チャールズ・ローゼン『音楽と感情』

音楽と感情

音楽と感情

先の天皇の誕生日も半期15回を確保するために大学へ行くわけですが、

今年はローゼン『音楽と感情』をちゃんと読もうと計画している。で、準備のために読み直しながら、この本は熟読に値するなあと改めて思う。

言葉は、英語の原文で読めば実に平明だが、言っていることは全部大事。

このわけのわからんご時世に、それでも「私はクラシック音楽と一生つきあう」と決めている人は、参照されている文学・音楽の出典を全部知っておくべき。

で、音楽に関するどういう話題のときにどういう作品のどういう特徴のことが言われているのか、知識というより体験として、自分のなかに、言われたらすぐにそれが出てくる「引き出し」を持っているべきだと思う。

鍵盤楽器(キーボード)を「弾く」というのは、つまりは、そのような知識と体験の引き出しの鍵(キー)を開くということだ。

(とローゼンが思っているであろうことを、一般読書人さんは評判になった「ピアノ・ノート」でエッセイとして楽しめばいいが、音楽でやっていこうとする人が読むべきは、むしろ「音楽と感情」のほうだろう。)

[ベートーヴェンの「皇帝」が「ドイツ舞曲みたい」と言われたり、後期ソナタの嘆きの歌をヴェルディの運命の力でレオノーラが泣くのと比較したりされたときに、音が浮かんで、その話題を適切にパラフレーズできるか、ですね。]