釜洞祐子プロデュース オペラ「カルメル会修道女の対話」

いずみホール。昨年の「春琴抄」に続いて、女性(たち)の生き方を問う作品。もしかすると、これがシリーズのひとつのテーマでもあるのでしょうか。主役級の人が集まり、女声が充実していました(ソプラノ:石橋栄実、尾崎比佐子など、メゾソプラノ:児玉祐子、橋爪万里子など)。動きを抑えたオラトリオ風の進行も、宗教劇として適切だったと思います。

ただ、オーケストラ(山下一史指揮、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団)がうるさい。オケ・ピットに入らず舞台上にいたから、編成が大きいから、といった外因だけでなく、そもそも、楽劇風に雄弁でなければならないと誤解した演奏のような気がしました。むしろ、この作品は、ちょうどカトリック典礼のように声が主役で、楽器音は、そこに付き従う「伴奏」。近代ドイツ音楽流のシンフォニックな発想を、まるで不遜な「成り上がり」であるかのように拒絶する、反時代的な作品のように思うのですが。