では様々な形があるみたい。…

喜捨と司祭

貧者を愛する者―古代末期におけるキリスト教的慈善の誕生作者: ピーターブラウン,Peter Brown,戸田聡出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2012/04メディア: 単行本 クリック: 15回この商品を含むブログ (6件) を見る 訳者は巻末に解説のかわりに長大…

コンスタンティヌス

アガンベンの修道院はミイラ取りがミイラになったと思ってしまうような不信心者には、こういう風に「キリスト教世界としてのヨーロッパ」を部品に砕いて相対化して語ってくれる人のほうが安心できてしまう。 「私たちの世界」がキリスト教になったとき――コン…

「ゼロ年代」の吹奏楽

日本の作曲家と吹奏楽の世界作者: 福田滋出版社/メーカー: ヤマハミュージックメディア発売日: 2012/01/25メディア: 単行本この商品を含むブログを見る バンド・ジャーナル連載の大栗裕の回を読んで、それっきりになっていたのをようやく買って読んだ。巻末…

大栗裕伝説

一般の吹奏楽ファンの方々がどん引きしそうなシビアな話が続いたので、話題を変える。大栗裕の「大阪俗謡による幻想曲」吹奏楽編曲と「吹奏楽のための神話〜天の岩屋戸の物語による」は大阪市音楽団が委嘱初演した作品で、その後人気も出た。でも、本当にブ…

再掲

で、一周して戻ってくるのは、ここだと思う。「ミスや間違いが発生したときには、深手を負う前にさらっと訂正する、それはこうじゃないの、と率直に指摘する、というのが基本であろう。」 http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20150205/p3自分で考えて、自分でミ…

余談

ちなみに、その人(変な憶測の呼び水になっていけないが、大学教授である、とだけひとまず書いておく)は、戸田くんのことで私に意見するときに、「キミだって、若い駆け出しで書いていたころ、小石さんから、ツブすようなイジワルされたことはないでしょう…

稿と版と草稿

私は、大栗文庫の(まだ十分整理されていない時期の)目録のタイトルだけ見て、「大阪の祭囃子による幻想曲」というのがあったのでこれが怪しいと思って借りて中を調べたわけだが、結論から言うと、これは草稿で、これをもとに、1956年の初稿、現存しない195…

吹奏楽の伝道

[追記あり]

堂々と小さな話をする

(それが大事、というか、それでいいのだろう、という気づきを得たのでメモ。)伝記調査って、結論だけを取り出すと、「なんだ、そんなことか」となることが少なくない。「作者」に対してザワザワ、ドキドキするような、オーラなのかもしれないものを感じて…

吹奏楽譜の政治学

[結論だけをとりだすと「なんだ、そんなことか」となる小さなことを堂々と語る(http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20150210/p3)を早速実践してみた]2015年4月25日、いずみホールにおける「青春の吹奏楽 part II」という大阪市音楽団の演奏会の既に告知されて…

大阪市音楽団と、日本の吹奏楽における親・子・孫の三世代問題

ワシが吹奏楽の演奏会の曲目解説を仕事で書く機会を得てから8年になるが、この間に、吹奏楽の世界も少しずつ変化しておる。なにしろ、今の大学一年生は8年前にはまだ小学生だったのじゃからのう。子どもの成長は早いものよ。……という風な役割語で書き続け…