金本位制

金本位制は思想としてちょっと面白いのではないかと思い、何かいい参考書はないかと検索したら、「金相場で一儲け」みたいな本ばかりがヒットして、世の中にはお金儲けに興味津々な人がこんなに多いのか、と自らの世間知らずを恥じた。蒙が啓かれた……と言っていいのだろうか。

経済学という教養 (ちくま文庫)

経済学という教養 (ちくま文庫)

金本位制をアメリカが止めると宣言した「ニクソン・ショック」で、当時、マルクス主義な方々は、「それみたことか、こんなムチャクチャをやるようになったら、今度こそ資本主義は自壊する」と色めき立ったのだけれど、実際にはそれからしばらくして、逆に社会主義計画経済が破綻した。そして、さすがにもう、労働者一党独裁へ向けた革命が歴史の必然だ、と信じることは難しくなった……という風なストーリーを描けるらしい。

80年代バブル経済に終末論的な最終消費の色調があったのはそういうことで、左翼な人たちは、これを、資本主義崩壊前夜の「ええじゃないか」踊りだと考えていたのですね。なるほど〜!

高校社会科「政経」を、学生運動で人生を棒に振って教師になったと自ら公言する先生(吹奏楽部の顧問ですごくいい人だった)の手製プリント(労働運動史がめちゃくちゃ詳しい)で学んで以来の呪縛から解き放たれた……かもしれない。

20世紀のメイン部分(ホブズボウム先生が「短い20世紀」と呼ぶところの)は各種メディアによるプロパガンダ合戦の働き抜きには語れない感じがしますが、20世紀の最後のところから21世紀のはじまりのあたりを「歴史」として整理しようとすると、経済が必須なんじゃないか、との思いが募る。