「憂鬱と官能を教えた学校」(2)

真ん中あたりに、石塚潤一氏のシリンガーに関するレポートが掲載されていました。

ポピュラー音楽のコードネームは、対位法を捨てたことで、ヨーロッパの伝統的な調性和声とは似て非なるものになった -- というのは、漠然と感じていたことですが、その起源を、こういう風に説明している本は、私には、初めてでした。

コードネームは、現場で、ミュージシャンのメモのようなものから始まったのだろうと勝手に想像していたのですが、そうではなかったようです。(しかも、シリンガーの和声理論が広まる以前は、ポピュラー音楽でも、出版譜に伴奏ピアノが全部、記譜されていたとか。)

それにしても、アメリカの20世紀前半の音楽を見てゆくと、ロシア・東欧から来た人が目に付く気がします。ガーシュインもそうだし、伊東さんの意見では、

サーカスとか映画産業とか、現代のアメリカ大衆エンタティメイトの多くはクレズマー音楽がベースになっている。
http://www.arion-edo.org/intermission/detail.jsp?category=interview&vol=1&page=4

そういうところから見直すと、20世紀のアメリカとロシア(ソ連)の関係というのも、「冷戦」的な対立の構図とは違った面が見えてきたりするのでしょうか。