京都フィルハーモニー室内合奏団第143回定期公演

京都コンサートホール小ホール。数人から数十人のグループが、大企業を出し抜くというのは、IT業界のごく普通の光景ですが、音楽でも、小編成の合奏は、「小さな(色々なものが足りない)管弦楽」ではなく、組織や合意形成のありかた(アンサンブル)から根本的に違う、別の運動体のような気がします。今回の指揮者、佐藤俊太郎は、そのことをよくわかっていて、機能的に音楽を作ることのできる人のようでした。メンバーの集中力が、いつもの京フィルとはまったく別物。前半はマルタン「バラード」(フル−ト独奏、竹林秀憲)と、シチェドリンによるビゼーのパロディ(組曲「カルメン」)。後半は、ラヴェルを意識しつつその裏をかく、ジュリアン・ユー編曲の「展覧会の絵」。

唯一残念だったのは、狙い澄ました「マニアック」な演奏会なのに、マニアックなお客さん(大フィルには見向きもしないけれど、かつての高関健・大阪センチュリーには日参したような)を集めてはいなかったこと。

来年、佐藤が振る予定だと聞く「大地の歌」(シェーンベルク編曲)が今から楽しみです。