液状のメタファー

immerse は、要するに「浸る」という意味なんですね。動詞で言うと、merge(コンピュータで言うマージ)は液状の存在に飲み込まれてしまうイメージで、emerge (出現)は immerge (沈む)の反対語だから、液状の存在から抜け出ることなのだろうと思う。

なんとなく、ほ乳類が海から陸に上がる進化なるものを連想させる語群だなあ、と思ったりする。

ひょっとすると、ゲームなるものは、このように、しっとり濡れた液体状のメタファー群を身にまといがちなところが特徴的だ、と言えたりするのだろうか。(どこかしら母胎の胎児、エヴァンゲリオンのあのカプセル、とか、そういうのを連想させるわけだが……。)人間とのインターフェースは生き生きとインタラクティヴで、一連の動作は算術・アルゴリズムで制御されているけれど(別にコンピュータだけがそうだというわけではなく)、でも、中身は液状である、と。

なんとなく、液状のメタファーが妥当するゲームと、そうじゃないゲームがありそうに直観的には思うのだが、そのあたりはどうなっているのだろう。例えば囲碁将棋が immersive かというと、あまりピンと来ないようでもあるし、でも、何か上手な説明が考案されているのかもしれないし。

(囲碁や将棋で、終局=ゲームオーバーのあとで盤上の石や駒が織りなす図柄をぐしゃっと崩して、検討会が延々と繰り広げられるのは、これらのゲームもまた「液体状」の何かであることを告げているのかもしれませんね。)