(もうひとつの最近割合流行っているのかもしれない説明図式は、「免疫不全」ということかと思う。現実に存在する病気を比喩にするのはあまり筋の良いやり方ではないと思うけれど……。
「引用」は、「自分」と「他者」を同じ土俵で混ぜる技法なわけで、ここを目指すとしたら、紙の上の文字すべてが「自分」である状態も、紙の上の文字すべてが「他人」である状態も、裏表の関係でどちらも不十分、ということになるかもしれない。しかも、「他人の言葉」だけで作文するといっても、それを編集しているのは自分自身なのだから、それは「自分」を消したのではなく、見えないところへ隠したうえで、編集権という無際限の権力を振るうことのできる状態にしてしまっているわけで(=「メタ化」ですね)、それはむしろ一時的ではあれ「自我という病」を増進させているかもしれない。
闇に紛れて極大化した「編集する私」を、衆人環視のもとで普通に「他人の言葉」と共存した状態へ連れ戻す回路は、どこに装填されているのかなあ、という不安がふとよぎる。)
自由に生きる現代の若者たちが、誰かの下で支配されるという状況に順応するわけがない。そんな思い込みは、映画の冒頭部分で簡単に覆される。最初は授業に戸惑いをみせる生徒たちが、次第に集団の中で自分に与えられた役割に夢中になっていく。そして一致団結した若者たちが初めて得る、集団のパワー、集団の一体感。
THE WAVE ウェイヴ − 映画作品紹介− CINEMA TOPICS ONLINE
↑アメリカの学校であった実話にもとづいている、と説明される話らしいのだが……。
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