欠落の肯定

目録・データベースのために情報を蒐集していると、どこかの段階で、もうこれ以上はリストを埋めることはできそうにない、という段階に達する。

そこで無理に空欄を埋めて、あたかもコンプリートしたかのように主張するのが「虚勢・知ったかぶり」であり、「この空白にはきっとこのようなものがあるに違いない」と妄想をたくましくするところから悪しきスペキュレーションが始動するのかもしれないが、「なぜこれ以上の情報を集めることができないのか」という風に、今度は欠落の理由を探索して、いわば、欠落を肯定するのが positivism というものであろうかと思う。

「山に住んでいるのだから、いかに確率・偶然のサイコロとはいえ、水辺の種はもう出てくるまい」と悟るのと同じこと、なのかもしれない。

物語は、ネタがすべてバレてしまったところから始まるのである。

(東京と大阪のウォーターフロントの拡張現実の賑わいは、遂にテレビが嗅ぎつけるところとなってしまったようだが……。)