ガブリエル・パレスの序曲「リシルド」

この季節は、大阪音大の年度末吹奏楽関連演奏会があって、毎年、吹奏楽のことを色々勉強させていただく機会になっておりますが、今年は「リシルド」序曲があり、高校生のとき以来、本当に久しぶりにこの曲を聴くことになりました。

で、作曲者のガブリエル・パレス(1860-1934)について調べていて、YouTubeで見つけた映像がこれ。

Fantaisie Caprice という同じ曲名でトランペットとピアノの楽譜もあるようで、このアルト・サックスの曲とどういう関係なのか、そこまで追いかけきれていないのですが、それより何よりこの曲のイントロです。

剽窃とか引用とか模倣とかではないですけれど、でも、ぱっと聴いた瞬間に「ハンガリー狂詩曲」が浮かびます(よね)。

で、この音楽からリストが思い浮かぶような耳で序曲「リシルド」を聴き直すと、序奏のゆったりした三拍子で同じモチーフを繰り返しながら転調する神々しい感触にも既視感があります。パリのワグネリズムは、こんな風に共和国親衛隊音楽隊の隊長さんにも及んでいたようです。

そして序奏の盛り上がりから主部へもっていくところは、あの交響曲のあそこが元になっていて、主部の16分音符のチャンバラのバックで和音を刻むところは、たぶん、同じ作曲家の別の荘厳大序曲。ロシアのあの作曲家の音楽が吹奏楽向きだ、という感覚はこの頃からあったということでしょうか。

ネタ元がわかると、勲章を沢山つけて威張っている軍楽隊長さんの絵が思い浮かんでしまいまして、ちょっと微笑ましいですし、オペラやオーケストラから「かっちょよさ」の成分を貪欲にもってくる気質は、とても管楽器っぽいかもしれませんね。ブラス・セクションは王様の楽器で、オーケストラのなかでは、かっちょよくあることが求められているわけですから。

(毎年、夏のバイロイトに我こそはというプレイヤーが集まってくるのだって、タンホイザーの巡礼の主題とか、ジークフリートの葬送行進曲をバリバリ吹きたいわけですよね。あれはきっと、だんじりとかに似たドイツ流の「夏祭り」なのでしょう。)

どこが何に似ているか、リシルド序曲で検索すると色々見つかると思いますので、それぞれでご確認くださいませ。(^^)