クランの支配

長野から名古屋へ向かう特急にのると本当に山のなかを電車が走って、それが少し開けて、見慣れた風景に変わったなと思ったら松本に着いていた。

お城の脇の市立博物館で松本の歴史がわかりやすく説明されていて、明治に入って旧制中学が出来て、商業を振興したりして、「近代化」の優等生だったと知り、開けた感じのベースはそこなのか、という風に了解した。

で、お城の庭の休憩所で一服していると、英語のアナウンスが流れて、このあたりを戦国時代に支配していた小笠原氏が「Ogasawara clan」と呼ばれていた。武士団はクランなのですね。「近代化」によってその支配を脱した東アジア的近世の遺稿がこのお城とその周囲の公園ということで、松本の歴史観はブレがないんだなあ、と思ったことであった。

そして20世紀末に国際音楽祭をはじめとする文化が花開いたわけだから、それでいいんじゃないかなあ、と思ったわけです。

品行方正、という言葉が浮かぶ。

サイトウ・キネンのオーケストラも、一番の美点は3度のハモリをぴったり響かせる、とか、お行儀がいいところなのだから、よく似合っている。