大栗裕のハーモニカについては、もう少し調べたいことがあって、少し探っていたらこの本にたどりついた。
- 作者: 斎藤寿孝,妹尾みえ
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 1999/11/26
- メディア: 楽譜
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この本も面白いし、CとC#のハーモニカをセットで買う理由もわかってきたが、そんなことより、著者の一人、斎藤寿孝がYouTubeで演奏を披露していて、これがまたすごい。
https://www.youtube.com/watch?v=t4z1MYRJyeQ
楽器を取り寄せてちょっと吹いてみたくらいだと、こういうことになっているとは想像もできなかった。
大正期にハーモニカとマンドリンが広まって、昭和期にようやく本格的なオーケストラが日本にできた、と言うわけだが、その場合のハーモニカ熱は、戦後の学習用ハーモニカとかリード合奏とかから類推できるものではなさそうですね。
むしろ、楽器製造と相まっての大正末からのハーモニカ熱、マンドリン熱は大変なもので、昭和期にオーケストラが今日に至る隆盛を見たのは、この熱量があってこそだったのではないかという気がします。
ハッカーさんの文化のなかで、なるほどアップルとかインターネットとかの出現は画期的・決定的ではあったけれど、だからといって、その前のGUIもなければマウスもないし、ハードディスクもフロッピーディスクもない時代の技術が幼稚だったとはまったく言えないのに似ているかもしれない。
あるいは、イマドキのビデオゲームが実に高度であるからといって、インベーダゲームとかの頃のゲーマーさんが幼稚であったかというと、おそらくそういう風には言えないだろう、というような。
この元来合理的でシンプルであったはずの道具を使って「わざ」を開発していく情熱は何なのか。ある種のモダンだとは思うのだけれど、「日本的」な成分と、モダニズムが半ば必然的に生み出す成分を見極めるのは、結構難しい気がします。
「わざ」が次のステップへ展開していくケースと、そうならないケースの差は、案外、紙一重なのではないか。