リヒャルト・シュトラウスの孤立

ラヴェルの音楽は、パリでどういう音が鳴っていたか、スペイン趣味や万博や古楽復活やロシアの台頭などだけでなく、どういう経緯でウィンナー・ワルツが彼の耳に届いたか、というようなことを先に言わないと面白く語れない。

もう一方のオーケストラの達人リヒャルト・シュトラウスの孤立もまた、民俗音楽の宝庫中欧の聴覚文化がどういう風にモダニズムに変換されていったのか、「20世紀の橋」を渡った人たちの興亡を見据えてはじめて意味がわかるものなのかもしれない(=管弦楽史)。