ラカトシュ・アンサンブル

ジプシーバイオリン、ロビー・ラカトシュのグループの演奏会(ザ・フェニックスホール)。後半、途中入場ですが、あっという間に、引き込まれてしまいました。

伝統的なジプシー音楽は、モンティのチャールダーシュ、ブラームスのハンガリー舞曲(アンコール)だけ。特に後者は、とてもモダンなアレンジ。でも、隙あらば、という感じで、あちこちから、とんでもなく濃縮されたジプシー音楽のエキスが噴出。

突如として、大風のようにツィンバロンのトレモロがうねったり……(リストのピアノ曲に吹き荒れるアルペジオの原点は、ツィンバロンだと確信しました)、別の曲ですが、ビシっと決まったタンゴのリズムがいつの間にかぼやけて、どこからともなく、二拍子のチャールダーシュがわき上がってきたり。

チック・コリアなどのジャズ・ナンバーも面白かったです。ツィンバロンだけで、ビシっとビートが決まってしまうのは、手品を見ているようでした。パンフレットの解説(伊東信宏さん)によると、他のジャンルの手法を一番積極的に取り入れている楽団なのだそうです。

でも、アンコールで客席からお題を取って(=ブラームス)、客の好みをつかんで次の曲を決める(=ハチャトリアン)呼吸は、天性の芸人さん。すごいものでした。