- 作者: 與那覇潤
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2011/01/14
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小津安二郎が、松竹ヌーヴェルバーグの若手登場を受けて、「オレは豆腐屋しかできねえんだよ」と言った、という話。
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言われた吉田喜重の映画は、今も見たら感動すると思うのだけれど、「日本の悲劇」や「日本の夜と霧」は、よほどのマニアじゃないと手を出さないですよねえ。
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いや、それが良いか悪いか、とか、そういう話じゃないんですよ。
今はいってみれば、ヒョーロンカのほうが、いくらなんでもそれくらいは言っておかねば、という感じに「古典」を推して、興行師のほうが、手を変え品を変えして、アヴァンギャルドなのかもしれない青いものを押し込もうとして、それが手柄みたいになってるじゃないですか。
逆だと思うんだよね。
興行師・マネジメントは腰が重くて、色物にはおいそれと手を出さないところに、ヒョーロンカがリクツを言って前衛をプッシュして、プッシュしたからにはどうにかしてやる、と頑張るほうが、役割分担としてはわかりやすい。
興行師・マネジメントは、ヒョーロンカから「あいつらは物の善し悪しがわからんバカだ」と言われながらも、軸がぶれない、というくらいで丁度良いバランスなんじゃないか。
興行師・マネジメントが前に出て、功を焦るから、なんか、全体の陣形が崩れてしまうのではなかろうか。
一か八かのギャンブルとか、そんな危ないものにフリーランスのライターがおいそれと乗れるはずがないし、そうすると、興行師・マネジメントのアヴァンギャルドな攻めの姿勢は、どんどん浮いてしまうわけですよね。
司令塔がひとりでボールを独占して、ゴール前までドリブル、みたいになってしまう。それ、相手(お客さん)から見たら、めちゃくちゃ守りやすくて、楽勝すぎる。まともな人は引っかかりませんから!
そしてこれって、日本のかつての「前衛党」(左翼はそう呼ばれたのだ)が歩んだ道のりといっしょですよ。鋼鉄の団結力だが、突撃しかできないの。
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