推薦

シャガールのヴァイオリン〜中・東欧の村の楽士たちと20世紀音楽の前衛

ザ・フェニックスホール。19世紀東欧から20世紀に大西洋を経て北米へ、そして満州を経て日本へと伝播したロマ(ジプシー)とユダヤ人楽師(クレズマー)の音楽。市民社会的なネーションの垣根を横断するその地下水脈的な広がりを見極めたいという講師、伊東…

韓伽ヤ(ハン・カヤ)ピアノリサイタル

イシハラホール。演奏とは、音と無音の組み合わせで時間を分節することであり、楽節のシンタクスや主題の連関(変奏)すら、シェーンベルクが十二音のセリーについてそう考えていたように「聞こえない構造」として意識から排除する。そういう風に、一切の退…

バイエルン放送交響楽団

午後、京都コンサートホール。マリス・ヤンソンス指揮。マゼール時代の極限まで緻密なアンサンブルから描線の太い演奏に様変わり。ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕の前奏曲で、崇高な金管、軽妙な木管、広場に群衆がひしめくような…

宮川彬良×平原まこと〜サッちゃんからヤマトまで〜

ザ・フェニックスホール。「マツケン・サンバの生みの親(作曲者)」の宮川彬良が、選曲・トーク・演奏の魔法のような手練手管を駆使して、「平原綾香の父親」、ベテラン・スタジオ・ミュージシャン平原まことの鍛え上げられたサックス(ソプラノ・サックス…

高木和弘・無伴奏ヴァイオリンリサイタル第1夜

ザ・フェニックスホール。パガニーニ「24の奇想曲」全曲演奏。客席が四方からステージを囲む配置で、向きを変えながら弾くというステージング。どこで動くかということまで、細かく計画を立てているようでした。演奏も、全24曲をトータルにとらえて、どこで…

ユーリー・バシュメット&モスクワ・ソロイスツ合奏団

京都コンサートホール。ピリオド奏法を逆手に取ったシンセサイザー合成のような音響(バッハ「ブランデンブルク協奏曲」第6番)、弦楽器の生理と呼吸(チャイコフスキー「弦楽セレナード」)、渋くくすんだ音色(モーツァルト「協奏交響曲」変ホ長調)。世…

エスペリオンXXI

ザ・フェニックスホール。「ドン・キホーテ」とセルバンテスの時代の音楽というテーマで16、17世紀スペインの歌と舞曲。ステージも客席も、普段のクラシック・コンサートとは違うオシャレでくつろいだ雰囲気でした。ヴィオラ・ダ・ガンバのサヴァールがリー…

囃子堂〜和の室内楽空間・音満月・音新月〜

京都コンサートホール小ホール。能のお囃子を音楽としてコンサートホールで鑑賞しようという夏の企画も3年目で、すっかり定着したように思います。「お囃子は、各人が気合いを込めて演奏すれば自ずと合う。周囲に合わせようとすると、かえって力がなくなる…

ボロディン弦楽四重奏団演奏会

ザ・フェニックスホール。前半のベートーヴェン(弦楽四重奏曲第4番)とシューベルト(四重奏曲断章)では、ヴァイオリン、ヴィオラの三人の細い針に糸を通すような弾き方を、やや窮屈に感じました。設立以来のメンバーのチェロ、ベルリンスキーの厳密さを…

玉井菜採ヴァイオリン・リサイタル

午後、京都府立府民ホール・アルティ。年1回計3回の「演奏家支援シリーズ」の2回目。3回でバルトークの無伴奏ソナタ(昨年)、ヴァイオリンソナタ第1番(今年)、第2番(来年)を弾くのが企画の柱で、今年は、ハンガリーのヴァイオリニスト、アラーニ…

「ピアノはいつピアノになったか?」第8回ピアノとテクノロジー

ザ・フェニックスホール。どういうことになるのか、事前にほとんど予測がつかなかったのですが、行ってみると、2年間8回のマラソン企画をきれいに締めくくる内容でした。(講師:三輪眞弘)自動ピアノと大井浩明による、ナンカロウ「スタディ」やリゲティ…

大井浩明クラヴィコード・リサイタル「カツラを脱いだバッハ」

午後、京都府立府民ホール・アルティ。「平均律」第1巻の2時間以上をかけた全曲演奏。音が聞き取れないなどの声もあったようですが、それは、クラヴィコードを使う時点でわかりきったこと。どの席を確保するかというところから、演奏会は既に始まっていた…

ハーゲン弦楽四重奏団 with 宮本文昭

いずみホール。後半のベートーヴェン「弦楽四重奏曲第16番」が圧倒的でした。第1楽章の、老人のつぶやきや繰り言、野放図さをリアライズするボーイング。絶妙のバランスでノイズを交えて、ほとんど拍子や調性を曖昧にしてしまった第2楽章。第3楽章の、変…

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

京都コンサートホール。まもなく音楽監督を退任するプロムシュテットの指揮で、メンデルスゾーン「イタリア」と、ブルックナー「交響曲第7番」。就任後間もない99年の公演は、楽団をあっという間に透明で現代的なスタイルに変えてしまった驚きの他に、個人…

京都アルティ弦楽四重奏団第8回公演

モーツァルトの第23番と、ベートーヴェンの第15番。豊嶋泰嗣さんがトップに回った時(ベートーヴェン)にも、力みがなくなって、アンサンブルが、しっくりまとまるようになりました。98年結成ですから、皆さんお忙しいのに、もう、7年続いているのですね。

五嶋みどり+R・マクドナルド、デュオ・リサイタル

午後、ザ・シンフォニーホール。二日連続公演の第2日目、ルトスワフスキー「パルティータ」(1984年)が一番「古い」という、今のヴァイオリン曲だけで組まれたプログラム。充実した解説(DVD付き)と演奏で、作曲家たちを丁重に歓待する演奏会でした。五嶋…

武久源造フォルテピアノリサイタル

午後、京都府立府民ホール・アルティ。演奏会後半、楽器のコンディションが良くなって、「幻想曲」(連弾)の音楽の広がり、「楽興の時」抜粋の無理なく伸びるハーモニーは素晴らしいものでした。前半は、「即興曲」op.90とイ長調のピアノソナタ。

シュトゥットガルト放送交響楽団

ザ・シンフォニーホール。サー・ロジャー・ノリントン指揮。ベートーヴェン「エグモント序曲」、「ピアノ協奏曲第1番」(独奏:児玉桃)、「交響曲第5番」。ピリオド奏法は、過去の再現や骨董趣味ではなく、オーケストラの表現のパレットの拡張だ、という…