神話の解体

踊る昭和歌謡―リズムからみる大衆音楽 (NHK出版新書 454)

踊る昭和歌謡―リズムからみる大衆音楽 (NHK出版新書 454)

少しずつ少しずつ読み進めて最後までようやくたどりつき、心に残るのは、本書が最後に「ニューミュージック神話/ロック神話/アイドル歌謡神話」の解体に言及しており、どうやらそのようなスタンスは、前著が「日本の心」神話を解体する目論見であったことを引き継いでいるらしい、ということだ。

……と言うと堅苦しいが、ポップスのリズムといっても、ラテン系は、ウン・パンとアフタービートを気合い一発叩きつける(そしてその一打が何かにプロテストしていたり、何かを壊そうとしていたり、何かを叫んでいたりする)、という北方系・北半球系とは大違いだよね、ポップスも一枚岩ではありません、ということだと思う。

「日本の心」神話を解体する本は、フラットに色んなジャンルを楽しむ楽園を夢見る言葉で終わっていた記憶があるけれど、その言葉のバックには、ラテン系ポリリズムが既にずっと鳴り続けていたのかもしれない。